シベリアンハスキーは「大ガールズバンド時代」を超えていく メンバーが語る、サマソニでも注目の大型ホープの野望とは?

Text:早川加奈子

オトナの思惑を超えたガールズバンドたち

音楽はジェンダーレスな芸術だ。それでも、女子がガツンと鳴らす骨太なギターリフや力強いドラムのビート、女子の可憐でタフな歌声には、時代を超えた特別な輝きがある。

昨今、人気アニメで描かれるガールズバンドに注目が集まっている。かつて、軽音部でバンドを始める女子高生たちを描いた漫画『けいおん!』が2009年にアニメ化されたのを機に、楽器やバンドを始める女子が増えたという説がある。実際、「Hump Back」や「赤い公園」、「SHISHAMO」といったガールズバンドがこの頃にデビューし、多くのファンを獲得していった。

そして今また、全国各地で女子たちがバンドを組み、等身大の思いを歌い描き、楽器を鳴らし始めている。

アニメと連動した企画から生まれたグループやバンドもあることから、アニメ『BanG Dream!』に登場するワード「大ガールズバンド時代」という言葉で、次なるガールズバンドの台頭を表現する記事もある。

一方で、多くの若き女子たちは、自らYouTubeなどのSNSを通して自分たちの音楽やメッセージを世界に発信し、着実にファンを獲得し続けている。新たなガールズバンドのムーブメントは、すでにオトナの思惑では括り切れない勢いで拡大し始めているのだ。

先日、そんなガールズバンドの台頭を実感するイベント『AFTER HOURS』が下北沢Daisy Barで開催された。

これは長崎在住のJKバンド「マリンブルーデージー」の1stツアーに伴うイベントで、ツアーのために東京までやってくるJKたちのガッツにも驚かされるが、中でも注目したいのが、このイベントのトリを務めた3人組女子バンド、シベリアンハスキーだ。

シベリアンハスキーは、『ROAD TO JAPAN JAM 2024』で優勝し、『JAPAN JAM 2024』に出演。8月18日(日)に幕張メッセで開催される『SUMMER SONIC 2024』の「出れんの!?サマソニ!?」にも出演することが決定した注目株である。

アニソンやボーカロイドを機に音楽にハマった村田美月(vo&g)と、Hump Backが憧れだという、ギターのかめ、SCANDALに影響を受けたというドラムの結楓によるシベリアンハスキーが結成されたのは、2023年5月。

第1弾配信シングル「愛する君となら」を筆頭に、「いたいよ」、「ユー!」、そして8月14日(水)に配信された第4弾配信シングル「アパートの一室で」の4曲をこれまでにリリースしている。

友情や恋、未来に揺れ動く繊細な心情を力強く歌い鳴らすシベリアンハスキーのギターロックサウンドは、媚びない女子たちの純粋なエモーションと可能性に満ちている。例えば、「ユー!」の冒頭でガツンと鳴り響くギターリフや、気だるさと力強さをあわせ持つ歌声に、コートニー・ラブ率いるホールの「セレブリティ・スキン」のタフネスを連想してしまうグランジロック世代も少なくないだろう。

シベリアンハスキー「ユー!」MV

「シベリアンハスキーの音楽は、村田美月の力強い歌声と、ルーツの異なる個性的な楽器隊が鳴らすサウンドが魅力です。私はHump Backという女性3人組バンドが大好きですが、ガールズバンドというよりロックバンドとして好きなので、シベリアンハスキーもガールズバンドという括りを超えた、かっこいいロックバンドになりたいと思っています。

その反面で、バンド人口では圧倒的に女性の割合が少なく、女性が音楽をやっていること……女性にしか出せない声や音、表現などは私たちの強みでもあると思っています。そして将来、私たちをみてバンドをやりたいと思ってくれる女の子たちが出てきてくれたらうれしいです」(かめ/g)

かめ(g) (写真:JAPAN JAM 2024)

「シベリアンハスキー」の密かな野望とは?

「少し落ち込んだり、立ち止まったりした時や日々の小さな幸せを感じたい時に聴いてほしいと思っています」と、詞曲をてがける村田美月(vo&g)は自分たちの音楽について語る。

「結成1年経たずにJAPAN JAMという大舞台に立てて、そして8月18日(日)にはサマソニにも出演させていただきます。今までにない経験続きで、毎日が刺激的でワクワクの連続です。まだ楽曲数が少ない私たちですが、曲が出来上がるたびに感動します。

スタジオで何度もメンバー同士で意見を出し合い、最後まで妥協せずにいいものを作り上げていく……曲が完成した時の達成感は何にも変え難いものがあります」(村田美月/vo&g)

村田美月(vo&g) (写真:JAPAN JAM 2024)

クールな外見とパワフルで陽気な性格で人気の大型犬「シベリアンハスキー」の名をバンド名に掲げているように、メンバー3人は全員、犬や猫などの動物が大好きだという。とくにギターのかめは、エフェクターボードに肉球柄をつけているほどの犬好き。次代のロックシーンを輝かせる3人の大型犬ならぬ大型ホープは、今、大きな目標に向かい突き進んでいる。

結楓(ds) (写真:JAPAN JAM 2024)

「私たちがバンドを組んで最初に立てた目標が、『大型フェスの大トリを務める』でした。これからたくさんフェスに出て、大トリに相応しいバンドになって行きたいです。3年後には日本武道館ライブをするという目標もあるので、一つひとつのライブを大切に活動してます」(結楓/ds)

シベリアンハスキーは、9月15日(日)に日本最大級のライブハウスサーキットフェス『TOKYO CALLING 2024』への出演も決定している。次なるガールズバンド時代の鍵を握る大型ホープのブレイクスルー物語は始まったばかりだ。

<リリース情報>
第4弾配信シングル
「アパートの一室で」

第4弾配信シングル「アパートの一室で」のジャケット画像

配信リンク:
https://linkcloud.mu/99e6b572

オフィシャルサイト:
https://siberianhusky.fanpla.jp/

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