先発全員18安打で大勝の巨人、その中で光るベテラン長野久義と4番岡本和真の「重盗」…阿部監督「選手が勝手にやってくれた」

 巨人12―4DeNA(セ・リーグ=26日)――巨人が先発全員の18安打で大勝。一回、吉川の適時打などで先行し、四回に岡本和のソロ本塁打と坂本の2ランで突き放した。DeNAは26年連続で優勝を逃した。

4回無死、ソロ本塁打を放つ岡本和(26日)=佐々木紀明撮影

 直近の3試合で計1得点と湿っていた打線が、先発全員の18安打12得点と息を吹き返した。中盤までの4イニングで3点ずつを重ね、相手の反撃を振り切った。乱打戦を優位に運ぶ上で大きかったのが、一、二回の6得点。その陰に光る足攻めがあった。

 一回は1点を先取した後の一死一、二塁。二塁走者の吉川がケイのモーションを盗んで三盗を決め、好機を広げて揺さぶった。その後、満塁から岸田の2点二塁打が飛び出した。

 そして、5点リードの二回二死一、三塁だ。相手ベンチはケイから上茶谷へスイッチ。その3球目、一塁走者の長野がスタートを切ると、捕手の伊藤が二塁へ投げた直後に三塁走者の岡本和が本塁へ走り出し、ホームイン。39歳のベテランと4番で決めた重盗で、追加点をもぎ取った。

2回2死満塁、長野が2点適時打を放つ(26日)=三浦邦彦撮影

 昨秋の就任以来、阿部監督が着手した改革の一つが走塁。昨季は足の速い選手もいながら、盗塁を試みる数だけではなく、ヒット1本で二つ先の塁へ進む数も少なかった。「暴走していい」。キャンプ中の練習試合を前に、選手たちにそう伝えたこともある。求めたのは、失敗を恐れずに果敢に挑戦する姿勢だ。

 意識は浸透し、選手にも備えがある。長野は試合前、打撃練習を終えると、外野で投手に交じってダッシュを繰り返す。岡本和も「ヒットを打つのは難しいこと。1本でかえれるに越したことはない」と、今季は何度もヘッドスライディングを見せている。

 二回はサインではなく、長野と岡本和の判断だったという。阿部監督は「選手が勝手にやってくれた」と頼もしげだ。チームの変化を象徴する1勝で、優勝へのマジックナンバーを3に減らした。(福井浩介)

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