自主トレ「一人でやりたい」巨人・浅野翔吾が異例の直談判 阿部監督容認「いい精神修行になる。群れるな」

全体練習を終え、室内練習場でバットを振り込む浅野(カメラ・宮崎 亮太)

 巨人の浅野翔吾外野手(19)が9日、今オフに単独自主トレを検討していることを明かした。秋季練習中に阿部慎之助監督(45)に相談を持ちかけ、了承を得た。若手としては異例の試みとなるが、現役時代に単身自主トレを経験した指揮官から「いい精神修行にもなる」「孤独の時間を作れ」など、約10分にわたって金言を授かった。決意がにじむ“独り立ち”から勝負の3年目へ向かう。

 意を決した。G球場のフリー打撃が中盤に差し掛かった午前11時10分過ぎ。グラブをはめた浅野が、右翼フェンス際に立つ阿部監督の元へ歩み寄った。「一人でやろうと思うんですけど…」。秋季練習打ち上げ前日に切り出したのは、高卒2年目では異例となる単独自主トレプランだった。

 意図は明快だ。若手はベテランの自主トレに同行するのが通例だが、「サボれる状況をつくって、どれだけサボれずにできるかというのを精神的にも鍛えたい」と説明。一方、昨オフは腰のヘルニアの影響で満足な練習ができず「一人でやること自体がいいのか悪いのか分からない」という不安もあり、思い切って阿部監督に思いを打ち明けた。

 現役時代にはグアムで単独自主トレを行ったことも指揮官はまず、「一人はきついぞ」と経験を踏まえて前置きした。他選手のペースに合わせる必要がなく、妥協も生まれやすい。それに打ち勝つことができれば自身のレベルアップに集中できる“もろ刃の剣”といえる環境だ。それでも真面目な浅野なら孤独トレをプラスにできると判断し、「群れるなってファーム(2軍監督)の時から(当時の選手に)言ってた。孤独の個の時間を作れ」と背中を押した。

 8月は打率3割4分8厘、3本塁打と爆発したものの、9月以降に0発、CS最終ステージも1試合の出場にとどまった。阿部監督は「広島(9月21日・マツダ)でエラーしてから自分が自分じゃないようになっちゃったもんな」と、持ち味のフルスイングが鳴りを潜めた姿勢を問いかけた。だからこそ「いい精神修行にもなる」と単独トレによるメンタル面のメリットを伝授。自分がどう打っているか分からないくらい量を打つ、というDeNA・筒香の例も出し「練習しないですごいスターになってる選手はいない」と近未来の主軸にエールを送った。

 約10分の金言を授かり、「やりたいことをやらずに後悔するより、やりたいことをやってできなかったほうが、まだいいんじゃないかな」とヒントを得た19歳。全体練習終了後は即室内に足を運び、黙々とマシン打撃を敢行した。「バッティング、守備、全てレベルアップしないと来年は使ってもらえない。信頼を得られるようにやるしかない」。指揮官にゴーサインをもらい、自主トレ場所は今後、決める予定。己と向き合う2年目の冬が、19歳を成長させる。(内田 拓希)

 ◆浅野の1年目のオフ 腰のヘルニアで昨年10月のフェニックス・リーグを途中離脱。オフはリハビリに努めつつ、1月14日に神戸市内でマリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏と合同自主トレを行った。宮崎春季キャンプは故障班スタートとなり、2月4日にフリー打撃を再開。同25日のファーム紅白戦(ひむか)で実戦復帰した。

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