「今の彼は人間に見えない」大谷翔平に指揮官驚き 4戦5発6盗塁で打率.778「55―55」へあと2発

◆米大リーグ ドジャース6×―5ロッキーズ(22日、米カリフォルニア州ロサンゼルス=ドジャースタジアム)

 ドジャース大谷翔平投手(30)が22日(日本時間23日)の本拠地・ロッキーズ戦に「1番・DH」で出場し、1本塁打2盗塁をマークして「53―55(本塁打、盗塁)」とした。3、7回に二盗を決め、日本人初5戦連続盗塁で日本人最多記録(01年イチロー)に王手をかけると、9回先頭で右中間へ起死回生の53号同点ソロ。続くベッツの2者連発となるサヨナラアーチにつなげた。24日(同25日)からは本拠で3ゲーム差の2位・パドレスと3連戦。「55―55」への期待も膨らむ中、最速で25日(同26日)に地区優勝が決まる。

 感情を隠せなかった。大谷は何度も叫んだ。1点を追う9回先頭。スプリットを振り抜くと、オーバーフェンスを確信した。土壇場で右中間への同点53号ソロ。左手を突き上げ、三塁ベンチに向けて力強く拳を作った。球場が騒然となる中、続くベッツがサヨナラ弾を放つと、大谷は本塁で出迎え喜びを爆発させた。

 「50―50」を突破しても、ショータイムは止まらない。初回先頭で左前安打を放つと、3回には右前安打。すかさず二盗を決め、日本人初の5試合連続盗塁とした。7回にも右前安打から二盗。日本人最多盗塁に王手をかけた。最後は同点弾で締めくくり、山本の黒星も消して「53―55」。4安打で打率3割1厘で8月10日以来の3割に乗り、トリプルスリーも視野に入ってきた。4戦5発6盗塁。ロバーツ監督は「今の彼は人間に見えない。これだけ長い間、絶好調を維持している選手を見たことがない」と半ばあきれるように舌を巻いた。

 9月19日、マイアミでのマーリンズ戦では3発含む6安打10打点。「無心でしっかり自分の役割ができるように」という言葉の通り、打って走って、そこから4試合の打率は18打数14安打の打率7割7分8厘と異次元の数字を刻んでいる。MLB公式のS・ラングス記者によると、1900年以降の4試合で5本塁打&5盗塁は史上初。2者連発で試合を決めたベッツも「翔平がチームにいることは本当にうれしい。翔平がチームに力を与え、自分もいいスイングができた」と存在の大きさに感謝した。

 2位パドレスが勝利した中、劇的な逆転勝ちで24日(同25日)からは直接対決3連戦を3差で迎える。残り6試合。マジックは点灯していないが、2連勝すれば25日(日本時間26日)にも3年連続の地区優勝が決まる。しびれる最後の直接対決では前人未到「55―55」の到達にも期待が高まる。

 試合後の取材対応はなく、ベージュのTシャツ、短パン、サンダルで帽子をかぶって足早に帰路についた。24日からのパ軍3連戦は、まさに大谷が待ち望んでいた「ヒリヒリする」戦い。過去最高とも言える状態をキープしたまま、「55―55」、そしてシャンパンファイトへ歩みを進める。(安藤 宏太)

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