「ボルトと同じ」大谷翔平の走りに相手バッテリー驚き「まるで5歩で二塁へ走っているようだ」

◆米大リーグ ドジャース3―6ロッキーズ(21日、米カリフォルニア州ロサンゼルス=ドジャースタジアム)

 ドジャース・大谷翔平投手(30)は21日(日本時間22日)、本拠地・ロッキーズ戦に「1番・DH」でフル出場し、日本人史上最多となる3度目の4試合連続盗塁を決め、53個目の盗塁とした。3戦連発はならなかったが、01年イチロー(マリナーズ)の日本人最多56盗塁まで残り7戦であと3。ド軍はロッキーズに敗れ、2位パドレスと3ゲーム差となり、「5」だった地区優勝マジックが消滅した。

 最後の最後で意地を見せ、見せ場を作った。大谷は、3点を追う9回先頭の5打席目に中前安打で出塁。5試合連続安打をマークすると、1死一塁からスタートを切り、二塁に右足から滑り込んで二盗を成功させた。これで53個目の盗塁。7月22日のジャイアンツ戦で失敗したのを最後に30連続成功。93・0%と驚異の成功率を誇る。

 イチローの持つ記録へもカウントダウンが始まった。シーズン盗塁数の日本人記録は01年にイチロー(マリナーズ)が記録した56。残り7戦で“M3”だ。126得点も、01年イチローの日本人最多127に1差。一方で、3度の4戦連続盗塁はイチローも達成していない偉業だ。日本出身では沖縄出身で通算243盗塁の俊足だったロバーツ現監督が3度マークし、5戦連続も06年に記録。そんな指揮官が「スタートが抜群に良くなった。準備や反復練習、相手投手の研究によって培われた」と分析していた盗塁技術で、イチローもロバーツもなかった3か月連続月間10盗塁と、走りまくっている。

 その俊足ぶり、盗塁技術の高さに相手バッテリーも驚きを隠せなかった。捕手のスターリングスは、男子陸上100メートルで世界記録を持つウサイン・ボルト(ジャマイカ)に重ね合わせ「ボルトをよく見るが、彼の歩幅はすごく大きい。翔平もボルトと同じだ。大きなリードをとって、まるで5歩で二塁へ走っているようだ」と証言。さらには「リードが大きいのに、けん制で刺されないことは過小評価されている。あれだけのリードで一塁に戻るのはメジャーでは難しい」と敵軍の選手ながら絶賛の嵐だった。

 だが、大谷は同点の4回2死一、三塁の3打席目に見逃し三振に倒れるなど3打数1安打。3試合ぶりに本塁打も出ずチームは敗れ、パドレスが3ゲーム差に迫って地区優勝へのマジックが消滅した。直接対決3試合が残っており、パ軍以外の4試合はいずれも地区最下位のロッキーズと優位は変わらないがロバーツ監督は「気になるけど、あした(22日=日本時間23日)の試合に集中している」と気を引き締め直した。19日にプレーオフ進出が決まっても「また(地区)首位でいけるか挑戦」と話していた大谷。まだ戦いは続いている。(安藤 宏太)

◆日本人選手のシーズン盗塁上位

〈1〉56 01年イチロー(マ)

〈2〉53 24年大  谷(ド)

〈3〉45 06年イチロー(マ)

〈4〉43 08年イチロー(マ)

〈5〉42 10年イチロー(マ)

※マはマリナーズ、ドはドジャース

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