超☆社会的サンダル×ポップしなないで 「今日がなんだか一番愛を感じた」強烈なエネルギーを生み出したツアーファイナル
Text:西澤裕郎 Photo:汐留シユ @shiyu_sz
超☆社会的サンダルが2024年7月30日(火)、初の東名阪ツアー『超☆入神‼誰でも幸せになれる!?『生命水』今なら何と一本5,800円(税抜)‼ツアー』のファイナル公演を東京・新代田 FEVERにて開催した。 各地でゲストを迎えて行われてきた本ツアー。6月16日(日) 大阪・心斎橋Pangea公演では猫背のネイビーセゾン、6月22日(土) 名古屋 ・新栄CLUB ROCK’N’ROLL公演ではトップシークレットマンを迎え、熱いライブを行ってきた超☆社会的サンダル。ゲストにポップしなないでを迎えた東京・新代田 FEVERでのツアーファイナルをレポートする。
会場に足を踏み入れると、フロアいっぱいの観客たちによる熱気で溢れていた。それとは対照的に、流れている般若心経のBGM。シュールな光景だ。今回のツアー名が、超☆社会的サンダルというバンドの世界観を示しているが、対バンたちのポップしなないではどのようなライブを見せるのか。そんな楽しみも抱いていると、19時30分、会場が暗転し、ポップしなないでのかめがいあやこ(vo/key)、かわむら(ds)が登場した。
軽快でむき出しなドラムのビート、キーボード演奏、同期されたサウンドに乗せて、かめがいあやこの抜けのよいボーカルとともに「ローリンソウル・ハッピーデイズ」でライブがスタート。途中でレゲエ調になると、観客たちは手拍子とともに体を揺らす。1曲の中での緩急が見事だ。続く「白昼きみとドロン」「メデューサ」では、跳ねるビート、ラップともポエトリーリーディングとも違う早口な歌い方で楽曲を乗りこなしていくボーカルが聴き手の胸に突き刺さる。
MCでは、かわむらが「もともと超☆社のことはめっちゃええやんと思っていて。もっとゴリゴリやっていると思っていたら今回が初ツアーで、こんな大役(ファイナルの対バン)を仰せつかってありがとうございます!」と感謝を伝え、楽屋で着替えが終わってない状態で永遠としゃべりかけられてかわいかったとエピソードを笑顔で語った。
「共通点があると思ったんですけど、共通点で一番挙げられる曲をやろうと思います」と、超☆社会的サンダルの代表曲「可愛いユナちゃん」とタイトルの語感が近い「魔法使いのマキちゃん」へ。「Creation」「ロケットダンサー」「救われ升」と続けて披露していく。ノリの良い小気味いいビートと、圧倒的に勢いと伸びのあるかめがいあやこのボーカルが観客の体をどんどん揺らしていく。「救われ升」では、観客たちとコール&レスポンスが自然と沸き起こり、一層の盛り上がりを見せた。
「私たちもツアーをお誘いするときは、尊敬と愛情を込めてお願いするんです。ツアーってバンドマンやアーティストにとって気合いの入った大事なもので。それに出られるのは超うれしいです」とかめがいあやこが感謝を語り、「超☆社をきっかけにライブハウスに来る人たちとこの場を作れてうれしいです」とかわむらは観客たちに感謝を述べた。9月4日(水)にミニアルバムを配信すること、ワンマンツアーをやることを告知すると、「魔王様」「暴露」「夢見る熱帯夜」と披露し、のっけから最後まで、ふたりの強烈でエネルギッシュな演奏と音楽でフロアを盛り上げて、ステージを後にした。
そんなエネルギッシュなライブが終わると、再びBGMで般若心経が流れる会場。やはりシュールだ。そんな中で行われた超☆社会的サンダルのサウンドチェックは、ヘヴィーで一音一音が太い。真剣な面持ちで音の確認をしているメンバーたちからは、このあとのライブに気合が入っているのが伝わってくる。
約20分の転換を経て、青いTシャツのベースのふじお、赤いスーツに身を包んだドラムの林田翔馬、グレーのスーツのタケマスター、セーラー服姿のオニザワマシロが登場した。レッド・ホット・チリ・ペッパーズの「アラウンド・ザ・ワールド」のイントロを鳴り響かせたかと思うと、観客たちは前方に一気に密集。多くの手が天に向かって上がる中、「ほんとの明日」でライブがスタートした。パンキッシュな雰囲気と一転、キャッチーでメロディアスな楽曲だ。オニザワマシロのボーカルもどこかやわらかい。ささくれだったギターリフ。脇を支えるプレイヤーたちの演奏に浸る表情がとてもいい。
オニザワもギターを手に取り、「魚を追いかけて」へ。どこか哀愁を感じるギターリフとともに、時よりしゃがれ声になるオニザワのボーカルが耳にこびりつく。曲後半ではテンポが遅くなり深いリヴァーブに包まれる。そうしたアレンジの妙も光る。「東京には人が多くいて。シティガールってどんな子のことか知ってますか? 私みたいに東京生まれ、東京育ちのキュートな女の子を言うんじゃなく、東京に染まった、東京が似合う、それはそれはかわいい女の子のことを言うらしいですよ」と「City Girl」を披露。
