「新国デジタルシアター」で舞台『私の一ヶ月』『夜明けの寄り鯨』『楽園』無料配信決定
映像配信プラットフォーム「新国デジタルシアター」にて、7月19日(金) より1カ月間の期間限定で『私の一ヶ月』『夜明けの寄り鯨』『楽園』の3作品が無料配信されることが決定した。
「新国デジタルシアター」は、時や場所を選ばずに新国立劇場の舞台芸術を鑑賞出来る映像配信プラットフォーム。今回配信されるのは、2022/2023シーズンに上演した日本の劇作家の新作を上演するシリーズ企画【未来につなぐもの】の3作品。現代に生きる我々が、過去から何を学び、そしてこれからの時代に何を渡していけるかをテーマにしたシリーズだ。
第1弾は、「劇作家の劇場」と呼ばれる英国ロンドンのロイヤルコート劇場と新国立劇場が、2019年から21年に日本で行った劇作家ワークショップにて誕生した須貝英による『私の一ヶ月』。演出には同年代の注目の演出家、文学座の稲葉賀恵があたり、哀しみや贖いを抱えながらも、それでも前に進む人々の物語を紡ぐ。
シリーズ第2弾は、演劇ユニットiakuの主宰・横山拓也による『夜明けの寄り鯨』。横山は「未来につなぐもの」のテーマをもとに、和歌山県の港町を舞台に、25年前に自分が傷つけたかもしれない男性の面影を追う、ひとりの女性のこころの物語を書き下ろした。演出には、新国立劇場では「こつこつプロジェクト」第1期として『スペインの戯曲』を手がけた大澤遊を迎えた。
シリーズ第3弾は、脚本家・演出家・映画監督とマルチに活躍する、劇団ロ字ック主宰の山田佳奈による『楽園』。山田が選んだ題材は、年に一度の女性だけで行われる神事。山田が実際に取材したことを題材に創作された架空の島の物語だ。ワンシチュエーションで展開される、真摯で時に滑稽な女性7名の会話から、結婚、不妊、介護、パワハラ……女性たちが直面する問題を浮かび上がらせる。演出は、劇団俳優座に所属し国内外の戯曲を自らの企画で上演しながらも、ミュージカル、オペラ、音楽劇など幅広い作品を手掛ける眞鍋卓嗣。実力派俳優陣と、日本の「今」を描く。
なお、より多くの人が舞台芸術、公演を楽しめるよう、『私の一ケ月』『夜明けの寄り鯨』の2作品は外国人向けのサービスとして、上演当時、英語字幕を導入。今回の配信でも、同様に英語字幕で鑑賞することが出来る。
<配信情報>
新国立劇場 演劇公演 シリーズ 「未来につなぐもの」3作品 無料配信
2024年7月19日(金) 12:00~8月19日(月) 12:00
配信メディア:新国立劇場ウェブサイト内 新国デジタルシアター:
https://www.nntt.jac.go.jp/stream/
※新国立劇場YouTubeチャンネルからもご視聴いただけます。
2022/2023 シーズン 未来につなぐもの I『私の一ヶ月』
日本語上演/英語字幕付き
収録日:2022年11月11日(金)
作:須貝英
演出:稲葉賀恵
出演:村岡希美 藤野涼子 久保酎吉 つかもと景子 大石将弘 岡田義徳
■あらすじ
3つの空間。2005年11月、とある地方の家の和室で日記を書いている泉。2005年9月、両親の経営する地方のコンビニで毎日買い物をする拓馬。そして2021年9月、都内の大学図書館の閉架書庫でアルバイトを始めた明結(あゆ)は、職員の佐東と出会う。やがて、3つの時空に存在する人たちの関係が明らかになっていく。皆それぞれが拓馬の選んだつらい選択に贖いを抱えていた……。
2022/2023 シーズン 未来につなぐもの II『夜明けの寄り鯨』
日本語上演/英語字幕付き
収録日:2022年12月14日(水)
作:横山拓也
演出:大澤遊
出演:小島聖 池岡亮介 小久保寿人 森川由樹 岡崎さつき 阿岐之将一 楠見薫 荒谷清水
■あらすじ
和歌山県の港町。手書きの地図を持った女性が25年ぶりに訪れる。女性は大学時代、この港町にサークルの合宿でやってきて、たまたま寄り鯨が漂着した現場に居合わせた。まだ命のあった鯨を、誰もどうすることもできなかった。ここは江戸時代から何度か寄り鯨があって、そのたびに町は賑わったという。漂着した鯨は"寄り神様"といわれ、肉から、内臓、油、髭まで有効に使われたと、地元の年寄りたちから聞いていた。女性が持っている地図は、大学の同級生がつくった旅のしおりの1ページ。女性はその同級生を探しているという。彼女はかつて、自分が傷つけたかもしれないその同級生の面影を追って、旅に出たのだ。地元のサーファーの青年が、彼女と一緒に探すことを提案する。
2022/2023 シーズン 未来につなぐもの III『楽園』
日本語上演
収録日:2023年6月20日(火)
作:山田佳奈
演出:眞鍋卓嗣
出演:豊原江理佳 土居志央梨 西尾まり 清水直子 深谷美歩 中原三千代 増子倭文江
■あらすじ
日本のどこかの島の拝所(うがみじょ)。年に一度の神事の日。折しも村長選挙と重なり、その演説が風に乗って聞こえている。世話役の「おばさん」とその「娘」が準備に明け暮れている。「娘」は最近、嫁ぎ先から離婚して島に戻ってきたらしい。「おばさん」はそれを嘆いているのだが、「娘」はどこ吹く風。そこに「村長の娘」が加わって、あれこれと差配を始める。「村長の娘」は今回の選挙では、父親が負けるわけにはいかないと気合も十分だ。やがて、「若い子」が現れる。いつものお手伝いのおばあが怪我をして、その代理で派遣されたのだ。島民も高齢化で、「若い子」のような外部からの移住者に頼らないと、日常生活もままならない。
準備が進むなか、「区長の嫁」が、神事の取材を希望するテレビ局の「東京の人」を連れてくる。「区長の嫁」は村の活性化の一助になれば、と撮影の許可を出したと説明するのだが、今回の選挙は区長が対立候補として立候補しているので、「村長の娘」は区長の一存で決めることではない、と一蹴。対抗意識を剝き出しにする。そうこうするうちに、神職の「司さま」が登場。次々に準備の不手際を指摘し、一同、慌てふためいて準備を整え、なんとか神事が始まるのだが……。
07/08 19:20
ぴあ