東出昌大の自己開示に驚き「だから、もうCMのオファーは二度と来ないと思います(笑)」

●アフリカ横断旅で一番大変だったこと「ヘタしたら死ぬかもしれない」
俳優の東出昌大が出演する、ABEMA『世界の果てに、○○置いてきた』シリーズの第2弾『世界の果てに、東出・ひろゆき置いてきた』(毎週土日21:00〜、6月9日以降は毎週日曜21:00〜)が18日にスタートした。今回、東出が“置き去り”にされたのは南米・エクアドルの無人島。昨年8月に配信されたシリーズ第1弾のアフリカ横断旅に続き、実業家の“ひろゆき”こと西村博之氏と時間を共にした。

現在、山奥で狩猟生活を送っていることでも知られる東出。彼のもとには、正式に取材を申し込んだ媒体から、直撃取材でスクープを狙う記者やカメラマンまで、とにかく人が集まる。これは、どのような形であれ、見出しに「東出昌大」とある記事を求める読者が多くいることを示している。なぜ人は、東出昌大という男のことがどうしても気になってしまうのか。とにかく過酷だったというアフリカ横断の実情、対話をしたからこそ見えたひろゆき氏の一面、他者と対等に話すための心構えなどを聞くことで、その理由の片鱗が見えてくる。

○過酷企画のオファーを受けたときの率直な感想

――第一弾では、アフリカを横断しました。オファーを受けたときの率直な感想をお聞かせください。

スケジュールは空いてるけど、アフリカかあ……と。プロデューサーの高橋弘樹さんって、初対面の印象としては、ちょっと軽い感じで、どこか胡散臭くて、テレビ業界に巣くう悪しき業界人というか(笑)。この人に任せていいのかな? って。「スケジュールは空いてるんですよね!?」とガッと来られたときに、一回スケジュールは置いといて、予防接種は受けさせてもらえるのか、保険には入ってもらえるのかという話をしました。で、一緒に旅をするのは、ひろゆきさん。考えなければいけないことがいっぱいあったんですけど、アフリカという大地に惹かれて。コロナ禍になってから、海外でのお仕事も全然なかったので、海外に行きたいという欲求でオーケーしました。

――そんな始まりだったんですね(笑)。映像を観ると、東出さんが純粋に旅を楽しんでいる様子がとても素敵でした。

いや、きつかったです! おっしゃるとおり、オンエアを観ると、楽しそうだなと思うんですけど、自分の心に「待て待て。きつかっただろ?」と(笑)。

――「きつかった」というと、それはやはり体力的にですか?

その土地の風土や文化が合わないわけではなく、よーいどん! で、はじめましての人たちと2週間、3週間共にするというのは、人間関係においてのストレスが一番あるように思います。現地の人たちと話すときには、作為なく率直な気持ちで向かい合えるんですけど、豊川(康成)さんというディレクターさんが、隙を見せるとすぐに芸能リポーターっぽいことをぶっ込んでこようとするので、「もおー!」みたいな(笑)。もちろん面白いこともありますが、「お腹空いたな」「背中や腰が痛い」と言ってるうちに、肉体疲労と重なって、ちょっとずつ人間関係にも疲れの色が見えてきていた気がします。

○一番大変だったことは?

――東出さんとひろゆきさんの乗るバスが事故に巻き込まれる場面もありましたが、前回の旅を通して、一番大変だったことを挙げるなら?

マラリアの恐怖です。「暑いから長袖長ズボン」とは言ってられないし、服の上からでも蚊は刺してくる。刺されたら、マラリアになりかねません。マラリアになっちゃったら、ちょっと風邪ひいたレベルじゃなく、ヘタしたら死ぬかもしれない。ずっとマラリアの恐怖はありましたね。

――何か対策を講じることはできるものなのでしょうか?

虫除けクリームと飲み薬をもらいました。虫除けクリームは、つけたままにしておくと肌が荒れてしまうみたいで、「シャワーで入念に落としてください」と注意書きにあるんですけど、現地の人は「寝てる間に蚊に襲われることが一番あるから、寝る前に塗ってください」と言うんです。飲み薬も副交感神経に作用するから、眠りが浅くなったり、悪夢を見たりするらしくて。旅で疲れが溜まってる中で、眠れなくなって、免疫力が落ちて、別の病気にかかったらしょうがないから、蚊に刺されないか、刺されても元気で回復できるギリギリで調整して……というやり取りをしているうちに、飲み薬も飲まなくなりましたね。

