【レポート】渡辺翔太×森本慎太郎が再び共演 『DREAM BOYS』20周年&現・帝国劇場ファイナル公演

2004年の初演以来、旬のタレントたちが伝統を受け継いできた舞台『DREAM BOYS』の幕が今年も開いた。ボクシングを題材に少年たちの夢と挫折、友情を描き出してきた作品も、ついに20周年。しかも今年は来年2月に建て替えのため一時休館を控える現・帝国劇場ファイナル公演という、記念すべきタイミングとなる。昨年、timeleszの菊池風磨とSixTONESの田中樹からバトンを渡されたSnow Manの渡辺翔太、SixTONESの森本慎太郎が今年も続投。19年より演出に関わっているKinKi Kidsの堂本光一のもと、渡辺は主人公のショウタ、森本はライバルであるチャンプことシンタロウを演じている。

製作会見で昨年の公演を振り返り、「自分の中で納得いかないところがあり、一度はオファーにNOを出しました」と明かしていた森本。渡辺が「慎太郎とだからやりたい」と口説き落として、再びの共演が実現。“ドリボ”に初参加のメンバー9人を含む、総勢21名の少年忍者も出演して、より華やかな舞台へと進化した。

緑のレーザーで形作られたリングの中で、拳を交えているショウタとチャンプ。ショウタの白い肌とチャンプの焼けた肌のコントラストが、今年はより鮮やかになっているように感じられる。きらびやかな白い衣装に着替えたふたりを中心に、鳳蘭、紫吹淳、少年忍者のメンバーが並んだ姿はまさに圧巻。オープニングからハイライトのようなまばゆさだ。名曲『Next Dream』では渡辺と森本が目線を合わせて、手をがっちりと握り合う瞬間も。森本が体幹を生かした美しいフライングを披露すると、その姿を見上げていた渡辺がしっかりとキャッチした。

ショウタとシンタロウは切磋琢磨して新人王戦を戦っていた良きライバル。しかしショウタはボクシングの世界から理由も告げずに去ってしまう。時は流れ、今は芸能界で活動しているショウタ主演でチャンプの半生を映画化することに。けれども、突然ボクシング界から消えたことに納得していないチャンプが、それを許すはずもない。チャンプからの「俺との試合で勝ったら」という提案を、ショウタは受け入れる。実はショウタは心臓に持病がある弟分のコウキのためにお金を稼ぎたいと思っていたのだが、その試合をきっかけに彼らの運命の歯車が狂い始めてしまう。

渡辺はコウキを思う兄貴分としてのショウタを、優しいまなざしや穏やかなセリフ回しで表現。桟橋での川﨑との場面では、昨年よりもリラックスしたやり取りが見られた。人目を忍んで逃げ込んだ古い劇場の場面では、今年もアドリブを要求されたそうで、「光一くんになんとかなりませんかね? と言ったところ、ダメだと言われました」とボヤきが止まらない。笑いを誘うコミカルなシーンから一転、マネキンたちとの悪夢のような場面を経て、右手にハーネスを装着して腕の力で登っていくロープパフォーマンスで力強さをアピール。オケピへのダイブや“ドリボ”名物のひとつでもある壁フライングも軽やかに決めて、座長としての存在感を発揮した。

森本はワイルドなたたずまいの裏側に、孤高のチャンピオンとして抱えている寂しさも体現。ショウタに対するもどかしい思いを伝える場面はより激しさを増し、病に倒れてからは心の奥底にあった優しさが顔を見せる。キャラクターの光と影が痛いほど伝わってくるのは、映像の仕事でも磨かれてきた森本の高い演技力があってこそだろう。やるせなさや儚さを伝える渡辺の『光』、王者の風格を伝える森本の『CHAMPION』とソロ曲も好対照を見せ、少年忍者も持ち前のパフォーマンス力で伝統の舞台をエネルギッシュに盛り上げた。

『Next Dream(フィナーレver.)』では渡辺が指先まで麗しいフライングを披露。今度は森本が渡辺をキャッチして、フックを外す。「笑顔はここにあるから」と歌いながら微笑み合うふたりの表情がまぶしい、忘れがたい余韻を残すエンディングとなった。


取材・文:細谷美香 撮影:塚田史香

<公演情報>
『DREAM BOYS』

演出:堂本光一

出演:
渡辺翔太(Snow Man)主演
森本慎太郎(SixTONES)Champ

少年忍者
(田村海琉 織山尚大 川﨑皇輝 深田竜生 黒田光輝 檜山光成 久保廉
小田将聖 元木湧 北川拓実 青木滉平 安嶋秀生
ヴァサイェガ渉 鈴木悠仁 瀧陽次朗 川﨑星輝 山井飛翔 長瀬結星 豊田陸人 稲葉通陽)

紫吹淳 鳳蘭

2024年10月9日(水)~10月29日(火)
会場:東京・帝国劇場

公式サイト:
https://www.tohostage.com/dreamboys/

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