「今年ダメだったら終わり」松原聖弥、電話の着信音におびえ 笑顔の裏に強い危機感と秘めた思い

巨人から西武に移籍する松原聖弥

 卓越した打撃センスを持つ松原は、周囲を明るく照らしていた。先輩、後輩問わず愛される性格。梶谷やイチローのものまねでチームメートやファンを沸かせることもあった。今春キャンプでは26歳以上は免除のランニングメニューに参加。若手に「聖弥さんはまだまだ若いから」といじられ、「もうすぐ30歳やで!」とツッコミながら先頭を走った。「面白くなったり、いじられて盛り上がるんでいいんじゃない」。周りはいつも笑みであふれていた。

 笑顔で振る舞う一方、強い危機感を持っていた。近年は出場機会が激減。オフは電話の着信音が鳴るたびにおびえていた。「今年ダメだったら終わりだと思う」。生き残るため体重を減らし、バットも替えた。今季は野球人生をかけて臨んでいた。

 秘めたる思いもあった。1年で失った背番号だ。21年の活躍で背番号9を勝ち取ったが、成績不振もあり23年から59へ。「意識し過ぎることはないけど、ふさわしい成績を出して、もう一回背番号も戻せたら」。巨人での復活はならず、取り返せなかった。ただ、西武で巻き返す機会を得た。唯一無二のキャラクターを持つ男が、新天地で新たな勝負へ挑む。(巨人担当・宮内 孝太)

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