【阪神】延長10回佐藤輝明が決勝弾「完璧な一発」 本拠地での巨人との〝天王山〟へ「誰一人諦めていない」

10回1死、佐藤輝明は右越えに勝ち越し本塁打を放つ (カメラ・小泉 洋樹)

◆JERAセ・リーグ DeNA5―6阪神=延長10回=(21日・横浜)

 “右往左往”の3時間54分の主役が、振り抜いたバットを高々と掲げた。延長10回1死、阪神・佐藤輝明内野手(25)が決勝の15号ソロ。「完璧な一発。いい風が吹いていたので一発狙いました」と、ウェンデルケンの内角直球を右翼席中段に突き刺した。巨人と2ゲーム差とし、22日からいよいよ甲子園で最後の直接対決2連戦。「誰一人諦めていない」と、力強く連覇を宣言した。

 “天王山”にたどり着く前に、絶望的な状況に陥りかけた。4点リードの5回に一挙5点で逆転を許す一方、巨人は快勝ムード。マジック4のライバルと4差に広がり、直接対決を待たずして崖から落ちるところだった。ところが、そこから巨人が逆転負け。自軍は直後の8回、無死満塁から牧の失策で同点とした。なおも無死満塁は勝ち越しを逃したが、延長で“九死に一生”をもぎ取った。

 岡田監督は一進一退の興奮からか、ぼやきを連発した。バッテリーには「ホンマ、先頭出過ぎ。それだけ言うたのに。ミーティングで『先頭をとにかく抑えろ』って」とため息。殊勲の佐藤輝にも、5回の二ゴロ併殺に「全然やったけどな。ゲッツーで流れ変わった」と注文をつけた。最後に勝利の価値を「そらあ、なあ」とかみしめ、「途中で(広島が)逆転したとか言うてたから、余計にやろ」と本音。不敵な笑みを残した。

 「勝つだけというか、2試合するよ。勝てるか言うても、向こうも勝つ気なんやから、両方は勝たれへんねんから。まあ、勝敗つくけど、見とったらええやん」

 1敗すれば風前の灯火、連勝なら大きな重圧を与える二番勝負。9月2日に首位(広島)と5・5差あった状況から、「天王山」と呼べる舞台は整えた。(安藤 理)

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