走者・坂本勇人の力「存分に発揮された」清水隆行氏「大きな転換の一戦になる」

7回、中山礼都の右前安打で三塁へ進塁する一塁走者・坂本勇人(カメラ・相川 和寛)

◆2024 JERA クライマックスシリーズ セ・ファイナルステージ 第4戦 巨人4―1DeNA(19日・東京ドーム)

 流れをつかみきれないまま、あれよあれよという間に3連敗してしまった巨人。どんなきっかけでもいいから、流れをつくりたい。1勝さえすれば、ガラリと展開は変わってくるはず。ヘルナンデスのスタメン起用は、何らかの動きを生み出したいという考えだったと思う。

 7回の攻撃で、阿部監督は采配で動いてみせた。1死一塁、バントも考えられるケースで中山が理想通り一、二塁間を破る右前安打。坂本がヘッドスライディングで三塁を奪い一、三塁とすると、次打者・岸田が初球にセーフティースクイズ。この場面は三塁走者の技量が問われる。転がった打球の強さ、方向を瞬時に判断して、ホームを突くかどうかを決めるわけだが、坂本は再びヘッドスライディングでホームを陥れ、勝ち越し点をもたらした。チャンスメイクとなったこの日2本目のヒットはもちろんのこと、坂本の走者としての力も存分に発揮された。

 たたみかけるように直後に重盗が決まり、オースティンの失策も出て2点を追加した。打線が絶好調とは言えないなか、走塁で動きをつくり出し、タイムリーなしで4点を取ったこのゲーム。大きな転換の一戦になるに違いない。(野球評論家・清水 隆行)

ジャンルで探す