――なるほど……。

アフリカの方たちからすると、マラリアは亡くなってしまう人もいるけど、ひどい風邪みたいなものだと。日本とは乳幼児の死亡率も違うし、死というものがもうちょっと近いところにあるのかもしれません。そういう意味で、極東の島国に生まれた僕たちの遺伝子の中には、マラリアに対する抗体がほとんどなくて、現地の人よりも重症化しやすいということも学術的にはあるんだろうけど、ある程度、郷に入っては郷に従えというような生活様式をこっちもしないと、ずっと旅行者のように振る舞っていると、それはそれでストレスになって、しんどくなっちゃうので。現地の生活に馴染んでいくしかないなと思いました。

●ひろゆき氏に「なんで人を煽って喜んでるんですか?」と聞くと…
○禁煙中に臨んだ南米旅

――バックパッカーとして旅していた経験を持つ東出さんだからこそのストレス対処法ですね。そして第二弾では、南米を旅することに。前回はひろゆきさんに合流する形で旅が始まりましたが、今回は東出さんにひろゆきさんが合流する形になりました。

もう意味が分からなかったです。豊川さんが何の気なしに、「今回、ひろゆきさん来ないんですよ」と告げてきて。「僕だけですか?」と聞いたら、「はい」と。前回もひろゆきさん任せだったから、電子機器を持っていかなかったんです。今回こそひろゆきさんと最初から一緒なんだから、ひろゆきさんがいる想定の装備にしていったら、ひろゆきさんが来るかは分からないという。僕も勘の悪い頭で推察し、僕だけじゃ持たないだろうから、誰か別にゲストの方が来ると思ったんです。

――それなのに結局、ひろゆきさんが合流するまで東出さん一人だったと。昨年11月に掲載された「ABEMA TIMES」のインタビュー記事を読んだのですが、東出さんは禁煙されていたとか。今お話を聞いていて、スタート前からストレスが溜まってしまう南米旅では、タバコを吸いたくなってしまいそうだなと思いました。

そうですよね。禁煙中に臨んで、2日目に吸いました(笑)!

――そうでしたか(笑)!

もうね、映像に残っていない、一晩目がひどかったんですよ……。エクアドルに入って、とりあえずは港町で一泊しますということで、一泊したんですけど、僕、夕食のタイミングで時差ボケで起きられなくて。そしたら、スタッフさんがランチボックスに入ったパエリアも買ってきてくれたんです。うとうとしながら、「ありがとうございます」と伝えて、それを部屋に置いといて、もう一眠りしたんです。明け方になって、お腹空いたなと思って起きたら、カシャカシャって音がして。ランチボックスを見たら、表面がモゾモゾしてる。「うわあ、虫入っちゃったよ……」と思って開けるわけです。そしたら、こんなでっかいコオロギが40匹くらい中に入ってて! 映像には残ってないけど、ひどかったですね。「あー、もう!」ってなって、一緒に行ってるスタッフさんのところに行って、「タバコください」って(笑)。

――映像を観なくても、ゾッとします。そんななか、ひろゆきさんと合流したときはやはり安心感があったのでは?

ひろゆきさん、第一声がすごく陽気だったんですよね。「オラ セニョール 東出!」って。どこの陽気な人だ? ひろゆきさんだ! みたいな(笑)。でも、うれしかったです。
○ひろゆき氏の印象に変化

――東出さんから見たひろゆきさんはどんな方ですか?

実際にお会いする前は、ちょっと理屈っぽくて、ちょっと性格の悪い人かなって、うっすらと思ってたんです。で、旅を共にして、しっかり目に理屈っぽくて、しっかり目に性格の悪い、でも、いいところもある人という認識になった(笑)。なので、前回の旅を経て、優しいところや、気遣いをしてくれるところもあるという部分が付加されているので、若輩者の僕が言うのはおこがましいですけど、そういう意味で旅のパートナーとして、信頼は置いてますし、心強いし、一人で旅するよりも楽しいです。

――東出さんといえば、ご自身にとって“憎き存在”である週刊誌に寄稿した記事も話題になりました。その記事は、東出さんの写真を隠し撮りしにきた週刊誌カメラマン・ナベちゃんとの関係性をつづったものでしたが、その中で「人間も、多面性を考えればいくつも顔がある」と書かれていたのが印象的で。ひろゆきさんに対しても、同じようなことをお考えになったのかなと思いました。

そうですね。多面的という話になるかどうか分からないんですけど、メディアに出てる人、報道で何かを晒されている人には、日常の中で目の端に映ってる段階で、すでに偏見のようなものを抱いてしまう。そういう意味では、ひろゆきさんに対して、僕も偏見のようなものを抱いていました。で、実際にお会いして、一緒に旅をして、こういうところが人から良く思われないところなんだろうなとか、逆にこういう魅力的で優しさもあるんだと思いました。

