ロッテ・荻野貴司、負けられない戦いが続く中で「使ってもらえたところで自分の仕事ができれば」


 「途中、離脱もありましたけど、そうっすね…」と少し考えた後、「しっかり与えられたところで準備はできていますね」。

 ロッテの荻野貴司は今季のここまでをこのように振り返った。

 今季は開幕から試合途中出場することが多く、「常に試合の流れを想定しながら、このタイミングで動いたら良いかなというのを考えながらやっています」と、4月3日のソフトバンク戦では2-1の9回一死一、二塁という場面で、レフトの守備で途中出場し、ウォーカーのレフトへの痛烈な当たりをキャッチ。2-2の12回二死一、二塁の第2打席、又吉克樹が投じた初球のスライダーを捉え、左中間を破る決勝の2点適時二塁打を放った。

 6月26日の楽天戦では守備から途中出場し、5-2の7回二死三塁で迎えたこの日最初の打席、弓削隼人が1ストライクから投じた外角のストレートを逆らわずにライト前に運ぶ貴重な追加点となる適時打を放ち、続く髙部瑛斗のセンターオーバーの当たりで一塁から俊足を飛ばして、一気にホームインした。

 7月7日の西武戦では、5-2の6回無死走者なしの場面で角中勝也の代打で登場し、菅井信也が1ボールからの2球目のストレートを「いいボディーターンができました!」とレフトスタンドへ今季第1号ソロ。

 7月は3日の日本ハム戦から9日の楽天戦にかけて4試合連続安打、月間打率.455(11-5)、1本塁打、3打点と打っていた中で、7月12日に「右足腓腹筋の筋損傷」のため一軍登録抹消。状態が上がってきた中での離脱に荻野は「申し訳ないという気持ちと、悔しいなという気持ちがあります」と、8月12日の取材で口にした。

 7月27日の楽天二軍戦で実戦復帰し、翌日の楽天二軍戦で復帰後初めて守備につくと、8月2日に一軍昇格を果たした。

 現在の打撃の状態について8月12日の取材で「昨日(11日のオリックス戦)に関しては悪い感じではなかった。これを続けてヒットになればいいですけど、凡打でも捉えた凡打になるような形を続けていけたらなと思います」と話した。

 開幕から外野のレギュラーの一角として打線を牽引してきた岡大海が離脱し、荻野にかかる期待は大きい。「チームが使ってくれるところで仕事ができればなと思います」。

 起用法に関していえば、近年は1番を打つことが多かったが、今季は1番だけでなく、3番、6番の打順でもスタメン出場する。14日の日本ハム戦は3番の打順での出場だった。

 打順に関して「そこはあまり意識せずに本当に打順関係なしに、その場、その場しっかり仕事をやれるようにやっています」と、その時に求められた仕事をする考え。

 1番を多く打っていたときは「自分のスイングをすること」、「追い込まれたらしっかり粘って出塁すること」ということを意識していたが、その他の打順での出場となっても、「ランナーがいない時は出塁したいなと思います。1番でも塁が埋まっていればしっかり返せるようにとは思っています」とのことだ。14日の日本ハム戦では0-0の初回二死走者なしの第1打席、センター前に安打を放ち、佐藤都志也の先制打に繋げた。

 荻野が先制打のきっかけとなる安打を放つも、ロッテは14日の日本ハム戦に1-4で敗れ、3位に転落した。首位・ソフトバンクと11ゲーム差、ロッテの今季の残り試合が38ということを考えると、とにかく勝ち続けるしかない。「本当に試合に使ってもらえたところで自分の仕事ができればなと思っています」。スタメン出場、途中からの出場でも、チームの勝利に貢献するため、自身の役割を果たしていく。

取材・文=岩下雄太

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