オニザワがチューニングしている最中、タケマスターがMCで、「面白いこと言えないですけど、率直にうれしいです。ありがとうございます」と感謝を伝えた。そして「ツアータイトルを言えるか?」と振られたタケマスターは、メンバーの助けを借りながらたどたどしく語り笑いを誘った。オニザワが「もし魔法が使えたなら、みんなが私のことをずっと好きでいてくれたらいいのに、と思って作った新曲をやります」と「チチンプイプイ」へ。ミドルテンポに耳心地のいいギターリフで始まり、疾走感あるテンポへ移り変わり、時より叫ぶように歌うオニザワ。続けて、ギター、ベース、ドラムのアンサンブルが心地いいギターポップ曲「17」へ。アウトロではタケマスターがステージ前の柵に登りながらギターをかき鳴らす。ふじおのベースから始まった「空車」では、観客たちが手をステージに向けて振り上げた。
MCで林田が、「ただ音楽をやるためにツアーを回ってきたわけじゃなく、水を売るために回ってきました。今日もこのあとオニザワ先生がお祈りをしたら水が登場するので」と語ると暗転し、ライトが点灯する中、オニザワがおまじないをかけると『生命水』が登場。「本当は5,800円だけど、税込5,000円です」と宣伝すると、「あくまでおまけですけど、Tシャツついてます」と照れくさそうにふじおが補足した。
オニザワは、「やっとひとりぼっちじゃなくなりました。それは、みなさんがいるから」と観客に向けて語ると、久しぶりの披露となる「うさぎちゃん」へ。「きみはうさぎちゃん イマジナリーフレンドー」というサビのリフレインが印象的なギターロックだ。続けて「熱中症」を歌うと、「あなたたちの大嫌いなあの子に向けて歌います」と新曲の「バカマンコあかり」へ。オニザワとふじおが背中あわせにギターを弾くシーンも見受けられるなど、強烈なエナジーを生み出した。
再びのMCではオニザワがメンバーに1回楽器を置いてと伝え、『生命水』が150本くらい残っていること、水を5,800円で売ろうとタイトルを決め、大人からぼったくりだと指摘を受け、ツアー限定5,000円にしたが、それでも全然売れなかったことを告白。5年後メルカリで高くなると思うのでと、4人で土下座でお願いするチャーミングな姿も見せた。
そして、8月1日(木)20時に「熱中症」のMVが公開されることを発表すると、フロアから声援が沸き起こった。
超☆社会的サンダル『熱中症』Music video
オニザワは「私はあなたたちがいなくなったら死んでしまうと思います。きれいごととかじゃないです。ずっと両思いでいたいから、嫌いにならないでね。ひとりぼっちだと思ったら私のことを思い出して」と、オニザワのギター弾き語りからはじまる抒情的な超大曲「フランス料理」へ。オニザワはクラウドサーフし、フロアで歌ったあとにステージへ戻ると、代表曲「可愛いユナちゃん」へ。サビでは、観客とメンバーが全力で「可愛いユナちゃん」と叫んだ。「この歌を作ってしまったがために、私は同窓会に行けなくなりました。ユナちゃんは人気ものだから。でも、同窓会にも行かなくていいと思えるくらい、みんなから愛されていることを知っています。私のこと好きでしょ?」と観客に語りかけると、「大好き!」という声がオニザワにかけられた。「泣いちゃう」とオニザワが感慨深く言うと、マイクを客席に向け、再びサビを大合唱し、「大好き」と伝え、4人はステージを後にした。
観客たちのアンコールに応えて、再登場した4人。オニザワは、「今日がなんだか一番愛を感じた気がします。酔っ払っているので涙がでそう」と感無量になりながら、「本当は17歳でもないし、本当は水なんて効果ない! 本当にありがとう。いつまでも垢抜けないバカな私のままで」と、この日2回目となる「17」を全力で演奏。最後は「アイラブユー」と愛を観客たちに伝えて、超☆社会的サンダルの初東名阪ツアーは幕を閉じた。
不器用だけれど真っ直ぐで、愛情に飢えているけれどたくさんの愛情に包まれている超☆社会的サンダル。そんな相反する性格や感情が、ぐちゃぐちゃになりながらも強烈なエネルギーを生み出した、剥き出しのツアーファイナルだった。
<公演情報>
『超☆入神‼誰でも幸せになれる!?「生命水」今なら何と一本5,800円(税抜)‼ツアー』
2024年7月30日 東京・新代田 FEVER
出演:超☆社会的サンダル/ポップしなないで
【セットリスト】
ポップしなないで
01.ローリングソウル・ハッピーデイズ
02.白昼きみとドロン
03.メデューサ
04.魔法使いのマキちゃん
05.Creation
06.ロケットダンサー
07.救われ升
08.魔法様
09.暴露
10.夢見る熱帯夜
超☆社会的サンダル
01.ほんとの明日
02.魚を追いかけて
03.City Girl
04.チチンプイプイ(新曲)
05.17
06.空車
07.うさぎちゃん
08.熱中症
09.バカマンコあかり(新曲)
10.フランス料理
11.可愛いユナちゃん
EN.17
<関連情報>
超☆社会的サンダル公式サイト:https://lit.link/supersocialsandal
ポップしなないで公式サイト:https://popsnnid.com/
08/13 18:00
ぴあ