――いわゆる偏見を一度持ってしまったあとでも、そうして人の良い一面を見つけられるところが素敵です。

ひろゆきさんとも対話ができるようになったので。「ひろゆきさんはなんでそういう言い方するんですか? なんで人を煽って喜んでるんですか?」と聞いてみたら、「実は世界一性格の悪い前田っていう同級生がいて、この前田とディベートで切磋琢磨し合って……」と教えてくれたんです。僕は会ったこともないけど、「その前田の影響なの!」 って(笑)。そんなふうにルーツを知ると、ひろゆきさんの全部を知ることはできないけど、「へー、そうなんだ」って、腑に落ちて、人間関係がより深まることはあると思います。

●「もうCMのオファーは二度と来ないと思います(笑)」
――私も東出さんのように人と仲良くなりたいです。

うーん。仲良くなると言うと、ちょっと難しいんですけど、多分、無理をしないということでもあると思うんです。仲良くなろうと思って、相手がすごい横暴だったとき……例えばバレーで、相手がスパイクを打っていて、自分はずっとレシーブしながら、トスもしてって、這いずり回ってたら疲れちゃう。でも、どこかで、自分は自分だし、他人は他人だっていうことの線引き、自己の確立みたいなのができると、人にもそんなに期待しないし、自分だってたかが知れてるっていう前提で話をして、それを受け入れられなかったら、受け入れてもらえなかったら、もう諦めるっきゃない。自分は自分っていうところがしっかりしてれば、いろんな人と対等に話せるんじゃないかな。対等に話した結果、面白がってもらえるなら、それでいいかなと思います。

――相手に悪く思われてしまう怖さはないものですか?

悪くは思われたくないけど、虚栄を張っても、自分はたかが知れてるっていう感じです。でも、それも予防線なのかな。自分が過度に傷つきたくないし、最初から弱い自分をさらけ出していたほうが、相手に何か失望されたときに、「いや、そんなもんなんです」と言うための逃げなのかもしれません。

――質問しておいてなんなのですが、東出さんくらい自己開示してくれる方にこれまで会ったことがなくて、正直驚いています。

だから、もうCMのオファーは二度と来ないと思います(笑)。メディアに携わるものって全てそうなのかもしれないですけど、昔、芸能人が生放送でタバコを吸っていた時代ではもうなくて、あらゆるものが漂白化された今の時代において、あらゆる人間らしい振る舞い、その人の欲がちょっとでも見える振る舞いが全て汚いものとされるのであれば、やっぱり、いい子の皮を被るしかなくなるじゃないですか。そういうキレイな社会になってるんだけど、僕みたいに俗物であり、清濁の濁の部分を多分に持っている人間がそのまま映ると、やっぱりキワモノになるんですよね。だから、企業はCMとかを任せられないだろうけど、それでいいかなって僕はハナから思ってるので。
○ダイアンと共演「本当にかっこいい」

――その潔さが画面を通しても伝わるのだと思います。東出さんが出演されたバラエティ番組『ゲストダイアン』(ABCテレビ)放送後、SNSでは、東出さんの人柄に関する声も多く見られました。番組拝見したのですが、ダイアンさんとの掛け合い、とても面白かったです!

ダイアンさん、面白かったです! 僕、テレビを観ないから、存じ上げなかったんですけど、ユースケさんと津田さんですよね。最近はもう、共演する方のことも調べないんです。Wikipediaで調べて知った気になって、そこに書いてあることをなぞるようなトークしかしないのも違うのかなと思って。

――難しいところではありますが、それもダイアンさんとのトークが弾んだ要因の一つなのかもしれませんね。山の水で飲むウイスキーおいしそうでした。

津田さんがベロベロに酔っ払ってて、めっちゃ面白かったです(笑)。僕も酔っ払って、収録の後半は何を話したのか覚えてないんですけど(笑)。僕、プライベートで山里さん(※南海キャンディーズ・山里亮太)と仲良くさせてもらっていて、山里さんもプロだなと思うんですが、ダイアンさんもカメラが回った瞬間からめちゃくちゃプロでした。芸人さんは本当にかっこいいです。

――では最後に改めて、『世界の果てに、東出・ひろゆき置いてきた』の見どころを教えてください。

アフリカでも「こんなことが起こるのか!?」という悲喜交々の出来事があったのですが、僕は、南米のほうが倍くらいきつかったです。だからこそ、いろんな変化に富んだ番組になっていると思うので、気楽に観ていただいて、ど肝を抜かれていただければなと思います。

■プロフィール
東出昌大
1988年2月1日生まれ。埼玉県出身。高校時代にメンズノンノ専属モデルオーディションでグランプリを獲得し、モデルとしてパリコレのステージも経験。2012年、映画『桐島、部活やめるってよ』で俳優デビューを果たし、第36回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。近年の主な出演作は、『スパイの妻〈劇場版〉』(20)、『コンフィデンスマンJP -英雄編-』(22)、『Winny』(23)、『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』(24)など。

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