【センバツ】英明が春初勝利 寿賀弘都ド根性投法!捕手の返球が左肘を直撃も「行かせてください」

8回2死満塁、送球が左腕を直撃しながらもピンチを切り抜けた寿賀弘都(右)を迎える英明・香川純平監督(カメラ・岩崎 龍一)

◆第95回センバツ高校野球大会第2日 ▽2回戦 英明3―2智弁和歌山(19日・甲子園)

 昨年11月の明治神宮大会で8強入りした英明(香川)が智弁和歌山に競り勝ち、3度目の出場で初勝利を挙げた。3―2の8回1死二、三塁、中浦浩志朗捕手の返球が、寿賀弘都投手(ともに3年)の左肘を直撃。アクシデントに負けず、その後のピンチを切り抜けた。香川純平監督(37)は、英明を率いて2011年夏に同校の甲子園初勝利を飾った父・智彦監督(65、現藤井学園寒川)と親子2代で白星を飾った。

 8回。1点差に迫られて、なおも1死二、三塁、2ボールになった直後だった。捕手・中浦が二塁にけん制球を投げようとした勢いのまま、強めに投手・寿賀に返したが、左肘を直撃。6回2死一、二塁で左前適時打を放ち、7回からリリーフした左腕はうずくまった。「痛みはあったけど『行かせてください』と。逃げ腰になったらいけない」。ベンチに下がって治療を受け、再びマウンドに上がった。

 四球で満塁としたものの、後続を一ゴロ、中飛に打ち取った。投げられる状態ではなかったが、“魔曲”「ジョックロック」が流れる中でピンチを脱した。「対戦が決まってから、(応援に)慣れようと思って(動画サイトで)聴いていた」という対策が実り、9回のマウンドは百々(どど)愛輝に託した。

 中浦は8回2死一、二塁で勝ち越しの左前適時打をマーク。直後のアクシデントで殊勲打が吹っ飛ぶところだった。「やらかしたと思った。ブルーな気持ちになった。ベンチに戻った後に深々と頭を下げました」と苦笑いした。

 香川監督は甲子園初采配で同校の春夏通算2勝目に導いた。初勝利は11年夏に父・智彦監督が挙げた。数日前に「気負わんでやれよ」と激励され、親子ともに聖地で勝利した。20年秋の香川大会決勝では「香川親子」の対決で敗れたこともある。「父親がつくったチーム。春は勝っていなかったので、私が勝ちたかった」と“師匠”に吉報を届けた。

 昨秋に香川監督は、日本高野連が若手指導者の育成を目的とする「甲子園塾」に参加し、智弁和歌山・中谷監督の指導を受けた。「失礼かなと思う質問でも真剣に答えていただいた。甲子園の雰囲気やコンディショニングなど、教えてもらったことを全部出そう、と」。恩を返し、作新学院戦で父超えの2勝目を目指す。(伊井 亮一)

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