大谷翔平「最高の終わり方ができれば」 今日9時8分ヤンキースと世紀のWS開幕「勝てば何でもいい」

◆米大リーグ ワールドシリーズ ドジャース―ヤンキース(24日、米カリフォルニア州ロサンゼルス=ドジャースタジアム)

 ドジャース・大谷翔平投手(30)が世界一に挑むヤンキースとのワールドシリーズ(WS)は、ドジャースタジアムで25日(日本時間26日)午前9時8分に開幕する。両軍選手は24日(日本時間25日)、開幕前日の「メディアデー」に出席。大谷は念願の初出場となる大舞台、ヤ軍のA・ジャッジ外野手(32)と相まみえる“世紀の決戦”に向け、約23分間の会見で決意を語り尽くした。

 穏やかな口調で、力強さと初々しさの同居する言葉を並べた。憧れてきたWS前日。日米メディア約40人の前で、大谷なりの決意表明が始まった。

 「いよいよ始まるなと。今は興奮している気持ちです。今までは見る側だった。悔しい思いをしていた中で、自分がプレーできるという喜びを出せたらいい」

 メジャー7年目。初出場のポストシーズンでここまでたどり着いた。43年ぶりのドジャース対ヤンキースの頂上決戦。「特別な試合。僕自身が初めてなので、どれだけ冷静にプレーできるか分からないけど、ファンの歓声や熱気を力に変えて頑張りたい」と自らに言い聞かせた。「勝てば何でもいい。打てた、打てないとか(ではなく)、有意義なアウトならOK。勝ったか負けたかで全て決まる」と次第に熱が帯びた。

 「大谷VSジャッジ」のWSでもある。シーズン50発以上の2人が激突するWSは史上初。両リーグの本塁打王対決も68年ぶり6度目で、ともにMVPも決定的となっている。ジャッジは大谷について「球界最高の選手」と評するが、大谷はジャッジを「歴代でもトップに入るような選手が、この時代にヤンキースという球団でプレーしているのはそれだけで特別。いちファンとして感謝したいし、時代を代表する選手と一緒にプレーできることにまず感謝したい」と表現した。

 ついに憧れの人と同じ舞台に立つ。09年のWS。3本塁打の松井秀喜が日本人初のMVPに輝き、ヤンキースを世界一に導いた。当時15歳の大谷少年は同じ左の大砲に夢を抱いた。「直接会ってそこまで話したことはないけど、だからこそ逆に画面の中の人というか。子供たちの模範となる人であり、選手。そういう意味で相当影響を受けた」。WSで日本人選手がホームランを打てば、ゴジラ以来15年ぶり2人目。今季、メジャー通算本塁打では松井氏を超えた大谷だが、同じく“英雄”となることは大きな目標の一つでもある。

 取材対応の後、全体練習では珍しくグラウンドでダッシュを敢行した。右翼ポール際からセンター付近まで4本。普段は投手リハビリの一環で行うキャッチボール以外で屋外に出てくることはほとんどないが、異例の調整で初戦に備えた。勝利だけを求め、ドジャースに移籍した今季。「本当に素晴らしい球団で、チームメートも素晴らしい。1年間の集大成として、このシリーズを勝って、最高の終わり方ができれば」。前人未到「50―50」を達成した伝説の年の最終章が幕を開ける。(中村 晃大)

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