『SUPER RICH』真の裏切り者は空(町田啓太)?あの不敵な笑みが示すものとは

なんか最後に町田啓太がものすごい悪い顔をしていた!

裏切り者の正体が明かされた『SUPER RICH』第7話。しかし、それはさらなる衝撃の展開への布石でしかなかった…。


※以下第7話一部、ネタバレあり

スリースターブックスから盗作漫画が配信されていた。しかし、社員たちはこの漫画のことを誰も知らない。いったい誰が秘密裏にこんな漫画をアップロードしたのか。碇(古田新太)に疑惑の目が向けられる中、犯人はアルバイトの密(結木滉星)だった。だって名前が密だもの。それはもうある程度予想はできていた。

問題は、その先。ラストカットで、MEDIA社の取締役・聡美(松嶋菜々子)と密談をしている空(町田啓太)の姿が。「可愛い人」と聡美に言われ、不敵に笑む空。というところで今回は終了。はたして空もまた裏切り者なのか、が次回への大きな引きとなった。


おそらくだが、これは振りで、空はスリースターブックスの今後の事業計画のために聡美に何らかの提案を持ちかけたと考えられる。むしろ波乱を生みそうなのは、今吉(中村ゆり)の方だろう。今吉は、ずっと衛(江口のりこ)を想い続けていた。だけど、衛はそんな今吉の気持ちもつゆ知らず、優(赤楚衛二)との結婚を決めた。


誰かの想いが届けば、別の誰かの想いは届かない。今吉の胸の内を考えれば、会社を辞めるという決断もよくわかる。でも、同じように報われなかったけど、そばにいて、ずっと支え続ける道を選んだ人もいる。それが、空だ。空の生き方が、今吉に、好きな人と結ばれるだけが幸せじゃないんだと、恋とは違う「幸せのカタチ=“スーパーリッチ”」があることを教えてくれたらいいなと思っているのだけど、はたしてどうなるだろう。


とりあえずこれで本当に空まで裏切り者だったら、確実に人間不信になるので、どうかご容赦願いたい。


一方、密の裏切りを通じて、改めてこのドラマにおける「お金」の価値が浮き彫りになった。生活に困窮する加藤(森下能幸)につけこみ、10万円で盗作漫画を描かせた密。かつてはMEDIA社で事業本部長まで務めた密からすると、たった10万円で作家人生を捨てた加藤は愚かで仕方なかっただろう。


けれど、その10万円がどれだけ重いものなのか、いちばんよく知っていたのは優だった。空への借金は200万円。休日返上で働き、190万円まで貯金はたまった。あと10万の壁がある。寒空の下、バイトをしながらそう優はため息をついていた。10万円があれば、衛に正式にプロポーズができる。夢が叶う。だから、優は汗水流して働き続けた。

人の夢を潰すために使った密の10万円と、自分の夢を叶えるために稼いだ優の10万円。同じ10万円かもしれないけど、自分を、そして周りを幸せにするのは、どちらの10万円か。答えは、明白だ。だったら、あなたはどんなふうにお金を使いますか。そう『SUPER RICH』は問いかける。


展開が急なため、ちょっと流れてしまっているところもあるのだけど、『SUPER RICH』には毎回人々の固定観念を外し、時に偏見を解除させる問いかけが散りばめられている。これまでの例を挙げるなら、男性は若い女性が好きというのもそうだし、前回、「なんで私なんかの…」と卑下した衛に、空が「私なんかって言わないでください。俺に失礼ですよ」と注意したのもそう。自虐は、自分だけじゃなく、自分を愛してくれる周りの人の価値まで下げることになるからやめよう、という『SUPER RICH』のメッセージだった。


今回で言えば、「男の人が女の人に指輪買わなあかんってことはない」がその好例。世間の鋳型に自分たちの「幸せのカタチ」を合わせる必要はない。私たちは、もっと一人ひとり自分らしく生きていけばいい。そうしたメッセージには毎回共感できる。


個人的には、立て続けに事件が発生するジェットコースター感よりも、こうした小さなメッセージをひとつひとつ編みこんでいった先に、どんなタペストリーが出来上がるのか、そこにこの作品の思う「幸せのカタチ」が見られたらいいなと願っているのだけど、つくり手たちが最終的にこのドラマをどう着地させたいのかはまだちょっと見えにくいところ。

リリカ(志田未来)や東海林(矢本悠馬)などいいキャラクターもいるのに、ここ数回は埋没してしまっている感も。上昇志向の強かったリリカは、スリースターブックスで働くことで、どんな変化があったのか。衛と真っ向から対立することもあった東海林は、人を何より大切にする衛との関わりを通して、どう感化されていったのか。「幸せのカタチ」は人それぞれだからこそ、ちゃんとサイドキャラクターの「幸せのカタチ」まで取りこぼすことなく描いていってほしいと期待している。


次回で第二部も完結。起伏に富んだ展開だけじゃない、主題をここから真摯に掘り下げてもらえたら、より見応えのあるドラマになりそうだ。



文:横川良明


【第8話あらすじ】

『スリースターブックス』は、以前のオフィスビルに戻る寸前まで業績を回復。そんな中、氷河衛(江口のりこ)と春野優(赤楚衛二)が結婚の予定であることを仲間たちが知る。突然のことに衝撃を受ける仲間たち。とりわけ、宮村空(町田啓太)と今吉零子(中村ゆり)の胸中は複雑だ。

今吉は出社時間を早めて会社に行き、衛に『スリースターブックス』を辞めると告げる。衛は今吉を引き留めようとするが、今吉の決意は固い。


また、田中リリカ(志田未来)だけが気づいていた鮫島彩(菅野莉央)の妊娠も、衛が知ることになる。さまざまな問題が浮き彫りになり、『スリースターブックス』の仲間たちに崩壊の危機が訪れようとしていた。



そんな中、『スリースターブックス』に恨みを持つ人間が次々に現れ、会社は窮地に立たされる。そして、優にも危機が…。大波乱の第2章が完結。


木曜劇場『SUPER RICH』
毎週木曜よる10時放送
出演者:
江口のりこ赤楚衛二町田啓太、菅野莉央、板垣瑞生、嘉島 陸、野々村はなの茅島みずき矢本悠馬志田未来中村ゆり戸次重幸、美保 純、古田新太、松嶋菜々子
主題歌:『ベテルギウス』優里(ソニー・ミュージックレーベルズ)

(C)フジテレビ

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