「Weverse Con Festival」が示した国境を越える“推し活” 日本法人GMが総括「一緒に応援してくれる姿に感動」

●観客数は前年比2倍に増加
6月15日・16日に韓国・仁川のインスパイア・エンターテインメント・リゾートで開催された音楽フェス「2024 Weverse Con Festival」。2日間で計約22,000人が来場、世界から約18,000人がオンライン生中継で公演を視聴し、オンラインとオフラインを合わせた観客数は前年の約2万人から約2倍増加した。

今年も日本のアーティストが複数参加したが、現地で観覧したWEVERSE JAPANのムン・ジスGMに、国境を越えてアーティストや観覧客が熱狂したイベントを振り返ってもらうとともに、今後の日本における事業の展望などを聞いた――。

○芝生で臨場感を直に感じる屋外ステージ

アーティストの“推し活”に最適なツールを提供するグローバルスーパーファンプラットフォーム「Weverse」に参加するアーティストたちが出演する「Weverse Con Festival」は、ジャンル・世代を超えた大衆音楽の統合と新しいファン体験の場となることを目指し、HYBEが開催する音楽フェス。ムン氏は会場の様子について、「思ったよりもっと多様な世代や地域から参加したグローバルファンに出会うことができて、とてもうれしかったです」と振り返る。

今年は、屋外(Weverse Park)と屋内(Weverse Con)の2会場で開催。「Weverse Parkで行われた公演は芝生でフェスティバルの臨場感を直に感じることができ、これまでのアーティストが披露したステージとは異なり、自然体なパフォーマンスや、現場のファンと交流してステージを楽しむ姿が繰り広げられ、ユニークさを感じることができました」と、独特の雰囲気が味わえた。

1日目は雨予報だったが、天候が大きく荒れることはなく、夏にはありがたい涼しい風が時折吹くことも。ビニールシートを敷いて座りながらライブを楽しむスタイルはどこか牧歌的で、会場は穏やかな雰囲気に包まれていた。

一方のWeverse Conについては、「クオリティの高い演出と音響、ライトバンド(=腕時計型ライトスティック)で圧倒的な規模感を感じることができました」と手応え。激しいダンス曲の後のMCでは呼吸を整える音がヘッドセットマイクを通してリアルに聴こえ、TOMORROW X TOGETHER、ENHYPEN、SEVENTEENといった大人気ボーイズグループのステージは、“悲鳴のような歓声”ではなく、もはや歓喜のあまり“悲鳴”そのものが会場内に響きわたる空間となった。

○日本アーティストがグローバルファンと出会える場を

日本からは&TEAM、imase、YOASOBIが参加したが、「アーティストのファンの方々にたくさん喜んでいただきたいなと思って、どのような雰囲気になるか少しドキドキしていたのですが、現場で日本からきたファンもそうではないファンたちもみんなで一緒に歌ってくれ、一緒に応援してくれる姿を見て、感動しました」と興奮を隠せない。

その中でも、「imaseさんの『NIGHT DANCER』やYOASOBIさんの『アイドル』を日本語のままみんなで合唱していただいた際に、音楽には国境がないことが実感できました」とのこと。Weverse Parkのステージに出演したimaseからも、「いつもWeverseでオンラインでコミュニケーションを取っているファンの皆さんとオフラインで直接会うことができて、とてもうれしかった」と感想を受け取ったことを明かし、「Weverseはこれからも日本のアーティストがグローバルファンと出会える場をさらに作っていけるよう頑張ります」と、今後の事業展開へ気を引き締める機会になったようだ。

●フォトカード交換で別アーティストのファンが交流

会場では、「Weverse」で提供しているサービスを体験できるブースを出展。中でも人気だったのが、デジタルウォーターマークフォトカードだ。

これは、肉眼では見えないウォーターマーク(※技術提供:デジマークの公認パートナープラクティカルメソッド)を適用したアーティストのオリジナルフォトカードを「Weverse Lens」で撮影すると、デジタルフォトカードとしてWeverseアプリ内に保存できるという機能。今回初公開の機能で、ブースに訪れたすべての観覧客にフォトカードを提供すると、「想像以上の反響がありまして、やはりファンは自ら触れるものにすごく喜んでくれることが分かりました」と手応えがあった。

ブース近辺では、お目当てのフォトカードを求めるファン同士が交換する姿が多く見られ、別々のアーティストのファンが交流する機会にもなっていた。

体験ブースではほかにも、プリクラのような感覚で4カット写真が撮れるコーナーや、AR技術が適用されたフォトウォールの前で「Weverse LIVE」(アーティストの生配信)を体験できるコーナー、アパレル・バック・缶バッジなど自分でカスタマイズした公式商品が作れるコーナー、事前購入した公式商品を現場で直接受け取れるコーナーなどを展開。これらに長時間並ばずに利用できる「Weverse Queue(順番待ち)」サービスは、期間中24,000回利用されたという。

