松下洸平「僕らにしかできない作品に」 世界初演『ケイン&アベル』に強い意気込み

2025年1月から3月に東京・東急シアターオーブ、大阪・新歌舞伎座で上演されるミュージカル『ケイン&アベル』(読み:けいんとあべる)の製作発表会見が10月30日、都内で行われ、主演を務める松下洸平、そのライバルを演じる松下優也、共演する咲妃みゆ、知念里奈、山口祐一郎が出席した。

イギリスの国民的作家であるジェフリー・アーチャーのベストセラー小説『ケインとアベル』を原作とした東宝ミュージカルの最新作で、世界初演のオリジナルミュージカルとして上演。東宝ミュージカル初主演となる松下洸平が銀行家の父の後を継ぐという、将来を約束されたボストン生まれのウィリアム・ケイン役を、松下優也がケインと同じ日に生まれ、ポーランドの山奥で過酷な幼少期を過ごしたアベル・ロスノフスキ役をそれぞれ演じる。

松下洸平にとっては、初めてのグランドミュージカル出演となり「もちろん、不安やプレッシャーもありますが、ここにいる素晴らしいキャストの皆さんと一緒に、ひとつのゴールを目指して、大きな船を漕いでいきたい。毎日毎日、新しい発見と出会いに恵まれる作品になれば」と意気込みを語る。

松下洸平

座長としての抱負を問われると、「僕自身が先頭に立って、作品を引っ張っていこうとか、思い過ぎないように、皆さんと同じ目標に迎えれば。その目標をなるべく早く見つけられるに、そこは率先して意見を出していきたい」と神妙な面持ち。「世界初上演だからと気負わずに、僕らにしかできない作品にしたい。極上のエンターテインメントであるべきですが、楽しんでいただきつつ、何か問いを投げかけて終われれば」と背筋を伸ばした。

一方、松下優也は「自分自身も、野心が強い方だと思います」と、叩き上げで成功の道を歩むアベルに自分を重ね、「洸平さんは内なる炎を燃やしている感じで、自然とケインとアベルの関係性を演じられるんじゃないかと思っている。たくさん吸収して、学んでいきたい」と期待感。「アメリカのケインと、ポーランドのアベルですけど、“東の松下、西の松下”になっていければ」と笑いを誘った。

松下優也

知念はアベルの妻・ザフィアを演じる。音楽を手掛けるフランク・ワイルドホーンとは、舞台デビュー作『ジギル&ハイド』から縁があり「久しぶりにフランクさんの歌を歌えてうれしい」と喜びの声。アベルとザフィアの愛娘・フロレンティナ役の咲妃は、脚本・演出を手がけるダニエル・ゴールドスタインとは、ブロードウェイミュージカル『カム フロム アウェイ』でも演出を受けており、「2度目のご縁をいただいた、大変尊敬する演出家さん。大いなる挑戦に参加させていただくことが光栄で、身震いするほどドキドキしている」と心境を語った。

知念里奈

咲妃みゆ

そして宿命のライバル同士にとって、最大の衝突を生むきっかけとなるデイヴィス・リロイ役を、東宝ミュージカルを牽引してきた山口祐一郎が担当することになり、「最初『ケイン&アベル』をやると聞いて、自分が演じるのはケインとアベル、どっちだろうと思ってしまった。古希が近づいている現実を忘れていた(笑)」と会見を盛り上げた。隣で緊張した面持ちの松下洸平を気づかい、「洸平さん、優也さんと同じラインに立って、全員でしっかりついてまいります」と息巻いた。

山口祐一郎

会見では、現在84歳になる原作者・ジェフリー・アーチャーから届いた、以下のメッセージが紹介された。

「45年前に出版されて以来、世界中で愛され続けている『ケインとアベル』が、この度、画期的なミュージカルとして初めて舞台化されることになりました。東宝とキューブが、このライバル関係と愛の偉大な物語を、壮大なミュージカルにしたいという構想を私たちに持ちかけてくれました。慎重に検討した結果、私たちはこの申し出を喜んでお受けすることにしました。原作は豊かで複雑な物語ですが、音楽には、ケインとアベルを突き動かす深い情熱を独特の説得力で表現する力があると思っています。このミュージカルが日本で大きな成功を収めるだけでなく、ウエストエンドやブロードウェイ、そしてそれ以外の地域でも上演され、世界中の観客が洸平と優也の激しい闘いを目撃できることを心から願っています」

取材・文・撮影:内田涼

<公演情報>
ミュージカル『ケイン&アベル』

原作:ジェフリー・アーチャー
音楽:フランク・ワイルドホーン
歌詞:ネイサン・タイセン
編曲:ジェイソン・ハウランド
振付:ジェニファー・ウェーバー
脚本・演出:ダニエル・ゴールドスタイン

【配役・キャスト】
ウィリアム・ケイン:松下洸平
アベル・ロスノフスキ:松下優也
フロレンティナ:咲妃みゆ
ザフィア:知念里奈
ケイト・ブルックス:愛加あゆ
ジョージ・ノヴァク:上川一哉
マシュー・レスター:植原卓也
リチャード・ケイン:竹内將人
ヘンリー・オズボーン:今拓哉
アラン・ロイド:益岡徹
デイヴィス・リロイ:山口祐一郎

【東京公演】
日程:2025年1月22日(水)~2月16日(日)
会場:東急シアターオーブ

【大阪公演】
日程:2025年2月・3月
会場:新歌舞伎座

公式サイト:
https://www.tohostage.com/KANEandABEL/

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