【巨人】リーグ5連覇経験の優勝請負人が今季3本目の初回先頭打者弾「マジックがついたからと浮かれることなく」

初回無死、右越えに先頭打者本塁打を放つ丸(カメラ・宮崎 亮太)

◆JERA セ・リーグ 巨人2―2DeNA=延長12回=(18日・東京ドーム)

 弾丸ライナーが、あっという間に右翼席へ消えた。丸佳浩外野手(35)は初回先頭、ジャクソンの外角151キロをジャストミートした。「非常に大事な週。最高の形で先制点が取れてよかった」。8月13日の阪神戦(東京D)以来、今季3本目の初回先頭打者弾。巨人の攻撃開始からわずか1分で、巨人のスコアボードに「1」をともした。

 16年から広島時代を含めて個人でリーグ5連覇の優勝請負人が、走塁でも執念を見せた。3回無死から中前打で出塁。次打者・坂本の4球目にランエンドヒットでスタートを切ると、「自分の位置と投手の捕球体勢を見て、自分の感覚で行けるなと」と、ジャクソンが二塁に背を向けて投ゴロをさばく隙を逃さず、迷わず三塁を陥れた。

 さらに続く吉川の一ゴロで三本間に挟まれたものの、挟殺プレーで10秒以上、懸命に粘って打者走者の三塁進塁をアシスト。「あれはきつかった(笑い)。ですけど、尚輝の進み具合を見ながら」と冷静な状況判断が光った。

 その背中が盟友にも活力を与えている。今季は菅野、小林の同学年トリオで復活の年を過ごし「単純にうれしい」。ベンチ裏のロッカーが隣で、入念な準備も目の当たりにしている小林は「丸さんが僕らの世代を代表して頑張ってくれている。逆に頑張らないといけないですし、僕とか特に頑張らないといけない」とリスペクトを込めて「さん」付け。19、20年の連覇を知る89年世代が高め合っている。

 5回には先頭で四球を選び、NPB歴代12位の榎本喜八に並ぶ通算1062四球目。3打席連続出塁と切り込み隊長の役目を全うした。4年ぶりの頂点へマジック「9」が点灯したが「試合後に監督も僕たちに話してましたけど、あまりマジックがついたからと浮かれることなく。しっかりとその日、その日の試合に集中していく。そこは変わらないですね」。冷静で頼もしい優勝請負人が、巨人をけん引し続ける。(内田 拓希)

 ◆「優勝請負人」丸佳浩 広島時代には16年から主に田中広輔、菊池涼介に続く3番に座り、「タナキクマル」を形成。リーグ3連覇の原動力となり、17、18年には広島初の2年連続MVP。巨人へのFA移籍初年度となった19年にも2番・坂本と4番・岡本和をつなぐ3番打者として全143試合に出場。打率2割9分2厘、27本塁打、89打点で5年ぶりリーグVに貢献すると、コロナ禍で120試合制となった20年も2年連続全試合出場を果たし、“個人5連覇”を達成した。

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