ロッテ・高野脩汰「いい感じできています」と手応えを掴むフォーク


 「プロ初先発になりますが、気持ち的には落ち着いています。開幕から調子良くここまでこれているので、今の調子のままいきたいです。監督に選んで頂いたチャンスをしっかり自分のものできるように頑張ります」。

 ロッテ2年目・高野脩汰が18時から行われるソフトバンク戦でプロ初先発する。

◆ プロ入りからここまでを振り返る

 22年12月7日に行われた新入団選手発表会で、「40試合を目標に頑張っていきたい」と掲げた。練習試合初登板となった2月15日のヤクルト戦で、元山飛優(現西武)に一発を浴びると、2月の練習試合は4試合中3試合で失点。3月19日にZOZOマリンスタジアムで行われた西武とのオープン戦に、2-1の8回から登板し、10球中9球がストレートのパワーピッチングで1回を無失点に抑えたが、開幕は二軍スタート。

 開幕してからもファームで苦しい登板が続き、5月を終えた時点で8試合に登板して防御率9.58。

 「慣れるの時間がかかったというか、社会人野球とスケジュールも違いますし、調整方法も、自分が投げるポジションも違うので、そこのギャップにあまり慣れずに調子を崩したりしていたので、そこを慣れてきたというか、合わせられてきたかなという感じです」。

 5月27日の日本ハム二軍戦から6月28日の日本ハム二軍戦にかけて4試合連続無失点に抑えるなど尻上がりに調子を上げてきた。7月18日に行われたフレッシュオールスターでもイースタン・リーグ選抜の一員として登板し、1回をリズムの良い投球で無失点に抑え、満を持して7月25日に一軍発昇格。

 「遅めの一軍にはなったんですけど、ここから後半戦投げていきたいです」。

 プロ初マウンドとなったのは同日の西武戦。0-3の7回にマウンドに上がり、先頭の岸潤一郎を遊飛に打ち取ると、続く源田壮亮を129キロのフォークで打たせ二ゴロ。佐藤龍世に1球もストライクが入らず四球を与えたが、マキノンを三直。2イニング目となった8回は外崎修汰、長谷川信哉からフォークで連続三振を奪うなど、三者凡退に抑えた。

 この試合では「ちょっと色々曲がり方、落ち方が色々変わってきているんですけど、それも良かったり悪かったりするので、ちょうどいい感じにタイミングずらせたので良かったです」と、フォークで打者のタイミングを外した。

 ファームで6月以降安定していたのも、「フォークの投げ方がいい時は真っ直ぐも良かったですし、真っ直ぐの質を求めていったらフォークも同じで一緒に上がってくるというのがあると思うので、相乗効果です」とフォークが要因だった。

 その一方で、入団時にストレートとスライダーが武器と話していたが、この時期あまりスライダーを投げていなかった。

 「先発している時は投げていたんですけど、リリーフで短いイニングとなるとそんなに球種を多く戦うというよりは真っ直ぐで押して、そのタイミングできたバッターをフォークでずらすという感じでやっています。スライダーも時には投げますけど、フォークの方が優先度高いかなという感じです」。

 高野は「応援の声も大きかったですし、熱がすごいビジターの時よりも伝わってくる。そこで自分も応援されたいなというのはあります」と、続く8月2日の日本ハム戦では、楽しみにしていたZOZOマリンスタジアムでの初マウンド。2回を無失点に抑えたが、8月9日のオリックス戦で1回1失点、8月11日の西武戦で2回2失点を喫し、翌12日に一軍登録を抹消。

 「変化球の細かい握りの違いであったり、自分はそんなに器用なタイプではないんですけど、その中で細かいところを試してみたりしてよかった、悪かった、よかった部分で通用するのかというのをやってみたいな感じです」。

