歓喜へカウントダウンの大谷翔平 ベンチでの動きにも表れる優勝争いの高揚感

◆米大リーグ ドジャース4―3パドレス(25日、米カリフォルニア州ロサンゼルス=ドジャースタジアム)

 ドジャース大谷翔平投手(30)が25日(日本時間26日)、本拠地パドレス戦に「1番・DH」でフル出場。決勝打を放つなど3打数2安打2打点の活躍で、チームの3年連続地区優勝に王手をかけた。56個目の盗塁も決め、2001年イチロー(マリナーズ)の樹立した日本人最多記録に23年ぶりに並んだ。パドレスとの天王山3連戦で初戦を落として2ゲーム差に迫られていたが、2戦目を取り返し、優勝へのマジック「2」が再点灯。26日(同27日)に勝てば歓喜の瞬間が訪れる。

 感情を抑えきれなかった。大谷は打った瞬間、雄たけびを上げながら一塁へ駆け出した。同点の6回2死一、二塁。3番手左腕モレホンのシンカーを捉えると、鋭い打球が狭い二遊間を破った。決勝の中前適時打に、一塁コーチとヘルメットをぶつけ合う「ヘッドバンプ」もいつもより強さが増した。マジック「2」を再点灯させ、地区優勝に王手をかける一打を「打てて少し感情的にうれしさが出たと思います」と照れくさそうに振り返った。

 勢いをつけたのも大谷だった。初回先頭の1打席目には四球を選ぶと、相手暴投で二進。T・ヘルナンデスの適時打で先制のホームを踏んだ。同点の4回2死一、二塁でも、打球速度116・8マイル(約188・0キロ)という右翼フェンス直撃の適時二塁打で一時勝ち越し。6回の勝ち越し打の後には、01年イチローの日本人最多に並ぶ56個目の盗塁となる二盗を決めた。直近6試合は24打数17安打の打率7割8厘と絶好調。「単純にやっぱ調子がいい」と前置きした上で「もちろん年を重ねるごとに、打撃の技術がやっぱり上がってくると思う。フィジカルもそうですけど、そういう地力みたいなものが少しずつ形になっているのかな」と進化に手応えを明かす。

 メジャー7年目で初の優勝争い。これまで味わえなかった張り詰めた空気をかみしめている。6回は、先頭の6番スミスの打席から、早くもヘルメットをベンチでかぶって準備。早く打席が回ってきてほしい気持ちの表れか―。落ち着きなくベンチ内でも動いていた。それでも試合後には、私服に着替えて汗を流しながら取材に応じ「最後の最後まで、そういう(しびれる)試合ができることに感謝したい。ここまで健康を保って、今日もしっかり全部出られたことに、まずはそれが一番じゃないかなと思う」と冷静に振り返った。

 26日(日本時間27日)の本拠地パドレス戦に勝てば、自身初の地区優勝が決まる。シャンパンファイトも予定されている。レギュラーシーズンは残り4試合。「そのため(地区優勝)にここまで頑張ってきましたし、それをホームのゲームで明日(26日)できれば、それは特別じゃないかなと思います」。待ち望んできた歓喜の瞬間が目の前に迫ってきた。(安藤 宏太)

 ◆翔平に聞く

 ―プレーオフに向けて、球場の雰囲気がエネルギーを与えている。

 「それはかなりあると思いますね。ファンの盛り上がりもそうですし、チームの士気も高いと思うので。そこはより集中できる材料なのかなと思います」

 ―大事な場面、特に得点圏で欲が出すぎると良くないと思うが。

 「基本的には、場面に関係なく自分のいい打席を送ればいい結果が出ると思っているので」

 ―毎打席、安打が打てるような感覚か。

 「打席に入ったらあんまり何も考えてないというか、本当にその打席に集中しているので。打てそうだな、打てなさそうだなというのも、あんまり意識はしてないですかね、今は」

 ―スライダーの見極めには自信があるか。

 「スライダー、シンカー、チェンジアップとかあんまり関係ないというか。本当にゾーンに来た球を。基本的にはどのルートを通っても、そこ(ストライクゾーン)に来た球を打てば、いい結果が出ると思うので」

 ―昨日トリプルプレーで試合終了となったが。

 「最後ああいう形で終わりましたけど、その前に(9回に)もちろん1点取ってますし、簡単に終わらなかったってところが重要だと思うので。そこまでの過程でいえば、悪くはなかったのかなと」

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