リーグワン連覇に向けて、BL東京HC「もっともっと」、リーチ主将「まだまだ成長したい」

9月26日、東芝ブレイブルーバス東京の9月度定例会見が実施された。薫田真広GMが2024-25シーズン新加入選手・スタッフを紹介し、トッド・ブラックアダーHCが2024-25シーズンキャプテンを発表するとともにシーズンに向けての意気込みを語った。

薫田GM「14年ぶりにチャンピオンチームとして臨めることをうれしく思う。今季はリーグ全体で移籍が活性化し、戦力が読めない中戦うことをワクワクしている。3~4試合やって今季の状況を見えてくると思うので、まずプレーオフに残れるようやっていきたい。トッドの6シーズン目、トッド&森田(佳寿コーチングコーディネーター)体制が3季目となる。新たな外国人選手の獲得は考えていない。東芝の育てる文化を大事にし、昨季のレビューをしっかり生かし、進化と変化を遂げていきたい。ともに成長していくのをやっていきたい。

新加入の3名には移籍した選手の穴をしっかり埋めてほしい。HOの酒木(凜平)は大東文化大で主将をやっていた。チームに合流して2~3か月身体もかなり大きくなっている、代表の原田、橋本(大吾)がいるが、第3のHOに食い込んでくるか注目してほしい。CTBは(ニコラス・)マクカランと中尾(隼太)が抜けたので、サイズのある池永(玄太郎)に期待したい。FBは松永(拓朗)がほとんどフル出場で、非常に成長してタフな選手だが、金(秀隆)が入ることによって幅広いBK陣ができると思うので、楽しみにしてほしい」

薫田真広GM

ブラックアダーHC「毎年毎年新鮮な気持ちでワクワクしてシーズンに臨むが、そのワクワクのひとつがキャプテンを発表すること。キャプテンはリーチ(マイケル)。『また断られるかな』と思ったが、今年はリーチから『やりたい』と言ってくれて、私もGMも感銘を受けた。バイスキャプテンは原田、プレシーズンのキャプテンは松永。松永は若いが、リッチー(・モウンガ)ともうまくやっているし、強心臓。このグループをしっかり引っ張ってほしい。将来的にチームのキャプテンもできると思う。

新たな選手、コーチ、スタッフを迎え入れて臨む今季をワクワクしている。我々には確固たるチームDNAがあるので、彼らに還元したい。大会のフォーマットも変わるので、18試合、バイウィークも減って連戦が続くので、タフな戦いとなる。その中でもいろんなチャンスがあると思う。選手層の厚みを向上させてきたし、チーム力が問われる。若さがあり、ハードワークできる我々にはいいチャレンジ。今から始まろうとしているシーズンを楽しみな気持ちで待っている。より良く、改善し、もっといいラグビーをお見せしたい。優勝した昨季でも見返すと色んな所に成長の種が落ちている。今も毎週毎週新たな課題があり、新たな学びあることを楽しんでいる。

もうひとつ達成したいのは。ステークスホルダーとのより良い関係を築いていきたい。スポンサー各社の気持ちに報いるためにも素晴らしいラグビーで応えなければならない。ファン・サポーターのブレイバーには我々を見て誇りを持ってほしいし、新たなファンを開拓していきたい。次の時代のラグビーを担っていく若い男女のインスピレーションを感じてもらえるラグビーをしていきたい。そして将来このジャージを着たいと思ってもらえるラグビーをしたい。今もフォーカスポイントはFWならスクラム、ラインアウトもより良くやっていかないといけない。ディフェンスもアタックももっともっと良くしていかないと思っている。開幕はまだ先だが、すでにワクワクが止まらない楽しみな気持ち」

今季の改善点を問われた指揮官はこのように返答した。
「ラインアウトの遂行力。ラインアウトからスコアもしっかりできていたが、SHへのデリバリーでミスがあったりした。またディフェンスもそう。もっともっとフィジカルに体を当てられるシステムに変えていきたい」

すでにライバルがプレシーズンマッチを行う中、BL東京は10月26日(土)に初戦と遅いタイミングでの対外試合を組んだことを聞かれると、ブラックアダーHCはこうコメントした。
「シーズンでいいパフォーマンスを出すために逆算してやっている。S&C、ラグビーの戦術的にもシーズン中、シーズン後半に持っていけるようにプランニングしている。相手と試合をして自分たちの力量を測るのではなく、まずは自分たちの課題を向き合うこと。自分たちにしっかり矢印を向けて、課題に向き合うのが東芝のやり方。」

1年前のプレシーズンに比べても、HCは手応えを感じていた。
「まずフィジカルの部分でかなりいい状態だと思う。特に動きの質、滑らかさ、ドリルをやっていても選手たちの動きのしなやかさが格段に違う。あとミーティングも各コーチからよりシンプルに、よりクリアに選手に伝わりやすいメッセージが発せられているのも進歩だと思う。選手たちのトレーニングの向かう準備も質が高くなっている」

