【インタビュー】ファントムシータの1stアルバム『少女の日の思い出』は「皆様にとってもすごく良い思い出になれば」

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“レトロホラー”をコンセプトに活動する、Adoプロデュースの5人組アイドルグループ「ファントムシータ」が10月30日、1stアルバム『少女の日の思い出』をリリース。11月1日には1st LIVE 2024 「ハイネ」を日本武道館で開催した。

 同アルバムには6月26日に配信リリースされたデビューシングルの『おともだち』をはじめ、10月25日に配信されたばかりの6thシングル『ゾクゾク』までの既発曲6曲、および新曲の『HANAGATAMI』を含む全7曲を収録。

 楽曲はチャラン・ポ・ランタンの小春や、人気ボカロPのきくお、なきそなど、強烈な個性が際立つアーティストたちが提供。グループのテーマであるレトロホラー感が伝わる構成となっている。

 asageiMUSEでは今回、1stアルバムをリリースしたばかりのファントムシータを直撃インタビュー。アルバムリリースに懸ける想いやオーディション時のエピソードなどを明かしてもらった。

ファントムシータ プロフィール】
 レトロホラーをコンセプトに活動する、Adoプロデュースの5人組アイドル。英語表記は『Phantom Siita』、ならびに漢字表記は『怪忌蝶』。メンバーはもな・美雨(みう)・凛花(りんか)・灯翠(ひすい)・百花(もか)の5人。
 現代のアイドルを「蝶」とするのなら、ファントムシータはそんなアイドル業界にとっては異端な存在である「蛾」。怖いとわかっていても手を伸ばしたくなるような、恐ろしくて、美しい。「アイドル」という言葉に相応しいアイドルになって欲しいという願いが込められている。
 誰かにとっては新しく、誰かにとっては懐かしい。本当の日本のアイドルがここにいる。

前列左から百花、もな。後列左から灯翠、美雨、凛花。

――まず最初に、ファントムシータのことをまだあまり知らないファンに向けて「他己紹介」をお願いします。

凛花 「もな」は最年少ですが、取材の場で質問をされたときに最初に答えたり積極的に話してくれたりします。良い意味ですごくよくしゃべります。先日ファイナルを迎えた“Ado JAPAN TOUR 2024『モナ・リザの横顔』”のオープニングアクトでも、MCで一番大事な部分をしゃべってくれましたし、そういう面でしっかりしているのですごく頼りになります。

もな 「灯翠」はパフォーマンスの最中に目があった時、ぞっとするぐらい怖くて、灯翠にしかできない表現があります。スタイルが良く、顔も小さいですし手足も長い。だからこそ良い意味で気味が悪い感じのパフォーマンスができます。その奇妙な動きや表情は作られたものではなく、彼女自身の解釈からにじみ出たものがあるのかなと本当に尊敬しています。

 普段は優しいですしおっとりしている感じもあるのですが、ダンスを覚えるのも早いですし、アイドルとしての自分の芯をすごく持っています。裏で支えてくれている大黒柱のような存在です。MCを考える時も、私にはない大人の視点でアドバイスをくれたりするので、本当に頼りにしているお姉さんです。

灯翠 「美雨」は私と1歳差で年が一番近いこともありか、一緒にいるときは一番ラフでいられます。ほかのみんなは一応年下なので、「自分がちゃんとしないと」や「お姉ちゃんしないと」という気持ちがあって。なので、美雨だけには甘えられます。オーディションの合宿でも同じチームだったので、常に一緒にいていっぱい一緒に泣いて、かなり濃い思い出があります。

 最近は毎日会っていますが、歌もダンスも表現力が本当に高い。ダンスを習ったことがないとは信じられないぐらい上手ですし、合宿の時から表現力が凄いなと思っていました。彼女には絶対に勝てないと思っていたので、いまメンバーとして一緒に活動できていて本当に幸せですし、美雨がファントムシータにいてくれてすごく良かったなと思っているくらい大好きです。

美雨 「百花」は見た目がかなりクールな印象で、合宿でパフォーマンスを見たときは、すごく強そうで最初は少し怖かったです。でもだんだん知っていくうちに、すごく可愛くて、いつもニコニコしていて、それでいてすごく努力家であることが分かりました。私は三日坊主になりがちなので、努力できる人をとても尊敬しているのですが、 百花は暇さえあればダンスや歌をずっと練習していますし、何に対しても全力で、ストイックです。

 あと、甘いものや食べることが好きなところは私と一緒で、「もう絶対一緒にご飯をいっぱい食べてやるんだ!」と毎日思って一緒に頑張っています。

百花 「凛花」はパフォーマンスの時と普段のギャップがすごい。パフォーマンスの時はすごくかっこよくて、表情も怖かったりしますが、 普段の喋りはとっても可愛いんです。ファンの方々のコメントでも見かけるのですが、MCの時はすごく可愛くて、ギャップがあります。

 それが真面目な話し合いになると、とてもしっかりしています。歌も表現力がすごくありますが、私はとくに凛花のダンスが大好き。力強くてキレのある動きは、本当に凛花にしかできないダンスパフォーマンスだと思います。

もな / Mona。2007年9月17日生まれ。メンバーカラー:桃色

――ありがとうございます。皆さんの個性が垣間見られた気がします。それではあらためてオーディションについて振り返ってもらえますか。

凛花 課題曲がAdoさんの『Tot Musica』で、世間では「すごく難しい」という声が多かったのですが、私はそういう時に結構燃えてしまうタイプです。やってやろうという気持ちで頑張って練習しましたし、どれだけ上手く歌えるかではなく、どれだけ届けられるかが大事だと思いました。難しい曲ではありましたが、自信はありました。

