「佐野の1球だけはちょっとゾーンに入っちゃった」阿部監督悔やんだ戸郷先制被弾 エース6戦目登板は杉内コーチ「十分ある」

7回1死一、三塁、阿部監督(手前左)に交代を告げられ、マウンドを降りる先発の戸郷(同右=カメラ・渡辺 了文)

◆2024 JERA クライマックスシリーズ セ・ファイナルステージ 第1戦 巨人0―2DeNA(16日・東京ドーム)

 伸びていく打球を一瞬横目で確認した戸郷は、少し顔をゆがめ、すぐさま前を向いた。4回。先頭・佐野を2球で追い込んだが、3球目真ん中へのフォークを捉えられた。打球は右翼スタンド中段に飛び込み先制点を許した。「ホームランはチームとしてもダメージは大きかったし、いい流れをつくれずに申し訳ない」。7回1死一、三塁とし降板。2番手の高梨が代打・筒香に左前適時打を浴び、戸郷は6回1/3、6安打2失点。110球の力投も自身CS4度目の登板で初黒星を喫した。

 食らいついた。武器のフォークが「抜けなかったし、落ちも緩かった」と振り返るなど、奪った三振は投手・ケイからの2Kのみ。阿部監督も「佐野の1球だけはちょっとゾーンに入っちゃったよね」と、悔いたが、援護がない中、最速150キロの直球やスライダーなどで粘って試合はつくった。

 苦しんだ分だけ喜びも大きかった。「今年は本当に大変だった。それがビールかけで放たれました。突き詰めて悩んだシーズンだった」。切り替えの速いタイプだが、今季は思うようなボールが投げられなく、悔しさの残る試合が多く、時には眠れない夜を過ごした。「遠投の距離を延ばしたり、ブルペンで投げる球の出力も今まで以上に上げて試して悩んだね」。ビールかけでは「みんな早いよ~」と、部屋に戻る選手たちを横目に最後まで勝利の美酒に酔い、持ち前のスタミナをここでも発揮していた。「うれしかったね。次は日本一だね」。さらなる喜びを味わうために、前を向く。

 阿部監督からは「最後(21日の)6戦目、投げる可能性もあるので、そこの話をされました」と右腕。杉内投手チーフコーチも「十分ありますよ」と説明。「チームが3連勝するのが一番ですけど、回ってきたら日本シリーズに向けての大事な戦いになるので、しっかり抑えたい」。反省を生かし、来るべき時に備える。(水上 智恵)

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