日本ハム・伊藤大海が2戦連続完封…ダル以来シーズン4度目完封で対ソフトバンク6連勝中3勝に貢献

13勝目をあげた伊藤大海(カメラ・朝田 秀司)

◆パ・リーグ ソフトバンク0―3日本ハム(18日・みずほPayPay)

 日本ハムの伊藤大海投手(27)が、圧巻の完封で首位・ソフトバンクのV王手を阻止した。9安打9奪三振で2試合連続の完封勝利を挙げ、リーグ単独トップ13勝目。球団では11年ダルビッシュ(パドレス)以来のシーズン4完封に、新庄剛志監督(52)も「さすが僕の選んだ開幕投手」と絶賛した。チームはソフトバンク戦に6連勝。大手術を乗り越えた小村勝球団社長の職場復帰初日に白星を届けた。

 闘志でねじ伏せた。9回2死一、二塁。伊藤は外角低め、気迫の直球で川瀬を左飛に封じ込んだ。2戦連続シャットアウトでリーグ単独トップ13勝目。球団では11年のダルビッシュ(6完封)以来となる4完封に「今日は絶対やんなきゃダメだと思っていた」。首位・ソフトバンクに6連勝でシーズン最後のマッチアップを締めくくった。

 3者凡退は1度。9安打を浴びながら「狙って三振が取れた」と要所で9三振を奪った。6月29日の同戦では7失点KO。屈辱の敗戦を糧に、8月下旬からのカード6連勝中に一人で3勝を挙げてみせた。4年目の今季は開幕投手を託され、チームの貯金16のうち一人で9を稼いでいる。今季最多135球の熱投に、新庄監督も「さすが僕が選んだ開幕投手。先発が最後までマウンドに立ち続けるのは、3年間の僕の理想」とベタ褒めだった。

 絶対に負けられない理由があった。試合前、6月にくも膜下出血で倒れた小村球団社長が復帰後初めてチームの激励に訪れた。死亡率50%超、14時間の開頭手術を乗り越えて奇跡的に復活。何度も見舞いに通っていた新庄監督は、サプライズで選手、スタッフを集め拍手で社長を迎えた。涙ながらに「エスコンでのCS、見せてください」と語る社長の姿に、指揮官は「僕たちが日本シリーズに連れて行きます。奇跡を起こします」と約束。若きエースも「今日は絶対」と奮い立った。

 序盤に食らったカード7連敗の悪夢を払拭(ふっしょく)し、対戦成績は11勝11敗1分け。優勝目前のソフトバンクに苦手意識を植え付け、新庄監督は「脚本通りです」と笑った。伊藤は「絶対またここ(福岡)に戻ってくる」とCSを見据えて自信満々に胸を張った。不気味さ漂う新庄ハムは、ポストシーズンで小久保ホークスをのみ込む雰囲気を漂わせている。(堀内 啓太)

ジャンルで探す