「安住さんだけじゃない」から「別にいいや」に至った井上貴博アナと、「普通」で勝負するホラン千秋キャスターが本音で語った“仕事の向き合いかた” 

まもなくゴールデンウィークが終わります。仕事や学校を目前に控え、憂鬱な気分になっているかもしれません。夕方の報道番組でキャスターを務めるなど、様々な仕事をこなす2人にも悩みがあるといいます。ストレスと上手に付き合い、仕事と向き合うにはどうすれば良いのか。「他人と比べない」思考法を聞きました。

「普通という役割も必要」ホラン千秋が「生身の自分」で勝負する理由

TBSの夕方の報道番組「Nスタ」のメインキャスターとなって7年目の2人。それぞれのキャリアについて、どう捉えているのでしょうか。

井上貴博キャスター(以下、井上):
ホランさんをはたから見ていて面白いなって思うのは、あんまり先人がいないことをやっている。ニュース番組をやりながら、ほかの番組にも出て、CMやって、ってあんまりいない。

ホラン千秋キャスター(以下、ホラン):
でも、どれのスペシャリストでもないので。どれも平均点。世の中には、藤井聡太さんとか大谷翔平さんみたいな天才もいるけれど、9割は普通なわけじゃない? だから「普通」という役割も必要なんだと思ってる。

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井上:
「普通から脱却したい」じゃなくて?

ホラン:
ずっと私は「普通から脱却したい」「変な人になりたい」と思っていたけど、普通の人が9割。自分も含めて普通の人なんだから、普通をやればいいんだと。

井上:
これって悩んでいる人が多いと思うよ。特にこういう世界って、「変」が面白がられるし、普通じゃダメなんだと。自分って何もないって陥りがちだけど、別にあえて普通でいいってことだよね。

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ホラン:
芸能界って個性的な人が多い分、普通の人って割と少ないかも、みたいな。じゃあ私「普通」やろうって。あえて自分が持っていないものを小手先で作ってもメッキがはがれるしと思うと、もう「生身の自分」で、「普通」で勝負して、うまくいかなかったら、もうそれはそれって。

井上:
達観したね。

ホラン:
だから楽しくやった方がいいんじゃないですか。「やりきったな」とか、「今日頑張った」みたいなのを含めて、仕事を成立させるというか。

他者評価にのることは、「自分の知らない自分」を見つけてもらって、信じてみること

毎日目の前の仕事に全力を注ぐというホランキャスター。幅広い仕事をこなす上で、自分に向いている仕事とは、どう出会っているのでしょうか。

ホラン:
小さいころから「芸能界やりたい」と思って、芸能界に入って、その時々で「こうなりたい」「ああなりたい」っていうのはあるんですけど、願ってもそういかない場合の方が多いし、自己評価と他者評価は違う。自分はこれができると思っていても、結局キャスティングしてくださった方が、私が何ができるかっていう、他者評価で仕事をいただくことが多いので。

井上:
そこに辛さはなかった? 周りからの他者評価と本当の自分はちょっと違うんだよなって思うような。

ホラン:
そういう時代も、20代前半とかにはあったんだと思うんです。結局、自分の信じていることに反することはやらないけど、自分の中にある「要素」をちょっと強めるぐらいだったら別に嘘ではないし、それだけ人が言うんだったら、信じてやってみるとうまくいったりする。他者の評価に乗るってことは別にこだわりを捨てることじゃなくて、「自分の知らない自分」を人に見つけてもらって信じてみるっていうことだから。

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周りに個性を見つけてもらって、例えば私だったら「気が強い」とか。「いや、気なんか強くないし」って思ってたけど、気が強いってこれだけいわれるってことは、個性なのかなと思って。

この間スイスに行って、鳥を見たんですよ。空を飛んでいる鳥は3回ぐらいしか羽ばたかなくて、あとは風に乗るだけ。風をどう読むかっていう知識と、どこに行けば先に進めるかとか、高く上がれるかっていうことを読んでいるだけ。

大事なのは飛び続けること。飛び続けるために、がむしゃらに羽ばたくのは3回。そのあとは、風に乗るだけと思うと、「人生これでいいんだ」って。

井上:
スイスで気づいたんだね。

「TBSは安住さんだけじゃない」尖っていた井上貴博が辿り着いた比べない思考術

ホラン:
井上さんの悩みはなんですか? キャリアに関して。

井上:
2022〜2023年ぐらいが一番悩んでましたね。無駄に「40歳どうしよう」っていう。なんとなく健康寿命を理解し、会社人生も折り返しくらい…とかって、自分でいろいろ考えるとどうしようかって。それこそ、まだ飛ぼうとしていたんだよね。でも2023年の夏以降ぐらいから、「もういいかな」みたいになってから楽になったし、そこらへんから「この仕事面白いかもしれない」っていうのをようやく実感した。

ホラン:
良かったですね、本当に。ずっといろんなものに抗って抗って。でもそれって、失敗したら「これじゃないんだ」という選択肢を消していく作業だったわけですよね。

井上:
成功への道だからね、それが。

ホラン:
それでいうと井上さんは、この7年間で「『TBSは安住さんだけじゃないんだぞ』っていうところを見せてやりたいと思います」みたいなことを結構言っていたじゃないですか。絶対的な存在がいる中で、「あそこを目指す」みたいな気持ちはどうなったんですか。

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井上:
それでいうと、さっきのホランさんの言葉はすごく沁みました。安住さんがどれだけすごいかってのもわかるし、尊敬もしてます。でも、一緒じゃなくても全然いいんだって。「安住さんだけじゃないんだぞ」って自分を追い込んでたところがあるけど、でももう「別にいいや」と最近思うようになってからは楽。向こうは向こう、僕は僕。

ホラン:
どうしても比べたがるじゃないですか、人って。でも比較するときって、理科の実験と一緒で前提条件を揃えなきゃいけないわけじゃないですか。でも人って、前提条件がそろわないじゃないですか、みんな違うし。比べるって不毛ですよね。

井上:
本当に不毛。

ホラン:
あとは、「何してても幸せになれる、自分」って思ってからは、もう無敵かも。私は何してても絶対に幸せになれると思って。

井上:
結局さ、自分じゃん。自分でしか幸せって感じられないから。

ホラン:
「不幸せそうだよね」とか「幸せじゃないんでしょ」っていわれるけど、大事なのは「自分で自分が幸せである」ということをわかっていれば、別に、人に私が幸せかどうかなんてわかってもらう必要ないからって思うと、何とだってなる。

井上:
最強だよな。スーパーサイヤ人だよ、それは。

ホラン:
かといって、別に全部適当にやっているわけじゃないですよ。大事なのは「風に乗る」。私の2024年のテーマです。

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【Nスタ YouTubeロングバージョン】「TBSは安住さんだけじゃない」尖っていた井上貴博アナが辿り着いた比べない思考術 ホラン千秋×TBS井上貴博 Nスタ7年目対談 より

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