投手3冠のタイガースの先発スクバルがポストシーズン初登板初勝利 シリーズ白星発進

◆米大リーグ・ワイルドカードシリーズ アストロズ1―3タイガース(1日 米テキサス州ヒューストン=ミニッツメイドパーク) 

 シリーズ第1戦を行い、タイガースが先発スクバルの6回4安打無失点の好投などで、3―1で白星発進した。タイガースは2回にロジャーズの中前先制適時打を口火に3点を奪い、試合の主導権を握ると、9回のアストロズの反撃を1点に抑え、最後は2死満塁のピンチをしのいで逃げ切った。

 9回2死満塁。ヘイワードが一直に倒れると、スタジアムが静まり返る中、一塁側ベンチの最前列で見守っていたアストロズの菊池は、ゆっくり踵(きびす)を返し、三塁側ベンチからはタイガースの前田が、笑顔で勝利のハイタッチの列に並んだ。

 「痙攣(けいれん)が起きてフラストレーションがたまったが、勝って終わったので良かった。水分も栄養も取っていたけど、すごく汗をかいていた。中継ぎが後を踏ん張ってくれて良かった」と、ポストシーズン(PS)初出場初勝利の先発スクバル。2回はライナーを右手に受けたが、3者凡退に抑え、3回2死一、三塁、4回1死一、二塁のピンチをしのいだ。6回には痙攣を起こしてタイムを要求も、ディアスを99マイル(約159キロ)の直球で3球三振に仕留めて雄叫びをあげた。

 「右の好打者が並ぶ打線を相手に、チェンジアップを効果的に投げることができた」。自身初の開幕投手を任された今季。チェンジアップを搭載し、スライダーの握りを変えるなど、変化球に磨きをかけて急成長。初出場の球宴を挟み、破竹の10連勝。公式戦31試合に登板し、18勝4敗、防御率2・39。勝利数、防御率、奪三振(228)のトリプルクラウンを達成した左腕が、チームを2014年以来のPS勝利に導いた。

 サイン盗み疑惑の処分から復帰後、タイガース監督に就任4年目で初のPS進出を果たしたヒンチ監督は「スクバルに異変が起きた時は100%パニックになった。全身の痙攣が起きていたんだ。彼が(故障ではなく)痙攣と言ったのでホッとした。そして、彼は投げ切った」と27歳左腕の闘志をたたえた。

 7月のトレード期限は売り手に回り、先発フラーティをドジャースに放出。8月10日の時点で借金「8」。絶望的だったプレーオフが、終盤の驚異の追い上げで、現実に。8年連続PS出場の西地区チャンピオンから敵地で初戦白星を奪った。

 「これが我々の本来の姿だ。次の塁を目指し、良い打席を重ね、次の打者に託す。シーズン中ずっと、やってきたことだ」と指揮官。10月もタイガースの勢いが止まらない。

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