臨機応変さが生み出した岡本和のV打、浅野の押し出しに感じた末恐ろしさ…高木豊さんが語るGの強さ

5回無死一、三塁、通算1000安打目となる中前先制打を放った岡本和真(カメラ・池内 雅彦)

◆JERA セ・リーグ 巨人3―1中日(27日・東京ドーム)

 臨機応変さが生み出した、岡本和の6回の先制打だった。梅津に四苦八苦している展開でとりあえず1点、という打撃に徹した。前の打席は5球全て変化球で三ゴロ。その配球も踏まえ、強引な引っ張りの欲を封じ込め、センターに返すという意思が伝わってきた。

 この時期、4番打者に調子の良しあしは関係ない。エラーもあったが、引きずっている場合じゃない。ここは本塁打が欲しい、ここはタイムリーが欲しい、という場面で、いかに期待に応えるか。岡本和は今季、一、三塁、左翼と3つのポジションをこなしながら、真摯(しんし)に4番を務めてきた。彼なしではここまで来られなかったし、阿部監督も心の中で感謝していると思う。

 押し出し四球で重い1点をもぎ取った浅野にも触れたい。追い込まれてから右方向にファウルを打ったとき、阿部監督から「強気に行け」というようなしぐさがあった。普通、あんなふうに気合を入れられたら、若手は際どいコースに手が出てしまうものだ。

 そこで浅野は感情に惑わされて前のめりになることなく、選ぶべきボールを選んだ。押せ押せの流れでも頭の芯は冷静だ。19歳とは思えない貫禄を感じさせる選手だけど、精神年齢もオトナだよね。末恐ろしいよ。(スポーツ報知評論家・高木 豊)

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