 9月24日に特例2023の代替指名選手で再昇格すると、同日のソフトバンク戦、6-7の9回に登板しテンポよく1回を無失点。前日ファームで失点していたが、「より気合が入ると言いますか、この大歓声に後押しされる部分があるので、二軍は二軍で気合いは入るんですけど、より一層展開もいいところで投げさせてもらいましたし、それもあるかなと思います」と、その時と比べてマウンド上で躍動感があった。

 ファーム、一軍での連投となったが、「ファームでも感覚は悪くなかったですし、一発打たれたところ以外では自分のボールを投げられたところが多かった。打たれましたけど、自分の中では感覚は悪くはなかったというところで一軍に呼ばれた。良い感覚のまま、より気合の入った場面で投げることができて、そうですね、それが要因かなと思います」と振り返った。

 9月26日の日本ハム戦で1回無失点、9月28日の日本ハム戦で2回1失点に抑え、プロ1年目の昨季は7試合に登板して、防御率1.64だった。シーズン終了後には「シーズン中にはなかなかできないことを色々、試したいと思います。新しい球種も試してみたいですし、シーズン中だとあまり出来ないような投球の組み立てを試してみたりとか、色々と新しいことにチャレンジしたいです」と台湾のウインターリーグで腕を磨いた。

 年が明けて1月からは「分の考えていなかったところ、新しいポイントをいろいろ知ることができて良かったです」と、ソフトバンク・和田毅が行う自主トレに参加。具体的には「腹圧だったりとか、投げる上で大事なところをいくつか学びました」とのこと。

 昨秋に取材したときに「スライダーの握りを変えてバリエーションを増やしていきたい」と話していたが、「それも継続してやっていて、握りを変えてやったりしているので、まだちょっと試合で使うかどうかは今後次第なんですけど、前向きに取り組めています」と語った。

 去年は環境に慣れるのに苦労したが、2年目の石垣島春季キャンプでは「去年とは全然打って変わって楽しくできているので、そこについては何も不安なくいけています」と笑顔を見せた。

 2月13日からの練習試合では15日のヤクルトとの練習試合、21日の中日との練習試合に2試合に登板したが、この登板を最後に一軍での登板はなく、ファームで過ごした。

 3月24日のヤクルトとの二軍戦では「今はクイックの方がタイミングが合うというか、足あげてもクイックでもどっちでも自分はランナーいても、いなくても投げているので、その状態をいい方を選んでいるという感じです」と走者がいないときもクイック気味のフォームで投げるようになった。

 この試合で、0-4の7回二死走者なしで伊藤瑠偉を1ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた131キロチェンジアップが良い落ちだった。チェンジアップはこれまで投げていなかった球種。どのようなきっかけで投げるようになったのだろうかーー。

 「自分も取り組んでいましたし、スタッフ、監督、コーチからも助言してもらって、意見が一致したのもありますし、まっすぐ、フォークできているところにこの武器というか選択肢を作るためにファームで取り組んできました」。

 チェンジアップは「どっちもに自分は投げられているので、優先順位がどうなっていくかわからないですけど、感覚よくは投げられています」と、右打者だけでなく、左打者にも投げる。

 高野は開幕一軍を掴むと、4月4日のソフトバンク戦で今季初登板。2回・41球を投げ、2安打、4奪三振、無失点に抑えた。この日光ったのがフォーク。「去年と同様というかいい感じできています」と、右打者から面白いように空振りを奪った。フォークを見ると、軌道がチェンジアップに似ている。

 本人は「それは自分も課題にしています。なんていうか、差がなくなりつつあるので、どう投げ分けるか、印象付けるというか、別にしようと思っています」と語った。今後は「自分の場合球種が少ないので1個増えるだけでも、幅が広がるのでいい感じです」と、フォークとチェンジアップを両方投げていきたい考え。

 「1試合でも多く一軍に帯同してチームの戦力になれるように頑張ります」と高野。天気が心配ではあるが、プロ初先発となる18時からのソフトバンク戦でしっかりと結果を残したい。

取材・文=岩下雄太

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