「2度あることは3度ある」?人的補償で“実績”のある広島


◆ 球団3人目の“人的補償”加入

 1月7日、プロ野球ファンの間に激震が走った。FA権を行使して広島から巨人へと移籍した丸佳浩の人的補償が、長野久義と発表されたからだ。

 長野といえば言わずと知れた巨人の看板選手の一人で、今季もレギュラー格として116試合に出場。426打席と規定打席にはわずかに届かなかったものの、打率.290に13本塁打という成績を残している。

 プロ1年目の2010年に新人王に輝くと、翌年は首位打者、そのまた翌年は最多安打と3年連続でタイトルを獲得。2013年以降は打率3割に届くシーズンがなかったが、シーズンが終わる頃には2割台の後半でまとめてくるという安定した打撃でチームを支えてきただけに、人的補償という形での移籍には巨人ファン以外からも驚きの声が挙がった。


 それでも、本人は「3連覇している強い広島カープに選んでいただけたことは選手冥利に尽きます」と前向きなコメント。節目のプロ10年目を前に心機一転、広島でのレギュラー争いへと挑むことになる。

 いくら実績があって即戦力として期待がかかるといっても、当然ポジションが約束されているわけではない。チームの外野陣には鈴木誠也という絶対的な存在がおり、昨季ブレイクした野間峻祥に松山竜平、レギュラー獲りを目指す下水流昂サビエル・バティスタ、さらにはコンバートが噂される西川龍馬と、ライバルは多い。春季キャンプから結果を残していくことが求められる。

 長野の最大の強みと言うと、上でも少し触れた“安定感”という部分が挙げられる。プロ9年間の通算打率は.286と高い数字を残しており、それも良かったり悪かったりを繰り返すのではなく、キャリアのうち.280を下回ったシーズンは2回だけ。プロ入りから20発越えこそないものの9年連続で2ケタ本塁打を続けているように、アクシデントさえなければ計算ができるという頼もしい選手なのだ。

 丸ほどの存在感は発揮できなくとも、チームに大きなプラスをもたらしてくれる選手であることは間違いない。また、そんな期待を後押しする要素として、これまでに広島が選択してきた“人的補償”がいずれも成功を収めたという事実がある。


◆ 赤松・一岡が立て続けに飛躍

 広島がFAの補償で人的補償を求めたのはこれが3例目。過去の2人というのが、2007年の赤松真人(←→新井貴浩)と2013年の一岡竜司(←→大竹寛)である。

 2008年シーズンより阪神から加入した赤松は、それまで一軍での実績が40試合に満たなかったにも関わらずいきなりレギュラー級の活躍。移籍初年度から125試合に出場して打率.257、7本塁打とブレイクを果たす。

 翌2009年には初の規定打席到達も果たし、2010年には本塁打性の当たりをフェンスによじ登って掴み捕るという神業を披露。本拠地に記念のモニュメントが製作されるなど、チームに欠かせない存在となった。

 以降は代走や守備固めがメインとなり、2016年のオフには胃がんを公表。それから一軍出場はないものの、昨年はファームで55試合に出場を果たすなど、順調な回復ぶりを見せている。今季こそ3年ぶりの一軍出場なるか、病からの復活を果たし、マツダスタジアムのフィールドを駆け回る背番号「38」の姿を、ファンは心待ちにしている。


 一岡は2014年シーズンから広島に加入。こちらも前年まで一軍登板13試合と経験の浅い若手だったが、新天地で中継ぎの一角としてブレイク。移籍初年度から31試合の登板で2勝負けなし2セーブ・16ホールド、防御率0.58と驚異的な活躍を見せる。

 リリーフとして頭角を現すと、2017年・2018年と2年連続で59試合に登板。今や勝ちパターンの一角として、セ・リーグ3連覇王者に欠かせない存在となった。


 長野は彼らとは違ってすでに実績がある状態での加入となるが、過去にこうした良い流れがあるということは悪い話ではない。新たな刺激を受けることで、“35歳の再ブレイク”があっても何ら不思議ではないだろう。

 「2度あることは3度ある」か…。広島3人目の人的補償選手・長野久義から目が離せない。



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