巨人・戸郷翔征12勝でM8!優勝ビールかけで19歳浅野にパフォーマンス継承楽しみ

戸郷は12勝目をポーズで表現(カメラ・小林 泰斗)

◆JERA セ・リーグ 巨人6―0DeNA(19日・東京ドーム)

 巨人がDeNAを下し、1分けを挟み3連勝で優勝マジックを「8」に減らした。先発の戸郷翔征投手(24)が8回4安打無失点と好投し、3年連続で自己最多タイの12勝目。勝負どころの9月に21イニング無失点で3連勝だ。5回には岡本和が左越え25号2ランを放って突き放し、75打点でリーグ単独トップに浮上。激励に訪れた長嶋茂雄終身名誉監督(88)=報知新聞社客員=に快勝を届け、2位・阪神とのゲーム差を2とした。20日からは広島2連戦(マツダ)に臨む。

 これぞエースの投球だった。8回無失点で自己最多タイ12勝目を挙げた戸郷が、中継ぎ陣に貴重な休息をもたらした。前夜、8投手の継投による12回引き分けで点灯した優勝マジックは1つ減って「8」。お立ち台では「中継ぎの方たちも必死に投げてくれたので、なんとか8回を抑えたくて上がりました」と胸を張った。

 3四死球と制球に苦しむ場面はありながら、4回2死満塁では伊藤を初球の149キロ直球で遊ゴロに仕留めるなど球威があった。9月は3戦3勝で21イニング無失点。防御率は1・98と再び1点台に突入。152奪三振はリーグトップで、今季173イニングとして自己最多を更新。「3年連続170イニングも一つの目標でしたし、まだまだ200イニングが目標」と、さらなる高みを見据えた右腕を、阿部監督は「もう完璧じゃないですかね。だからこそ開幕投手に選んだつもり」と絶賛した。

 チームを背負いマウンドに立ってきたが「体の状態が良くなかった」時期もあったという。苦境を支えてくれたのは、責任の大きさをよく知る菅野の言葉だ。「『その日の100%を出すことだけを考えなさい』というのはすごく心に残っています」。今季復活を遂げた先輩右腕は、リーグトップの14勝。「あれだけ勝ち星を重ねている選手ですし、追いつきたいというのが一番。たくさん勉強させてもらって、いい経験になっています」と偉大な背中を追い続けている。

 ひそかな楽しみがある。「19歳に思えない」と存在感を認める浅野への“継承の儀”だ。19歳だった19年は「未成年です!」と書かれたカードを下げてビールかけに参加。リーグVとなれば浅野も19歳での参加となるだけに「今年は浅野がやるんでしょうけど楽しみ」と笑う。浅野は今季、戸郷が登板した6試合で22打数7安打の打率3割1分8厘、8月14日の阪神戦(東京D)では1号満塁弾。この日も2回1死で宮崎の右翼後方の飛球を好捕し、5回先頭ではセーフティーバントを決めて岡本和の2ランを呼び込んだ。歓喜の宴(うたげ)では、感謝を込めて炭酸水を目いっぱいに浴びせるつもりだ。

 これで後半戦は8登板で5勝2敗。「ここ数年、後半勝てなくて苦しんでいた」という過去の自分はもういない。4年ぶりのリーグV、自己新となる13勝目に向けて「僕の記録もそうですし、勝たないことには優勝に近づかない。落とせない試合がたくさんありますけど、チーム一丸となってやっていけたら」。若きエースが歩んできた物語は、最高のフィナーレへと近づいている。(小島 和之)

高橋由伸Point

 別次元にいるようだった。大事な試合なのに淡々と投げているようで、チームにリズムを運んだ。9月に入って中4日もありフル回転しているのに、疲れをみじんも感じさせない。直球は走り、フォークの精度も抜群で、スライダーも独特な角度で曲がっていく。どれをとっても超一級品で、安心して見ていられた。完封もできただろうが、まだまだ戦いは続く。戸郷中心で勝ち抜くためにも、少しでも休んで、コンディションづくりに専念してもらいたい。

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