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元阪神の〝松井キラー〟浪速高校監督の遠山昭治氏インタビュー

本紙のインタビューに応える遠山氏

 かつて〝巨人・松井キラー〟の中継ぎ左腕として名をはせた元虎戦士で、元本紙評論家でもある遠山昭治氏(53)は現在、大阪・浪速高校野球部監督を務めている。昨年11月の就任から1年。コロナ禍に直面しながらも夏の独自大会、秋季大会を通じてチームを成長させた。冬場に向けて体力強化に取り組む遠山監督がチームづくりの楽しさ、難しさを語った。

 --就任から1年。大変な年だったのでは

 遠山監督 試練というか、日本だけじゃなくて世界がコロナなわけですからね。思い切って野球をやらせたかったけど、実戦を組んでいても全部なくなって…。生徒にどう言ってあげようかというのは悩みましたよ。3年生をどうにかしてあげたかった。そんな中で独自大会ができたのはよかったと思いますね。

 --8月の独自大会の4回戦では強豪・大阪桐蔭と対戦した

 遠山監督「おまえら持ってるな」って思いましたよ(笑い)。運が悪いなかでテレビ中継もあってシティ球場(大阪シティ信金スタジアム)でできた。ある意味よかったですよねえ。でも9イニングやりたかった(1―11で5回コールド負け)。3回戦が不戦勝だったんで勢いをつけられなかったかもしれません。負けたけど、生徒も笑顔だったし、安堵感はあったと思いますよ。

 --力の差を感じた

 遠山監督 桐蔭さんはどこが相手でも全力で来てスキを見せない。グラウンドに入っても動きが機敏だし、ウチはノンビリ。さすが桐蔭だし、すごく教育されてる。ウチは反骨心が出てこない。レベル的に低いんでそこを感じないといけないですよ。ここをこうすればいけるんじゃないか、という貪欲さ。泥くさく、練習あるのみ。やるからには勝たないと面白くないし、黙々とやるしかない。試合前の7分間のノックでも何を考えてやらないといけないかとか、すごく勉強になりました。

 --どんなチームづくりをしているのか

 遠山監督 54人部員がいてメンバーは20人。34人は入れないんだから同じことをしていてもダメ。一歩出ている選手に対して何をやればいいのかを気づかせたい。今の1、2年は強打のチームというのが難しい。足を使ったり、一、三塁からエンドランで点を取るとか…。打つ方はまだまだ全然だけど、守りはやればやるほどうまくなるので毎日鍛えています。

 --競争意識を植え付けている

 遠山監督 1週間で頑張った選手、アピールした選手は試合に連れて行くようにしています。それは曲げない。すると生徒も把握するんですよ。いつも呼ぶ選手を呼ばないこともあるし、レギュラーは2~3人しかいないんだぞと。当然みんなプレッシャーを感じますよ。それでハングリー精神が芽生えたらいいんですけど、今の子はなかなか難しい。しつこくやっていくしかないです。

 --野村IDのような頭を使う野球も

 遠山監督 考えていますよ。ただ頭でやるより体で覚えないと動けない。試合に出てミスしてどう感じるか、悔しい思いをしないとわからないですよ。配球の読みとかデータとか、そこまでの力はないし、ミーティングしても難しいですよ。ある程度できるレベルではあればいいですけど…。

 --高校生を指導することでの発見もある

 遠山監督 成長力はありますよ。「おまえら一番下手なんだぞ」って言ってはいるんですけど、メンバーに選ばれなかった選手が成長したらうれしいですよ。「ここまでは読めなかったな~。試合に出せばよかった~」なんて思いますもん。

 --冬場の強化ポイントは

 遠山監督 下半身、股関節の強化をとことんやります。打撃でも当てるだけで押し込みができないし、投球も踏み込んだ後の絞りがない。守備も足を使って追い込んで粘って投げないといけないですから。

 --生徒との接し方は

 遠山監督 毎日全員と話すようにはしてます。ほとんど褒めないですけど(笑い)。怒鳴るのもしんどいですもん。説明はしっかりしてあげますよ。言葉の捉え方も難しいのでいろいろ考えながら表情を見てフォローしたり…。でも他のチーム見てたら厳しいとこもありますよねえ。そういうのを考えた1年でもありました。練習もオープンにしているので隠さず保護者にも見てもらっていますよ。

 --目標はもちろん甲子園出場

 遠山 甲子園というよりどんな大会でも常にベスト8を目指す! 独自大会でもなんでも「いつもベスト8には浪速がいるぞ」っていうね。優勝となると大阪は桐蔭、履正社がいる。100パーセント無理じゃないけど、何とか頑張ったら受け入れられる目標。常にベスト8だってものすごく強くないとできないですよ。

 --秋季大阪大会では公立の山田が履正社を倒した番狂わせもあった

 遠山監督 ウチも山田と4回戦で対戦したけど、強いというイメージじゃなくて、あれよあれよで終盤のミスから逆転負けした。一瞬のミスを畳み掛けるチーム力がありました。履正社を倒したのは秋大会だからこそできたことでもあるけど、力がないとできない。だからこそウチも作戦練ろうと思いますよ。

 --監督業の一方で入試広報課の職員でもある

 遠山監督 入試の準備やイベントの案内もしますよ。週末は中学野球を見に行って関係者と話したり、浪速野球部のPRですよね。なかなか桐蔭さんや履正社さんがあるので難しいですけどね。

 --ところで阪神の試合は…

 遠山監督 見てないのよ(笑い)。生徒のことばかりで阪神を気にすることもないし、5時半に起きて夜は時半に寝てるからね。縁あって浪速さんに呼んでもらったんで頑張りたい。これからもプロOBの監督がもっと出てくるだろうし、いい道を作りたいですね。

 --引退した藤川には

 遠山監督 これからいい指導者になってほしい。現役時代と選手との接し方が変わってくるし、教えるというのは難しいけど、あれだけの素晴らしい結果を残した選手。おのずとなっていくと思いますよ。


 とおやま・しょうじ

1967年7月21日、熊本県芦北町出身。八代第一高(現秀岳館)ではエースで主軸を任され、投打に頭角を現す。85年のドラフト1位で投手として阪神に入団。1年目から先発ローテーションに入り、8勝5敗の好成績を残した。2年目から中継ぎに転向し、90年オフにトレードでロッテに移籍。95年から野手に転向した。97年オフに戦力外通告を受け、阪神に再び投手としてテスト入団。99年に野村克也監督のもとで〝松井キラー〟として活躍し、カムバック賞を受賞した。2002年に引退。阪神の二軍コーチ、テレビ解説者、本紙評論家を務めた。14年に学生野球資格を回復し、19年11月に大阪・浪速高野球部監督に就任した。

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