【阪神】藤川球児監督が就任会見「空気がいいだけの選手は必要ない。力が必要」「危機感を」一問一答〈2〉

就任会見を終え、報道陣に囲まれる藤川球児監督(カメラ・渡辺 了文)

 阪神・藤川球児新監督が15日、大阪市内で就任会見を開き、所信表明した。背番号は現役時代に長く背負った「22」と発表された。

以下、一問一答。

―理想のチーム、理想の野球は

「あまり本当は言いたくないんですけど。戦う前に言うのはなかなか今、チャンピオンチームであった昨年であれば思うんでしょうけど。僕はどちらかというと僕はまだ新たに就任する監督であって、コーチ陣の方々とも、まだビジョンを来年に向けて組んでいないので。その段階でメッセージとして固まってしまうのは、正直控えたいと思います。みなさんが持っている岡田監督と戦ってきたコーチ、選手たちが持っている野球観というのはすごく大事なので、僕としては、前回岡田監督が監督をされた2008年までの時、その後の09年以降の野球も自分の中で覚えていまして。野球のベースが移り変わっていた記憶がありまして、そこで選手たちが岡田監督という強烈な、すばらしいリーダーシップを持った方の野球から僕自身もそうですけど、簡単にパッと変化できなかったというのがあって。なので、いかに流れの中で、いわゆるチャンピオンチームである巨人の阿部監督を倒していくかだとか、他球団と勝負していかないといけないときには、時間があるようでないので。そこは意思の疎通をはかってから決断を下したいなと思いますけど、まだ見てはいけないのかなと思っています」

―外からもチームを見守ってきたが、現状のチームをどう捉えているか

「前年度の日本一。今シーズンも2位まで、最後に強烈な追い上げ。僕も岡田監督とたくさんプレーしてきたので、監督力です、ハッキリ言えば。選手たちはすばらしくあると思います。ただ、僕も岡田監督とともに戦ってきて、岡田監督というのは、駒が変わっても同じような順位に持ってくる力がありました。なので、もしこれで、僕も頑張ります。でも、僕が来たことでチームが下がってしまうことがあれば、選手たちの力もありますから。僕は09年以降、必死でチームを支えたというのもありますから、そういう部分で選手たちの本気度と、それと現状維持でいるような周りから見えているような選手というのは、危機感を持ってのぞんでもらいたいなと思います」

―現在のチームの強みは

「そこはもうファンの方々が思っている、メディアのみなさんも同じかもしれないですけど、3点ほど取ったらゲームをきっちり終わらせてくれるというような安定の野球です。僕もそこは一番のベースになります。面白みがある野球ではなくて、スルッとゲームが終わっているというのが、それが狙いですけど、そういうゲームって後ろからいくリリーバーは出やすいんですよね。ゲームの流れのよどみとか、そういうのをあまり作らないようなゲーム展開にしたいというのがありますから、その辺りは。あとは選手たち、コーチたちがさらに呼吸が早くなる、岡田監督がたくさん引っ張ってきたと思うので、呼吸を選手たち、コーチたちが常に忙しく呼吸しているような、この秋、それから春、開幕まではそういう時間にしたいなと思いますけどね」

―逆に強化すべきところは

「うーん。非常に難しいですけど、ベテランと言われる選手。僕もベテランの時期は過ごしました。その中で僕たちが現役として、優勝はしました。勝てば勝つほどプレッシャーは高まり、求められる責任感は大きくなります。その中で、どんな選手がそれを少しでも監督コーチじゃない立場から、その気持ちを受け流して、こういう時はこうするんだよ、というような気持ちの安らぎというか、力が必要です、もちろん。選手の力が必要ですけど、ベテランの選手でただ空気がいいだけの選手は必要ないので。力があって、周りの意見も酌み交わしながら、橋渡しとは言わないですけど、うまくファンとか、選手からみた首脳陣とか、全てを取り囲むというところの、そういう選手がいないし、ほしいし。また、なってもらいたいと思うし。ただ必要なのは力です。力が必要なのは間違いないです。プレーヤー個人の力がなくてベテランというのは、僕は必要ないです」

―2025年はファームの新施設も完成するが、育成への思いは

「少しその話になると表情がまた少し一つ、僕も監督として考えないといけない。今のは戦いの部分ですが、次は育成という部分に変わりますから、少し話の視点が変わります。やっぱり新しく、鳴尾浜は僕もずっとお世話になったし、最後の試合もたくさんのファンに来ていただいたと聞いています。それが今度は阪神沿線の中、甲子園までの途中の尼崎というところで見られる。選手たちも多大なる刺激が入ると思います。それから女子野球もあります。いま、地域で少年少女たちに野球を教えたり、チアリーディングとか踊る方にも力を入れています。本当に地域密着というのが、どの球団でも必要で。僕は高知県に行って講演とかするんですけど、過疎化が進んでいるところもあって、もっともっとスポーツの世界から世の中に元気を与えて、受け皿、夢のある世界を広げないと。という意味では、最初に話したビジョン、大きな球団のビジョンの中にそこはあります。もちろんファームの選手、もちろん大事ですけど、入団してくる選手も大事ですけど、それは現場でやりますから。球場の周りをどう美しくして、魅力のあるところにして。僕もせっかく来年90周年にもなる阪神タイガースの監督という役割を頂きましたから、球団の方とみんなで今後100年、200年というところに向けて、いかに阪神タイガースが愛される球団で全国から来たいと思ってもらえる必要、私には義務がありますから、見ておいて下さい。やりますから」

―チームの柱として支えてもらいたい選手はいるか

「就任要請を受けたときに球団首脳の方にお話ししたのは、僕にとって、ファンの方には選手の名前、背番号、顔というのは大切かもしれないです。ただ、グラウンドに出たときはボールとバット、いわゆるプレーのすばらしさ、能力が必要なわけですよね。僕が選手たちにいくら築いてきたプライドとか、応援されているファンがすごくいるのも、すごく大事です。でも僕も現役を辞めて分かったんですけど、やっぱりタイガースの選手は辞めても愛されます。それはどれだけプレーができるかは、もしかしたら関係ない。でも相手を倒すには絶対的な力が必要なので。いわゆる、どんな選手と聞かれたら、能力のある選手を数字とともに見たいし、うちにも優秀なデータ班がいます。それも生かしながら、その中で野球という数字に表れない、ベースボールとまた違う深みのある、僕も解説としてアメリカのメジャーリーグも見たし、日本のプロ野球も見たし。その違いはあるんですけど、そこを、岡田監督もやってきたように、日本の野球。大谷選手みたいにはみんななれないんだって、岡田監督はおっしゃいました。その通りです。なりたい選手もいます。そこも僕としてはなぜというところもデータと一緒に見つけながら、球団と一緒に選手にアプローチをかけていく。あくまで感情的にならず、柔らかく、グラウンドで選手たちが一番荒ぶるのがグラウンドであるような状態に持っていきたいと思います」

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