WBC日本代表の準決勝進出は5大会連続、過去4大会の結果は2勝2敗の五分
野球の国・地域別対抗戦「ワールド・ベースボール・クラシック」(WBC)の準決勝で、日本代表「侍ジャパン」は20日(日本時間21日)、メキシコと対戦する。5大会連続の準決勝進出となるが、過去4大会は2勝2敗の五分。その戦いぶりを振り返る。(デジタル編集部)
■【第1回大会】不振の福留が代打で先制2ラン
準決勝 日本6-0韓国
決 勝 日本10-6キューバ
この大会、韓国に対して日本は1次ラウンドと2次ラウンドで2連敗していたが、準決勝は先発の上原浩治(巨人)が七回まで3安打無失点と、韓国に付け入るスキを与えない好投を見せた。
チャンスを逃し続けた打線も七回、先頭の松中信彦(ソフトバンク)がライトへの二塁打。一死後、代打・福留孝介(中日)が韓国の金炳賢からライトへ先制の2ランホームランで均衡を破った。里崎智也(ロッテ)、宮本慎也(ヤクルト)、イチロー(米マリナーズ)などが続き、この回一挙に5点を挙げた。八回には、多村仁志(横浜)のソロ本塁打で加点した。投手陣も藪田安彦(ロッテ)、大塚晶則(レンジャーズ)が得点を許さなかった。
福留はこの大会、準々決勝まで19打数2安打と不振で、準決勝は初めてスタメンから外れた。福留は後のインタビューで、「ホッとする反面、悔しさもこみ上げましたが、王貞治監督からいただいた『必ずいいところで行くから、気持ちを切らさず準備してくれよ』という言葉は大きかった。代打は不慣れだったけど、覚悟を決めたから余計なことを考えずに打席に入れた。それが、七回の先制2ランにつながりました」と振り返っている。(準決勝=2006年3月18日、米カリフォルニア州サンディエゴ)
■【第2回大会】松坂が苦しみながらも試合作る
準決勝 日本9-4アメリカ
決 勝 日本5-3韓国
日本は先発の松坂大輔(西武)が初回に先頭打者本塁打を浴びてリードを許すなど、序盤は苦しい展開だった。1点を追う四回、日本は稲葉篤紀(日本ハム)と小笠原道大(巨人)の連打で無死一、二塁とし、福留孝介(米カブス)の二ゴロが敵失を誘って同点。さらに城島健司(米マリナーズ)の犠飛や、岩村明憲(ヤクルト)と川崎宗則(ソフトバンク)連続適時打などで4点を追加した。
八回には、イチロー(米マリナーズ)と中島裕之(西武)の連続適時打などで3点を奪って突き放した。先発の松坂は五回途中に交代するまで2失点。後を受けた杉内俊哉(ソフトバンク)らがつないで、最後は、準決勝から抑えに回ったダルビッシュ有(日本ハム)が締めた。
杉内は後のインタビューで、「印象深いのは2009年の準決勝ですね。先発した松坂の後、五回二死一、二塁で登板しました。相手は5番アダム・ダン。4点のリードはありましたが、ここで打たれると、勢いづかれてしまう。『絶対に0点でこの流れを切る』と思いました。曲がり球でストライクを取り、高めの真っすぐで空振り三振でした」と振り返った。(準決勝=2009年3月20日、米カリフォルニア州サンディエゴ)
■【第3回大会】重盗失敗で絶好機しぼむ
プエルトリコ3―1日本
日本は一回、先発の前田健太(広島)が制球に苦しむ。連続四球の二死一、二塁から5番アービレイスに中前適時打で先制を許す。七回には2番手の能見篤史(阪神)がリオスに2ランを浴びてリードを広げられる。
日本は八回、鳥谷敬(阪神)の三塁打に続く井端弘和(中日)の適時打で2点差に。内川聖一(ソフトバンク)が3連打で続いて一死一、二塁とした。4番の阿部慎之助(巨人)を打席に迎えながら、狙いは意表を突く重盗。サインを受けた井端が二塁からスタート、一塁の内川も飛び出した。
しかし、「立ち止まってしまった」と急停止した井端の動きについて行けなかった内川が一、二塁間でタッチアウトとなり、絶好機は一瞬でしぼみ、3連覇の夢を断たれた。
山本浩二監督は「選手、スタッフが心を一つにして戦ってくれた。すばらしいチームを預からせてもらった」と大会を総括。反省点を問われると、「そのゲーム、そのゲームでは(反省点が)あるが、その都度、選手は状況判断できていたし、ゲームに関しての反省点はそんなにない」と述べるにとどめた。準決勝の重盗失敗の場面については、「『いける』と踏んでのダブルスチールだった。結果はアウトだったが悔いはない」と話した。(準決勝=2013年3月17日、米カリフォルニア州サンフランシスコ)
■【第4回大会】菅野が力投も、痛恨の守備の乱れ
アメリカ2-1日本
日本は1、2次ラウンドを6戦全勝で突破し、アメリカとの準決勝を迎えた。先発の菅野智之(巨人)は初回、二回と三者凡退の素晴らしい立ち上がり。しかし、四回一死からイエリチのゴロを名手・菊池涼介(広島)が弾き、二塁まで進まれてしまう。菅野は二死一、二塁までこぎつけたが、6番・マカチェンに先制タイムリーを許してしまう。
六回、その菊池に名誉挽回の同点本塁打が出たが、流れは変わらなかった。八回、2番手の千賀滉大(ソフトバンク)が一死二、三塁のピンチを招くと、今度は松田宣浩(ソフトバンク)がA・ジョーンズのゴロをつかみ損ねて本塁へ送れず(記録は三ゴロ)、勝ち越し点を奪われた。日本の世界一奪還への戦いは準決勝で終わった。
菅野は「あの時(2017年大会)、米国の打者と対戦して『このチームを抑えられたら大丈夫だよな』と思えたし、(その後は)どんな厳しい場面でも『あの時の緊張感に比べたら』と思えました。高いレベルの中で現状の力も把握でき、もっと上の世界があるんだと思えた時間だったので、もっともっと上を目指そうと思えたきっかけになりました」と振り返っている。(準決勝=2017年3月20日、米カリフォルニア州サンフランシスコ)(登録名、所属、肩書は当時)
03/19 12:52
読売新聞