伊藤若冲《動植綵絵》、上村松園《雪月花》など水と月の多様な表現にフォーカス 『花鳥風月-水の情景・月の風景』皇居三の丸尚蔵館で
皇居東御苑内に建つ皇居三の丸尚蔵館では、2024年9月10日(火)より『花鳥風月-水の情景・月の風景』を開催する。季節や時間によって様々な表情をみせる月と水の多様な表現を、皇室ゆかりの書跡・絵画・工芸品で紹介する展覧会だ。
古来日本人は、生活の中の美しい自然「花鳥風月」を愛で、四季折々の美を文化芸術のモチーフとしてきた。同展では、平安時代後期の歌人・源俊頼の筆と伝えられる、雅やかな装飾料紙に月の情景を書いた《安宅切本和漢朗詠集》や、中国の水の名所「瀟湘八景」になぞらえて、琵琶湖の名所をあらわした江戸時代の《近江八景蒔絵棚》など、各時代の名品を見ることができる。と同時に、明治から戦前の昭和にかけて帝室技芸員として活躍した、近代を代表する工芸家や日本画家の作品も充実する。
たとえば、工芸品では、紫式部が『源氏物語』の着想を得たとされる石山寺の湖面の月をあらわした川之邊一朝の《石山寺蒔絵文台・硯箱》や、月明かりの水辺を水墨画風の七宝作品で表現した濤川惣介の《七宝墨画月夜森林図額》。絵画では雨上がりの湿潤な空気に一瞬虹がかかった光景をとらえた川合玉堂の《雨後》や、まだ月の残る早朝、秋草に朝露が光る様子を描いた平福百穂の《朝露》など。
なかでも注目したいのは、自然を愛でる王朝の人々を描いた上村松園の《雪月花》。「雪」は『枕草子』、「月」は『源氏物語』、「花」は『伊勢物語』の一場面描いたといわれる雅な三幅対で、大正天皇の皇后・貞明皇后のために、二十年もの歳月をかけて描かれた。
またこれまでも展覧会ごとに紹介されてきた伊藤若冲の国宝《動植綵絵》からは、《梅花皓月図》が公開される。月夜に咲き誇る梅の花を描いた、なんとも妖艶な作品だ。
お月見の季節、ぜひ皇居三の丸尚蔵館で、日本の美しい自然を感じたい。
<開催概要>
『花鳥風月―水の情景・月の風景』
会期:2024 年 9 月 10 日(火)~10 月 20 日(日)
会場:皇居三の丸尚蔵館
時間:9:30~17:00、9月10日(火)は13:00~、金土(9月27日、10月18日除く)は20:00まで (入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜( 9 月 16 日、9 月 23 日、10 月 14 日は開館)、9月17日(火)、9月24日(火)、10月15日(火)
料金:一般1,000 円、大学500 円
※事前予約優先
公式サイト:
https://shozokan.nich.go.jp/
08/05 11:30
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