くふうハヤテは究極の育成チームへ「地域に寄り添う姿勢が求められている」…池田省吾球団社長が初年度総括

未来像を語ったくふうハヤテの池田社長

 ウエスタン・リーグのくふうハヤテ・池田省吾球団社長(50)がこのほど、しずおか報知のインタビューに応じた。昨年11月22日にプロ野球のオーナー会議でリーグ参加を正式承認されてから、ちょうど1年。最下位に終わった初年度のチーム運営と編成を振り返り、来季以降のビジョンを語った。(取材・構成=伊藤 明日香)

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 既存球団ではないゼロからのスタート。めまぐるしい1年だった。開幕時は自身を含めて職員7人のみ。途中で2人加わり、球団業務が安定したのはシーズン閉幕の9月頃だった。

 「(経営は)思うようにいかなかった。7人のうち営業が2人いたが、試合の興業面で手いっぱいで大変でした。オフからは営業に力を入れている。収支に関しては3年目でトントンの状態にして、5年目で黒字にしていきたい」

 事業費は年間で約5~7億円。今後、収益の6割に期待するのが開幕時は4社だったスポンサー収入だ。

 「(シーズン終了時は)15社になったが、前例がないファーム球団だからこその難しさがあった。価格をNPBの価値を下げないように設定した。1軍がある球団とケタ数は違うし、(サッカーの)J2程度だけど高いという声が出た」

 スポンサー以外で収入につなげる案も練っている。

 「法人向けの後援会を設立する予定です。寄付口数に応じてメニューを用意。ファンクラブをつくることも考えています。試合のダイジェストやインタビュー動画をあげたりもしたい」

 参入初年度は最下位と苦しんだが、グラウンド外ではチームの「価値」を考え直すできごともあった。

 「(静岡市にある)『いりえ耳鼻咽喉科』が練習着にウサギのキャラクターロゴを入れてくれています。最初は『帽子に』と言われたが、練習着にしたことで大きく表示できて話題を呼んだ。ジュニアの練習着にも入れるまで拡大した。提案型より話し合い型。地域に寄り添う姿勢が求められているって再確認しました」

 ◆池田 省吾(いけだ・しょうご)1974年10月5日、宮崎県生まれ。50歳。桃山学院大を卒業後、ワシントン大大学院でスポーツマネジメントを学んだ。2006年から四国ILの運営に関わり、15年から2年間、香川の球団社長を務めた。22年12月にハヤテグループのスポーツ事業アドバイザーとして参画して、23年11月に球団社長就任。

 ◆ハヤテのこの1年

 ▼23年11月22日 プロ野球オーナー会議でファームリーグ参加を正式承認

 ▼12月7日 11月のトライアウトを経て入団内定29選手を発表

 ▼24年1月16日 球団名「くふうハヤテベンチャーズ静岡」を発表

 ▼同25日 ちゅ~るスタジアム清水でキャンプイン

 ▼2月24日 選手不足から投手トライアウトを実施して2選手が合格

 ▼3月2日 春季教育リーグ開幕。NPB球団との初対戦は中日と2―2で引き分け

 ▼同15日 ウエスタン・リーグ開幕戦はオリックスに1―9で敗戦

 ▼同22日 阪神を2―0で破り、開幕7試合目で球団初勝利

 ▼9月29日 シーズン終了。28勝84敗8分けで最下位

 ▼10月24日 ドラフト会議で早川が阪神から育成ドラフト3位で指名

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