ロッテ、佐々木朗希とのメジャー移籍前提の“密約”「本当にない」も理想的な結末とは言いがたい...担当記者の目

ロッテ・佐々木朗希

 ロッテ・佐々木朗希は25歳となる26年オフで挑戦すれば、昨オフにドジャース入りした山本規模の契約も期待されていた。山本がオリックスにもたらした譲渡金は約72億円。今オフの佐々木はマイナー契約に限定されるため、譲渡金は3億円以下になる見通しで、権利を有する球団が受ける恩恵は雲泥の差になる。

 23歳でエンゼルス入りした日本ハム・大谷は16年には日本一に導き、MVPを獲得。同じ25歳未満でマイナー契約だったが、現行制度導入前で、所属先には上限だった2000万ドル(約23億円)が支払われている。3年連続MVPでリーグ3連覇に導いたオリックス・山本は、25歳だった23年オフにドジャースと12年総額3億2500万ドル(約465億円=契約当時のレート)の大型契約を結んだ。球団には容認するメリットがあった。

 ロッテは入団時から朗希の育成プログラムを組み、1年目は吉井投手コーチ(当時)の下、体づくりに専念し、登板機会はゼロ。2年目は中10日間隔で登板させるなど、慎重に育ててきた。完全試合を達成した22年には、その次に中6日で登板した際も8回まで完全投球だったが、チームは降板を決断。フロントも現場も、金の卵の将来を第一に手塩にかけて育てた。今季自身初の2ケタ勝利に届いたが、1年間ローテは守れず、チームもV逸。周りを認めさせる成績を残すまでには至らなかった。

 それでも最後は本人の熱い思いに球団が折れる形となった。入団時から代理人を通じてメジャー挑戦を要望し、昨オフは初めて契約を越年。入団時にはメジャー移籍を前提とした“密約”がささやかれたが、松本球団本部長は「これは実際、本当にない」と強調した。ポスティングは選手ではなく球団の権利。同本部長は「総合的に判断した」と繰り返したが、ロッテにとっては理想的な結末になったとは言いがたい。(ロッテ担当・竹内 夏紀)

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