「名誉な記録は史上最高の選手に破られればいい」大谷翔平に23年ぶりに更新されそうなド軍の年間最多本塁打記録「49本」保持者のグリーン氏が心境明かす

 ドジャースの大谷翔平(30)が「47本塁打&48盗塁」で前人未到の大記録に突き進んでいるが、49本のドジャースの年間最多本塁打記録保持者のショーン・グリーン氏(51)が12日(日本時間13日)、“風前の灯火”となっている球団記録と大谷について語った。地元メディア「ドジャース・ネイション」の電話インタビューに答えたもので「記録保持は名誉だが、史上最高の選手に破られるのならいいじゃないか」と熱烈な応援エールを送った。大谷は今日13日(日本時間14日)の敵地でのブレーブス戦から10連戦に突入、その球団記録と「50―50」の金字塔に挑戦する。

 

 メジャーリーグの歴史を塗り替える「50‐50」がついに視界に入ってきた大谷が全米の話題を独占している。本塁打を打ち、二塁ベースを奪う度に記録を更新しているが、目の前に迫っているもうひとつの偉大なる記録がある。49本の球団年間最多本塁打記録だ。ドジャースの専門メディアの「ドジャースネーション」が、2001年にその49本塁打を記録したグリーン氏に電話インタビューして記録と大谷についての声を伝えた。
「大谷は史上最高の野球選手だと思う。もし彼が今日引退したら、彼は最も偉大な野球選手になるだろう」
 まずグリーン氏は「47―48」だけでなく打点でもナ・リーグトップに躍り出て、MVPの最有力候補となっている今季の大谷の活躍を絶賛した。
 そして、あと2本で追いつかれ、「50‐50」の達成と共に更新されることになる49本の球団記録について、こう語った
「私にとって、ドジャースのシーズン最多本塁打記録を保持することは、間違いなく名誉なことだ。もし破られるのであれば、史上最高の選手に破られればいいじゃないか」
 グリーン氏は2018年に大谷がエンゼルスでデビューして以来、二刀流スターに注目し「遠くから賞賛してきた」という。
 俊足強打の左投げ左打ちの外野手で鳴らしたグリーン氏は1991年のドラフト1位でブルージェイズに指名され、1995年にレギュラーに定着し、1998年には「35本塁打&35盗塁」、100打点をマークしている。翌年にはオールスターに初選出され、シルバースラッガー賞とゴールデングラブ賞を獲得し、そのオフにトレードでドジャースに移籍し、6年8400万ドル(約117億6000万円)の大型契約を結んだ。  
 球団記録を作ったのは、移籍2年目の2001年。米国内が「9.11」に大きく揺れてレギュラーシーズンも中断された忘れられない年で49本塁打、125打点、打率.297の成績を残した。ちなみに、その年は、ジャイアンツバリー・ボンズが73本塁打のメジャーの年間最多記録を樹立しタイトルを獲得している。
 グリーン氏は5年間、ドジャースでプレー、その後、ダイヤモンドバックス、メッツでプレーして2007年限りで引退している。通算2003安打を放ち、通算本塁打は328本、また盗塁も通算162盗塁を記録した。

 

 

 今季の大谷の47本塁打の中でグリーン氏が特に目を引いたのは、マルチ(複数)本塁打が2試合しかなかったことだ。大谷は5月5日のブレーブス戦、6月16日のロイヤルズ戦(いずれも本拠地)で、それぞれ1試合2本塁打を放っているが、固め打ちは、それだけで、後の43本塁打は、すべて1試合1本塁打だった。
 本塁打王を争うアーチストに「固め打ちがないことは珍しい」という。
 グリーン氏はその49本を打った2001年には、9月6、7、8日のロッキーズ、カージナルズとの3連戦で7本の固め打ちをしている。2002年にはメジャーのタイ記録となる1試合4本塁打を含む6打数6安打を記録。二塁打も1本あり1試合19塁打はメジャーの新記録だった。
 つまり大谷は、固め打ちで本塁打数を増やしたわけではなく、年間を通じて大きな調子の浮き沈みがないままコンスタントに本塁打を打ち続けたことになる。
 また「35―35」をマークしたのことのあるグリーン氏は、大谷が挑む「50―50」の記録の偉大さを誰よりも知る一人だ。
「大谷は相手チームにプレッシャーをかける。(相手チームは)この選手は50本塁打を打つから、塁に出そう(歩かせる)とする。でも、彼は盗塁ができる。(塁に出すと)二塁、三塁へいくから彼と勝負しなければならなくなるんだ」
 それが大谷の「47―48」がチームにもたらしている効果。
 グリーン氏は言う。
「両方の武器が、もう一方の武器を引き上げている」
 大谷は今日13日(日本時間14日)から敵地アトランタでのブレーブスとの4連戦を皮切りに、マイアミでマーリンズと3連戦を戦い、20日(日本時間21日)からホームのドジャースタジアムに帰ってきてロッキーズと3連戦という10連戦に突入する。ファンの間では歴史的瞬間がいつになるかの“Xデー”が話題に上っている。デーブ・ロバーツ監督は「今の彼の調子ではおそらく(20日まで記録達成を引き延ばすのは)無理だろう。マイアミのファンが喜ぶかもしれない」と17日(日本時間18日)からのマーリンズとの3連戦で達成すると予想している。

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