阪神“夏の逆襲”のカギは投手陣…2軍で「救世主」として期待される4人の投手


◆ 2軍からの昇格組が投手陣の救世主となるか

 球団初の連覇を目指すタイガースはチーム打率がリーグ最下位に低迷にするなど得点力不足に苦しむ中、前半戦は貯金1のリーグ4位に踏みとどまった。

 光ったのは少ない援護の中で先発、救援と投手陣の奮闘。特に20年に右肘のトミージョン手術を受けて復帰3年目の才木浩人が開幕から圧倒的なクオリティーの投球を続けてチームトップの8勝を挙げるなどフル回転した。

 救援陣も精神的支柱の岩崎優、中継ぎとして初のフルシーズンに臨んでいる桐敷拓馬、4年目の石井大智が勝ちパターンを担い、前半戦を終えてリーグ2位の救援防御率2.12と安定感を誇示した。

 混戦のセ・リーグを抜け出していくには打線の復調が必要不可欠ながら、強みの投手力を生かした戦いも引き続き求められるだろう。

 とはいえ、厳しい夏場を乗り切っていくには投手陣にも「救世主」の出現が必要。2軍からの昇格組にその期待がかかる。

 まずは実績組の逆襲。開幕ローテーション入りしながら不振で再調整を続けるのは開幕投手の青柳晃洋と伊藤将司の2人だ。

 青柳は4回3失点だった5月31日のマリーンズ戦での登板を最後に1軍から遠ざかっており、2軍で登板を重ねて復調を図っている。伊藤将は春先から直球の球威不足に陥っており、すでにシーズン2度の降格。投球フォームなどで試行錯誤を重ねている。ここまで青柳はわずか1勝にとどまり、伊藤将も4勝。2桁勝利を計算できた2人の停滞は誤算ではあるが、経験豊富な主力の力は勝負所では必要になってくるだけに復調が待たれる。

 新旧有望株の昇格も起爆剤になり得る。昨年6月に受けた左肩と左手首の手術からのリハビリを経て7月20日に支配下に返り咲いた高橋遥人。

 入団当初から次代エースの呼び声高く20年にはシーズン途中からローテに加わり5勝を挙げるなど本格開花を待望されたが、度重なる故障に苦しんできた。昨オフに育成契約となって背水の決意で迎えた今季。2軍でリハビリ登板を順調に重ね、ここにきて昇格争いに加わる権利を手にした。

 そして、高橋に負けず劣らずのスケールの大きさを感じさせるのが高卒2年目の門別啓人。昨秋キャンプで岡田彰布監督の目に留まり、今季は1軍の先発候補として期待。ただ、5月3日のジャイアンツ戦で今季初先発も3回6失点で降板し翌日に2軍落ちしてからは再調整が続いている。

 高橋、門別の2人は球宴期間中だった7月24日に1軍練習でのシート打撃に登板。高橋は完全復活への途上ながら直球の最速は147キロを計測した。

 2軍で雌伏の時を過ごす開幕ローテ組の巻き返しと、ポテンシャルの塊と言える両左腕の抜てきがリーグ連覇を目指すタイガースの大きな推進力となるかもしれない。

文=チャリコ遠藤(スポーツニッポン・タイガース担当)

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