使命感があだとなった日本ハム・伊藤の4失点、ソフトバンクは随所に強さ…掛布雅之氏

4回、今宮(左)にソロ本塁打を被弾した日本ハム・伊藤(カメラ・豊田 秀一)

◆2024 パーソル クライマックスシリーズ パ・ファイナルステージ第1戦 ソフトバンク5―2日本ハム(16日・みずほペイペイドーム福岡)

 ソフトバンク・有原と日本ハム・伊藤の最多勝投手の投げ合いは普通なら実現していない。日本シリーズ進出だけを目指し、第1ステージでの伊藤の温存。失敗を恐れない新庄監督らしい勇気ある作戦だった。だが、本来失うものがない2位チームにあって、エースの伊藤は大きなものを背負いすぎているように感じた。

 日本ハムが最終ステージを突破するには、伊藤の2勝が絶対条件に近い。ソフトバンクには1勝のアドバンテージがあるため、2度目の登板は短い期間で背水の陣のマウンドとなる可能性がある。なるべく少ない球数で長いイニングを目指すのはエースとして当然のこと。その強い使命感があだとなった。

 初球から強い球をゾーンに投げ込み、2ストライク以降も遊び球なし。3回2死一塁、真っすぐ一本で待っている山川に初球の直球系のツーシームを痛打されての適時二塁打。4回の今宮のソロも初球の直球で、5回の栗原のソロは2ストライクからの3球目の直球だった。6回途中4失点、97球での悔しい降板。この経験をさらなる成長につなげてほしい。

 ソフトバンクはパ・リーグで独走しただけのことはある。攻守で随所に強さを感じた。栗原、山川、近藤もさすがの打撃だった。あとは1番・柳田に当たりが出れば手をつけられなくなる。(掛布 雅之)

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