田中将大「楽天を自由契約」で手を挙げる「ヤクルトと中日」そして「背番号18が空く巨人」の動き

 名球会入会の条件となる「通算200勝」にあと3勝と迫っている田中将大が自身のYouTubeチャンネルで、楽天と来季の契約を結ばず、移籍先を探すと表明した。

 球団は今季年俸2億6000万円から、40%の減額制限を大幅に超える5000万円プラス出来高を提示したとみられており、田中から「自由契約」を申し入れたという。

 今季わずか登板1試合という状況を考えれば、この減額は仕方ないとはいえ、功労者のプライドをいたく傷つけたのは想像に難くない。

「捨てる神あれば、拾う神あるか」…と気になるの移籍先だ。すでにヤクルトが獲得に向けた調査を行うことが判明。ヤクルトは今季のチーム防御率がセ・リーグ最下位の3.64で、10勝以上を挙げた投手がひとりもいない。圧倒的な実績を誇る田中は、頼もしい戦力と映るのだろう。

 中日の井上一樹監督もノリ気のようだ。11月24日に名古屋市内で行われた「中日ドラゴンズOB会総会・懇親会」の席で、記者から田中の獲得について問われると、

「もしそのようなことになったら、こちらから誠意を伝える」

 中日は2017年にソフトバンクを退団した松坂大輔を、入団テストを経て獲得したことがある。松坂は翌年4月5日の巨人戦で先発登板を果たし、日本では2006年9月19日のソフトバンク戦以来、4241日ぶりの勝利投手となった。最終的にこの年、6勝を挙げている。かつての球威こそなかったものの、松坂見たさに球場は満員御礼だった。もし格安で田中を獲得することができれば、メリットはあるだろう。

 では「欲しい欲しい病」を発症してFA戦線で阪神・大山悠輔とソフトバンク・甲斐拓也の両獲りを目論む巨人は、さらなる触手を伸ばすのか。

 田中は戦力として大きな期待を抱くことはできないだろうが、若手投手の手本となり、興行的にもウマミがあるのは確かだ。楽天が提示した以上の金額をベースに出来高払いをプラスすれば、人気球団ということもあり、田中への関心は一気に高まることだろう。

 振り返れば巨人は、2018年にシアトル・マリナーズを退団した岩隈久志を獲得した過去がある。岩隈のマリナーズ最終年の年俸は1億2000万円だったが、巨人が提示したのは半額以下の5000万円。岩隈は巨人在籍2年間で勝利を挙げることはできなかったが、田中ならば強力な巨人打線の援護を受け、3勝どころか5勝の計算は立つ。

 しかも来季は菅野智之がメジャー移籍する公算が大きいため、背番号「18」が空く。田中争奪戦は、どんな結末を迎えることになるのか。

(ケン高田)

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