嵐・二宮和也の10年間がまとまった1冊。トップアイドルとして駆け抜けた軌跡が詰め込まれた『二宮和也のIt[一途]』

『二宮和也のIt[一途]』(二宮和也/集英社)

 嵐・二宮和也さん。嵐としての活動は休止中の現在も、俳優としてドラマ『ブラックペアン シーズン2』に主演、初の冠番組『ニノさん』はゴールデンタイムに進出、YouTubeチャンネル『よにのちゃんねる』の登録者数は460万人以上とめざましい活躍を続けている。そんな二宮さんが雑誌『MORE』で連載していた「二宮和也のIt[一途]」がこの度ついに書籍化された。

 2009年から2019年までの10年、全123回の軌跡が一冊にまとまった本書『二宮和也のIt[一途]』(集英社)。2009年といえば、嵐にとっては10周年記念ツアー「ARASHI Anniversary Tour 5×10」を5大ドームや国立競技場などで行った年。『VS嵐』がスタートし、紅白歌合戦にも初出場。まさに“国民的”アイドルグループと呼ばれ始めた時期と言えるだろう。そして2019年は無期限活動休止を発表したもののその人気が陰ることはなく、20周年記念となるベスト・アルバム『5×20 All the BEST!! 1999-2019』でダブルミリオンを達成。この間の10年、つまり嵐がトップアイドルとして駆け抜けた10年間の二宮さんが、この一冊に詰まっているのだ。

「二宮和也のIt[一途]」は毎回テーマがあり、それについて二宮さんが語った文章と自身が写った写真とで構成されていた。このスタイルがまず、二宮和也の魅力を最大限に引き出す。二宮さんは大御所芸能人にもフランクに話しかけて可愛がられているなど、自然体で飾らないところが魅力のひとつ。この魅力が写真と文章に表れているのだ。

 写真は10年間、毎回同じフォトグラファーが担当。長い付き合いの間柄だからこその、洗練されたグラビアページとはまた違う素に近い瞬間が切り取られている。Itでしか見られない二宮さんを毎月楽しみにしていた方も多いのではないだろうか?

 そして二宮さんと言えば、ソロ曲『』や5人で歌う『ファイトソング』の作曲を手掛けるなど、作詞能力が高いのもファン周知の事実。文章になると普段の本人の言動よりも素直な印象を受けるのも個人的には魅力と感じていた。その高い言語力で“矛盾”“コンプレックス”など言葉にするのが難しいテーマでも、自分の考えの核を見せてくれる文章は毎回魅力的だ。近しい人に自分の想いをぽつりと漏らすかのような文体。どれからも確固たる“二宮和也”が浮き出ているのに、それが決して頑なだったり、頑固だったりには見えないところ。「この人はこんな人」と形容しようとしても、その定義からするっと抜け出るような二宮さんの魅力が文章から伝わってくるのだ。

 また、単行本完成までを追った「制作ニッキ」もX公式アカウント(@nino_shueisha)にて公開されている。全544ページで厚さ約3.5cm、重さはなんと1kg強の本書。例えば印刷にかかった時間は1か月半と辞書並みであることなど、印刷・乾燥、表紙の箔押し、どれも本書にとってのベストを考え制作されてきたことが「制作ニッキ」から伝わってくる。製本したての見本を見た時の「よかったね…」というどこか第三者視点なコメントも二宮さんらしいなと思ったのだった。

 本書には1冊につき1枚、特製フォトしおりが封入されている。「MORE」読者Webアンケートで「いちばん好きな写真」の1位に選ばれた1枚が、スマホケースに入れられるサイズのポラロイド風しおりになっている。

 このようにどこをとってもスペシャルな、永久保存版の1冊。ぜひ二宮和也10年の軌跡を振り返ってみてほしい。

文=原智香

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