【巨人】FA戦線に異常?阪神、ソフトバンクから選手補強の“掟破り”か…CS敗退を受け“大改造”の構え

 

 1993年オフから始まった日本球界のFA制度。数々の移籍が実現してきたが、もっとも多く成立させたのは巨人だ。投手、野手ともに14人の計28人で、2位のダイエー時代を含むソフトバンクが16人ということを考えれば、いかに多いかがわかる。一時、アンチからは「巨人の戦力補強は育成よりFA。他球団の4番ばかり集めたがる」と揶揄された所以である。

 

 ところが、2021年にともに横浜DeNAから井納翔一投手、梶谷隆幸外野手を獲得して以降、なぜか“音なしの構え”を貫いていたのである。

 

「このころになると、原辰徳監督がより育成の方針を強めたため、FA市場に名乗りを上げなかったのです。ところがFA補強をしなかった2022年と2023年は、ともに4位とBクラスに低迷。今年はリーグを制しましたが、活躍したのがBクラスに低迷した2年間に育成した選手たちと、皮肉な結果になりました」(巨人担当記者)

 

 

 ところが今オフは“音なしの構え”を返上し、「最大3人獲りも狙っている」と続ける。それはなぜか。

 

「4年ぶりにリーグ制覇をしながらもクライマックスシリーズ(CS)では横浜に敗れ、日本シリーズ進出を阻まれた。阿部慎之助監督は相当悔しがったといいます。来季、その屈辱を果たすためには育成よりも即戦力の補強が近道。しかも今季復活した菅野智之がメジャー移籍が確実なので、新戦力はいくらでも欲しいようです」

 

 では、誰を獲りにいくのか。

 

「FA市場が解禁となった当初、巨人は阪神の大山悠輔内野手(Aランク)、ソフトバンクの甲斐拓也捕手(Bランク)を獲りに行くと見られていました。ところがここにきて、この二人に加えて、同じくソフトバンクの石川柊太投手の獲得も目指しているといいます。

 

 ルール上、FA権を行使した選手との契約は2人までですが、石川は金銭や自チームの選手を手放すことなく獲得ができるCランクのようで、3人めとなっても獲得に支障はありません。いよいよ、巨人が本気になって動き出したようです」(同前)

 

 ただし、3人の獲得に「ルール上は問題なしだが、人道的にはいろいろ言われるでしょう」とスポーツ紙デスクは語る。

 

「巨人と阪神はプロ野球創成期からライバル関係にあります。とくに阪神ファンの巨人に対するライバル心は、敵対心と言えるほど強いわけです。だからこそ巨人と阪神でのトレードはこれまでにかなり少ない。

 

“空白の一日”と球界を揺るがした大事件の犠牲者である巨人・小林繫と阪神・江川卓のトレードは別にして、大物が絡んだトレードはほとんどなかった。互いに『主力を獲り合うのはやめよう』という暗黙の了解のようなものがあったからです。

 

 そうしたなか、阪神の4番の大山がFAで巨人に獲られたらどうなるか。すでにXでは《大山頼むから巨人だけは行かんといてくれ》とか《大山がFA宣言してひやひやしてる》といった声が多数寄せられています。それでも大山の巨人入りが実現すれば、“掟破り”の移籍となるでしょう」(阪神担当記者)

 

 同じことが巨人とソフトバンクにも言えるようだ。担当記者が解説する。

 

「これまで杉内俊哉投手のFA移籍や小久保裕紀野手の無償トレードはありましたが、ソフトバンクから大物選手が巨人に移ったのは、この2例くらい。やはり巨人としも手を出しにくい状況にあったようです。というのも、2009年にソフトバンク球団の会長に就任した王貞治氏は巨人のOBですからね」

 

 これまでの歴史を見て“掟破り”と捉えられても仕方がない補強手段。2012年を最後に日本一に届かない巨人が、本気になっているようだ。

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