ブラックアダーHCは連覇のプレッシャーはないとキッパリ。
「プレッシャーよりも楽しみな気持ちが大きい。後ろを振り返って得られることは首が凝ることだけ。もちろん優勝した喜びはあるが、それよりも前を向いている。若いチームだが、優勝したことにしがみついている選手はひとりもいない。優勝して得た自信、勢いを持って、前へ向いている。目の前の練習のドリルに一つひとつ向き合っている」

トッド・ブラックアダーHC

定例会見後には昨季に続き、キャプテンを務めるリーチが登場。主将続投の意気込みを口にした。
「連覇するのは違う難しさがあるので、新しいチャレンジなので『やりたいな』と思った。昨季からの続きという感じ。昨季から違う難しさもあるので、しっかりやりたいと思う。しっかりレギュラーを勝ち取る。まず自分の身体、メンタルを改善して、チームを進化させていきたい。年間通してのスタンダードを高くすること。コーチ陣とのコミュニケーションも長く持つ。また試合に出ていない時にどれだけコミットするということを改善したい。ケガで試合に出ない時に周りの選手に任すのではなく、自分からコミットしたい」

『NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23』優勝から一転、昨季は6位に甘んじたクボタスピアーズ船橋・東京ベイと同じ轍は踏まない。
「全体的なレベルアップが必要。全体的にすごくいいコンディション、日本人選手は身体がデカくなって、外国人もコンディションがいい、いいスタートが切れている。一昨年の王者のクボタの昨季はすごく勉強になった。個人的に満足してしまったら成長できない。回避しないといけない。何年かかけて優勝してクボタはホッとしたのか、去年とは違うチームになった。最終的に良くなったが、開幕時は大変そうだった。そうならないように気を付けたい。満足しない。一人ひとりの会話、行動をしっかりやっていかないといけない。今のところしっかりやっているし、試合に出たいという欲を感じる」

また、ライバル東京サンゴリアスのHCが同世代の小野晃征との再会を楽しみにしていた。
「晃征がひとつ上で、家がすごく近くて、食べに行く焼き肉屋も一緒。サントリーはすごくフィジカリティ高くトレーニングしているので、東芝もブレずに圧倒的なフィジカルでやっていきたい。晃征はすごくいい選手だったし、HCとしてすごく楽しみ」

10月7日(月)には36歳となるが、リーチはまだまだ成長を止めようとしない。
「上半身のボリュームも上がってきたし、肩が痛かったのが良くなってきたし、スピードも上がっている。まだまだ成長したい。フィジカリティも、体力も、スピードも上げたい。LOもやりたい。(4番には)ジェイコブ・ピアスがいるので、勝負したい。4・6・7・8番でやりたい」

主将は原田、松永という若いリーダー陣への注文も忘れていなかった。
「(原田は)もうちょっと前に出てほしい。彼は英語も話せるし、よく考えている。リーダー像を自分で見つけてほしい。
(松永)一昨年もプレシーズンでリーダーをやったし、大学の時もキャプテンやった。今季は10番をやることも多くなるだろうし、フィジカルにこだわってがんばってほしい」

『アサヒスーパードライ パシフィックネーションズカップ2024』は休養に充てられて日本代表の招集を見送られたが、『リポビタンDチャレンジカップ2024』オールブラックス(ニュージーランド代表)戦への意向を聞かれると、リーチは「120%出たい」と断言。さらに2025年3月30日(日)・大和ハウス プレミストドームで組まれた『NTTリーグワン2024-25』第13節・三重ホンダヒート戦にも「すごい楽しみ」と思いを馳せた。

荒岡社長義和

同日の定例会見では荒川義和社長が事業面を説明。2023-24シーズンのプレーオフ期間の各メディアでの露出を広告費換算を47億円超、テレビだけで約31億円と公表した。そして北海道でのホストゲームの成功を約束した。
「ご存じのようにリーグワンのチームは首都圏に偏っている。(横浜)キヤノン(イーグルス)さんのセカンダリーホストエリアの大分での試合を拝見したが、とても雰囲気が良く、地方でトップレベルの試合を観られる機会を増やしたいと思った。我々も縁があるリーチが育った北海道で、3月30日(日)で札幌ドーム、大和ハウス プレミストドームでゲームをすることになった。地元の方にも見ていただきたいし、興行的にも思い出に残るように企画している。そしてやる以上は1万人以上の観客動員をしたいし、ビジネス的にも黄金の果実を得るために黒字化をしていきたい」

BL東京は10月26日(土)・東芝府中グラウンドでの三菱重工相模原ダイナボアーズ戦を皮切りにプレシーズンマッチ5試合を戦い、12月22日(日)・日産スタジアムでの『NTTリーグワン2024-25』開幕戦・横浜E戦、12月29日(日)・味の素スタジアムでのホスト開幕戦となる第2節・相模原DB戦に備える。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

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