度重なるけがで苦しんだ巨人・大勢「腕で頑張る癖」修正し胴上げ投手に…「次は日本一」

THE GIANTS 2024

 リーグ制覇の瞬間、胴上げ投手となった巨人の大勢(25)は、三塁側ベンチの方向にグラブを高々と放り投げた。そして、マウンド付近で捕手の小林に飛びついて抱き合った。「(どんな状況だったか)ちょっと分からない」。それほど興奮していた。

胴上げ投手となり、捕手・小林と抱き合う大勢(右)

 度重なる苦労を乗り越え、「色々な思いがあった」からこそ、喜びも格別だった。昨季は右上肢のコンディション不良で長期離脱し、復活を期した今季も宮崎キャンプ中に右ふくらはぎ痛で帰京。開幕には間に合ったものの、5月上旬に右肩の違和感を訴え、約2か月戦列を離れた。

 サイドスロー気味で150キロ台後半を連発する速球は武器だが、体への負担も大きい。ファームでの調整中はケガをしない投げ方を模索した。桑田二軍監督の助言も得ながら、「腕で頑張ってしまう癖」の改善に取り組んだ。

 本塁方向に上体が突っ込んでいたフォームを修正した。「低めの球は手投げになると、いいところに投げても打者に捉えられるか見切られる」と桑田監督。下半身主導で効率よく球に力を伝える意識を徹底し、負担も抑えた投球フォームを作り上げた。

 6月30日に一軍へ復帰後は離脱もなく、ここまで防御率は0・90。守護神としてチームを支えてきたからこそ、阿部監督は優勝がかかった9月28日の広島戦を大勢で締めくくると決めていた。8―1の九回二死から登板すると、最初の打者に安打を許しながらも、後続を二ゴロに仕留めた。

 この先、クライマックスシリーズ、日本シリーズと息詰まる戦いが続く。「次はしっかり三振を取って、日本一の胴上げ投手になりたい」。大混戦の中、しびれる接戦を勝ち抜いてきた巨人。最後のマウンドは、やはり大勢が似合う。(井上雄太

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