菅野智之「戸郷すごく成長」も「圧倒的な数字を」惜別エール メジャーのオファーを待ちながらのハワイ自主トレ出発

ハワイ出発前、菅野(中央)がサプライズで後輩投手陣から見送られた(カメラ・相川 和寛)

 巨人・菅野智之投手(35)が3日、来季の後輩先発陣へ太鼓判を押した。羽田空港発の航空機で自主トレ先の米ハワイへ出発。自身は海外FA権を行使しメジャー挑戦を表明しており、今後の交渉の可能性も見据えて例年よりも早い渡米となった。今季15勝3敗でリーグVに貢献した男が抜ける穴は大きいが、「大丈夫」と言い切った。後輩たちへの期待とともに、エースの戸郷には「圧倒的な数字を一回でも出してほしい」と惜別のエールを送った。

 菅野が満面の笑みを浮かべた。自主トレ先の米ハワイへの出発直前。空港に高橋礼、船迫、泉、山崎伊、大勢の5投手がサプライズで登場した。「わざわざありがとう」と感謝の言葉を口にし、出国ゲートをくぐる際には何度も手を振った。海外FA権を行使しメジャー挑戦を表明しており、交渉の可能性も見据えた上での例年より早い渡米。後輩たちの思いは、深く心に響いた。

 来季はその後輩投手陣へ、リーグ連覇を託す形となる。今季は24登板15勝3敗、防御率1・67。1人で貯金12をつくり、リーグ優勝への大きな力になった。先発の中で柱が抜ける穴は大きいが、「大丈夫だと思う」と太鼓判を押す。「あんまり名指しして言うのもあれだと思う」と前置きしながら、「でも若い子たちはチャンスだと思うし、誰かその空いた席を勝ち取ってくれれば勝てるんじゃないかと思う」と期待を込めた。

 実際に「温大は特に頑張ったと思うし」と言うように井上が8勝を挙げるなど頭角を現し、西舘ら先発候補もいる。成長著しい若手を、3年連続2ケタ勝利を記録した戸郷や2年連続2ケタの山崎伊がけん引することになる先発陣に信頼を寄せていた。

 中でもやはり、巨人のエースの称号を託す形となった戸郷にひときわ強い思いをかけた。「戸郷もすごく成長したと思う。数字的にはそんなにパッとした数字というか、正直僕は物足りないと思うけど頑張ったんじゃないかなと見ていて思う」とたたえた上で「そろそろ戸郷には圧倒的な数字を一回でも出してほしい」と高い能力を認めているからこその惜別エールを送った。くしくも戸郷は、自身初の2ケタ貯金を来季の目標に掲げたばかり。その思いも分かっているから、あえて同じ“ノルマ”を課した。

 自身は今季の土台をつくった地で「去年と同じぐらいの量は最低限でも走ろうと思う」とトレーニングを積む。メジャーのオファーを待ちながらの、普段とは異なるオフ。それでも「とにかく準備して待つ。でも、そこに対して不安は一切なくて、新しくチャレンジできることが本当に楽しみですし、わくわくしている気持ちしかない。そういうものも原動力に変えてやろうと思います」と言い切った。自身へ、後輩への期待感を持ちながら、機上の人となった。(田中 哲)

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