この「Weverse Con Festival」は、「様々なアーティストと国のファンの方々が一度に会う機会は珍しいですから、多くの反響が期待されました」というだけに、「新しい機能を披露し、ファンやアーティスト、レーベルの声が聞けるきっかけとなるのが大変喜ばしいです」と収穫があった様子。

オンライン上でのコミュニケーションの場を提供する一方で、こうした“リアル”で楽しむツールを開発することについて、「ファンがより多様な方法でファン活動を楽しめるようにするためのもので、今後もWeverseは新しい技術的試みでファンの経験を改善し、拡張していく計画です」と意欲を示した。

○日本での「Weverse」イベントにも意欲

今回の「Weverse Con Festival」を踏まえ、日本における「Weverse」のイベントを開催することについて意欲を聞くと、「まだ2回目の開催なので、韓国の外で開催することについては何も具体的に決まっていませんが、個人的な希望としてはもちろんあります」と回答。

「『ロラパルーザ』がパリ、ベルリン、シカゴなど世界各地で開催されたように、『Weverse Con Festival』も世界的に有名なフェスティバルに成長し、韓国だけでなく日本、あるいは他の地域でも開催できるようになるといいですね。オンラインストリーミングで世界各地で楽しむこともできますが、オフラインならではの雰囲気や臨場感も大きな魅力です」と、期待を膨らませた。

●より幅広いグローバルアーティストが参加へ
昨年10月にWEVERSE JAPANのGMに就任したムン氏。2024年の上半期を振り返り、「YOASOBIさん、imaseさん、Ayumu Imazuさん、NOAさんなど日本のアーティストはもちろん、LauvやConan Grayなどの北米アーティストも続々参加しています。最近Ariana Grandeさんもコミュニティオープンを発表しましたが、より多様な地域やジャンルのアーティストがWeverseを使っていただけるようになっています」と躍進を語り、「今後、UMG(ユニバーサル・ミュージック・グループと)の協業を通じて、より幅広いグローバルアーティストが参加する見込みです」と話す。

また、これまでWeverseに参加するのは音楽アーテイストが圧倒的に多かっただけに、人気俳優が参加したことも大きな出来事に。「5月にコミュニティを開設したビョン・ウソクさんは、開設してからわずか2週間で登録者数50万人を突破しました。これはWeverseの常識を覆すような、異例の記録です」といい、「改めて、Weverseが特定のジャンルの推し活だけに特化したわけではなく、様々なジャンルの著名人と相性が良く、可能性が広がったと証明された事例だと思います」と胸を張る。

前述の通り、今年の「Weverse Con Festival」では、TOMORROW X TOGETHER、ENHYPEN、SEVENTEENといったボーイズグループのファンの熱狂が非常に印象的だが、日本においても人気ボーイズグループに対して公式コミュニティの開設を積極的にアプローチしていく考えはあるのか。

「すでに、ダンスパフォーマンスの得意な日本のボーイズグループ・超特急さんなどが、Weverseに公式コミュニティを開設しています。Weverseは様々なジャンルのアーティスト、もはやアーティストに限らず声優さんや俳優、バーチャルアイドルなど幅広く公式コミュニティを開設していただきたいと思っていますので、もちろん日本のボーイズグループも含めて幅広く視野に入れています。“このようなジャンルはいらない”など、先立って可能性を狭めるようなことは極力しないようにしています。国と地域に関しても、範囲を狭めることなく、様々な展開を視野に入れてアプローチしていきたいと考えています」

○他のプラットフォームにはない強み

最後に、日本でもWeverseのような「推し活アプリ」を標ぼうするサービスが続々と生まれていることについて聞くと、「似ている機能をサービス提供している企業があるのは認識していますが、Weverseほどレーベルやアーティスト、ファンをよく理解しているサービスはないと考えています」と強調。

「Weverseのように、推し活に必要な全てのサービスがワンストップで利用できるプラットフォームは現状で他にはない認識です。15か国語の翻訳機能でボーダーレスにコミュニケーションが取れる環境で、Weverse LIVEやコミュニティでアーティストを交流しながら、コマースやファンクラブ、オンラインコンサート、VODなど、様々な機能が一か所に集まっていることがWeverseの特徴です」と、その具体例を力説する。

さらに、「アーティスト側も、ファンのことをより深く知ることができます。プラットフォームとしてファンとアーティスト両方にサービスを提供でき、双方をよく理解していることから得たフィードバックを元に、コツコツとサービスを改善していくのがWeverseの強みです」とアピールした。

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