51―51の大谷翔平、盗塁失敗は7月23日以降なし…チームの危機が偉業への転機に

 【マイアミ(米フロリダ州)=帯津智昭】米大リーグ・ドジャースの大谷翔平(30)が19日(日本時間20日)、メジャー史上初の「50本塁打、50盗塁」を達成した。マーリンズ戦で一回に三盗、二回に二盗を決めて51盗塁とすると、六、七回に2打席連続2ランを放って50本塁打に到達し、九回に51号3ランを放った。1試合3本塁打は自身初。6打数6安打10打点の活躍でチームは大勝し、プレーオフ進出を決めた。大谷にとっては7年目で初のプレーオフとなる。

1回1死1、2塁、3盗を決めて50盗塁を達成(19日、米マイアミで)=片岡航希撮影

 大谷は8月23日にメジャー6人目の「40本塁打、40盗塁」を史上最速で達成。これまで本塁打数と盗塁数が同一シーズンにそろって到達した最高は「42本塁打、42盗塁」だった。

ベッツの負傷が転機、一塁コーチ「何かを起こせる」

 「うれしさと 安堵あんど と、それと同時に、記録を作ってきた先輩方をリスペクトする気持ちで、今はいます」。3本塁打、2盗塁で派手にメジャーの歴史を塗り替え、球場を熱狂させた大谷は試合後、一転、穏やかな表情で思いを語った。

 大記録を可能にしたのは、昨季までのシーズン最多26個からほぼ倍増した盗塁だ。

 チームの危機が、大谷にとっての転機になった。2018年のリーグ最優秀選手で、不動の1番打者だったムーキー・ベッツが6月16日に左手に死球を受けて骨折。2番だった大谷は翌17日から1番に入り、ここから約3か月で36盗塁を決めた。

 クレイトン・マッカロー一塁コーチは「何人かが欠場している今こそ、大谷は塁上で何かを起こせる本当のチャンスだと考えたと思う」と指摘。試合前はコーチと共に映像を見て、投手の特徴を分析する。7月23日以降は失敗がなく、28回連続の成功で51盗塁に到達した。

 走って好機を広げ、一振りで勝負を決められる史上最強のリードオフマンの活躍で、ドジャースは12年連続のプレーオフ進出を決めた。移籍1年目の大谷にとっては初の大舞台。「アメリカに来てから、ずっと夢に見てた舞台。今後はそこに向けて、また一から頑張りたい」。立ち止まることなく、悲願のワールドシリーズ制覇を見据えた。(帯津智昭)

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