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ファンからは「謎」という批判も。ラミレス采配の疑問を本人に直撃! 

アレックス・ラミレス
DeNA監督の5年間とこれから 後編 前編から読む>>

 アレックス・ラミレス氏は、横浜DeNAベイスターズ監督に就任してからの5年間でさまざまなプランを練り、実行してきた。それが効果を現すことがあった一方で、ファンから見ると疑問が残る采配もあっただろう。インタビューの後編では、その疑問を本人に直撃。失礼は承知の上だったが、ラミレス氏は嫌な顔ひとつせず、真摯にこちらの問いに答えていった。


DeNA監督を退任後、YouTube「ラミちゃんねる」などで活動

──ラミレスさんは2015年オフのDeNA監督就任にあたり、チームを強くするための準備を入念にしていたと思います。5年間の指揮を終え、プランどおりにできたこと、逆にプランどおりにいかなかったことを教えてください。

「私は悔いが残らない野球をすることをモットーに、『投・攻・守』のあらゆるデータをしっかり分析して、ベストな判断を下すスタイルを貫いてきました。それがうまくハマる時とそうでない時はありましたけどね。例えば、ある先発投手を6回くらいで交代させたあとに、逆転されて痛い目にあったこともありました。しかしその際も、状況に合わせて最適なピッチャーを送ることを考えてのことですし、結果が伴わないことがあることは仕方がない部分もあったと思います。

 私自身、学ぶことが多かった5年間で、当初は控えだった何人かの選手がレギュラーに成長してくれたことは本当にうれしいです。もっとも大きい決断は、代打が中心だった佐野(恵太)を、昨シーズンに4番で起用したこと。しかもキャプテンというプレッシャーのかかる立場を任せましたが、その期待に見事に応えてくれました」

──宮﨑敏郎選手も、ラミレスさんが指揮を執り始めた2016年シーズンからスタメン起用が増えた選手ですね。

「彼も積極的な起用に結果で応えてくれましたね。2017年には首位打者のタイトルを獲得したように、当時からバッティングはすばらしかった。守備には少し不安がありましたが、努力を重ねてゴールデングラブ賞を受賞する選手になり、主力選手として活躍してくれました」

──チームとしては、毎年「スモールベースボール」「凡事徹底」といったスローガンを掲げていました。しかしシーズンが進むにつれて、「豪快に打ち勝つ野球」「ホームラン頼り」になってしまったように感じます。今の主力選手たちの特徴が合わなかったのでしょうか。

「掲げていた『スモールベースボール』と、『攻撃的な野球』をシチュエーションに合わせて使い分けていこうと考えていました。ただ、例えば強力な打線を誇る巨人と戦う際には、積極的に点を取るために『攻撃的な野球』の比重が大きくなってしまったこともあると思います。2番に長距離ヒッターの(ネフタリ・)ソトを置くようにしたのもそのためです。

 2番に強打者を起用したばかりの時は、『ラミちゃん、それはどうなの?』と疑問に思うファンも多かったでしょうね。しかし野球は日々進化していくものですから、その進化についていくために戦術を考えていった結果です」

──8番にピッチャーを置く采配についても、さまざまな意見があったのでは?

「懐疑的な意見があったことはわかっています。私は、8番に走力が高くないキャッチャーを起用した場合、その選手が出塁して9番のピッチャーが送りバントをしても、2塁フォースアウトになることが多いと感じていました。そのため7番に足が速い選手を起用し、8番にピッチャーを置くことにしたんです。そこでチャンスが広がれば、9番打者がランナーを還してくれることも期待できますから。

 その采配もなかなか受け入れられませんでしたね。"謎采配"と言われることもありましたが、人によって考え方は違いますし、その批判に落ち込んだり右往左往したりすることはありませんでした。その場の勢いや行き当たりばったりの采配をしていたら、結果が悪かった時に大いに責められるべきです。しかし私は、すべて根拠に基づいて決断をしていたと自負しています」

──この5年間で、2014年シーズンから負け越しが続いていた阪神に勝ち越すことができませんでした。昨シーズンはナゴヤドームでも11連敗を喫するなど苦手としていましたが、その点についてはいかがですか?

「阪神に対しては、もちろん攻守ともにしっかり対策をしていました。しかしベストを尽くして試合を進めてリードした試合でも、なぜか最後の最後で逆転されてしまうことが続いてしまった。特定のバッターに打たれる"デジャビュ"のような場面もたくさんありましたね。他のチームとの対戦ではない現象なので説明がつかないのですが......それが相性なのかもしれませんが、その流れは数年すれば変わると思います。

 ナゴヤドームでの試合は、明らかにチーム打率が低かったですね。マウンドが高いので、変化球の曲がりが大きくなることを苦手にしていた選手がいた印象です。私が現役の時は、打席で少しピッチャー寄りに立ち、変化球が曲がり切る前にボールをとらえ、センターから逆方向(右打者から見てライト方向)にライナー性の打球を打つことを心掛けていました。さまざまな分析が必要な球場だったので、学びも多かったです」

──その経験を、今の選手に伝えることはしなかったのですか?

「選手それぞれで意識していること、スタイルが違うので、一概に伝えるわけにはいきませんでした。ただ、セ・リーグの中では広い球場なので、遠くに飛ばそうと力んでしまうことが、今シーズンは特に目立ったように感じます。個々に指導をして、改善をするには時間が足りませんでしたね」

──監督として、コーチ陣とのコミュニケーションで意識していたことは?

「監督を経験して気づいたのは、指揮官には大きく分けて2つのタイプがあるということ。ひとつは"スーパーバイザー"のように、コーチ陣に判断を任せて采配をするタイプ。もうひとつは、私のように攻守すべての判断を自分で下すタイプです。

 前者のタイプは判断をコーチに任せるため、その根拠などを理解するために密なコミュニケーションが必要になります。しかし後者のタイプは、コーチの意図を汲んだ上で自ら判断するので、話をする時間は長くなくても大丈夫なんです。シンプルなやりとりでもコミュニケーションが成立するので、私はそのような形をとっていました」

──最後に、再びNPB球団から監督のオファーがあったら引き受けますか?

「正直なところ、現時点でオファーがあったとしても、自分がやりたいことに集中することを選ぶと思います。それは、(昨年11月に開設した)YouTubeチャンネル。野球だけではないさまざまな挑戦をして、それを見た方々に喜んでもらいたいという思いが強いです。それが満足いくまでに達成できて、その時に監督のオファーをもらえたとしたら、またユニフォームを着ることを前向きに考えるでしょう」

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