もな 私は凛花と逆です。Adoさんのことは本当に好きで曲ももちろん知っていたのですが、唯一苦手な『Tot Musica』がきてしまったと思いました。曲を聴きつつ練習して動画を撮った時も本当に自信がなくて、うわーと思いながら歌唱動画を送ったのを覚えています。

灯翠 つい先日、オーディションに送った動画を見返してみたのですが、なんで合格できたんだろう? と本当に思いました。自分としては10点ぐらいの出来でしたね。

美雨 これが人生で初めて受けたオーディションだったので、周りとの差がどんな感じなのかまったくわからなかったです。だから自分で気持ちよく歌って「これはいけるだろう」と思い、送りました。当時は無知なりに自信はありましたが、今思うとギリギリ危なかったなと思います。

百花 私もすごく苦戦したのですが、自分なりに楽曲を分析したり、ここの部分はこういう歌い方をしたいなど、自分で納得がいくまで研究して練習しました。もちろん受かるかどうかはすごく不安でしたが、応募の段階では自分が納得いくまで頑張ったので、自信を持って出せたと思います。

美雨 / Miu。2004年11月17日生まれ。メンバーカラー:白

――オーディションのときや、メンバーが決まった時に、どんなグループになると思っていましたか。

百花 レトロホラーというコンセプトは最初からあったので、少し睨んだり、怖い顔をするくらいなのかなと思っていました。でも、合宿審査の時に初めて他の人たちのパフォーマンスを見たときに、みんなホラーを表現するのがすごく上手くて! 私自身、ホラーを表現するのが初めてですごく悩んでいたのですが、その時に衝撃を受けて。これは本当に怖がらせにいかないと、同じ世界観に入り込んで表現しないと、と思いました。本当のホラーなんだなと思いました。

美雨 レトロホラーと聞いただけでは全然わからなくて少しぼやっとしていたのですが、歌い手やボーカロイドの文化を引き継いだ音楽なのかなと思っていました。もともと少し暗めのボーカロイドがすごく好きなので楽しみにしてましたし、ホラーと言ってもお化けや心霊的なものだけじゃなく、人間の奥底の闇を共感できるようなホラー要素だったので、すごくしっくりきました。

灯翠 私自身ホラーが大好きなので、日本の昔ながらのホラーといったら何だろう?みたいにずっと考えていて。伊藤潤二先生(『富江』シリーズなどで知られるホラー漫画家)の作品がすごく好きで、美しい女の子が出てくるし、そんな感じだったらいいなと思っていました。そうしたらファントムシータの世界観もわりと近くて、本当にMVとかも怖いんですよ。なので個人的にはイメージと近かったですね。ただひとつ意外だったのが、MCもホラーなキャラでやるのかなと思っていたら全然そんなことなくて。みんなポワポワしていて、そこはギャップがありました。

――MCに関しては何かアドバイスみたいなものがあったんですか。

一同 「素を出していいよ」というアドバイスをもらいました。

もな 私はホラーは苦手でしたし、レトロとホラーは対極じゃない?と思っていて、最初はお化け系アイドルなのかなとも考えていました。でも合格後にAdoさんから由来を含めたコンセプトを細かくご説明いただいて、すごく納得がいきました。本当にゾクゾクしちゃうような恐ろしさ、でも手を伸ばしてしまうような美しさというのがあって、オーディションのときはあまりわからなかったことも、今はすごくしっくりきていますし、表現するのも楽しいです。

凛花 レトロホラーというコンセプトを聞いてネットで検索してみたのですが、やっぱり全然掴めなくて。家族と「死装束みたいな?」とか見当違いのことを話していましたね。それが合宿に参加して、そこで与えられた課題をこなしていくうちにだんだんわかってきました。今は自分が一番怖いと思うのを少しでも表現できるようになろうと努力しています。

凛花 / Rinka。2007年5月9日生まれ。メンバーカラー:紫

――そんなみなさんの1stシングルが『おともだち』で、今回の1stアルバムにも収録されています。ファントムシータの世界観が明確になった曲かと思いますが、最初に歌ったときの印象はいかがでしたか。

凛花 タイトルは『おともだち』ですが、これから5人で頑張っていくという曲ではなく、「♪嘘ついてるのだあれ」で始まることがかなり衝撃的でした。それと同時に、やっぱり私たちにはこれだよねという印象もあって、レトロホラーアイドルであることを証明できる大事な曲だと思っています。

もな メンバー5人が決まって、初めて歌い合わせた時にみんな本当に上手で。ユニゾンのところも5人だったらこう、2人だとこうなるんだなと思いました。そしてこういう曲だからこそ本当に良さが引き立つというか、みんなの良い面やらしさが出ている曲なのかなと思います。大好きなデビュー曲です。

灯翠 元からチャラン・ポ・ランタンさんが大好きで、チャラン・ポ・ランタンさんの書く“おともだち”は絶対に普通じゃないと思って歌詞もすごく読み込みました。それで5人で歌ってみた時に「これだ」と思って、すごくしっくりきました。このコンセプトをこの5人で表現できていることや、この素晴らしい曲でデビューできたことが本当に幸せなので、すべての方に「ありがとうございます」と感謝を伝えたいです。

美雨 『おともだち』にはファントムシータがすごく詰まっていると思います。MV撮影ではレトロな古い校舎に懐かしさも感じました。何もかもが初めてだったので、すごく印象に残っています。これからもずっとファントムシータのデビュー曲、ファントムシータと言ったらこの曲が始まりだよねと思ってもらえるような曲ではないかなと思います。

百花 この曲は友達の裏切りの曲で、ホラーってこういう感じなんだとびっくりしたのを覚えています。ほかのメンバーも言っていましたが、初めて歌い合わせをした時にみんながすごく上手なことに驚いて、私自身も歌っていてしっくりきました。この『おともだち』がデビュー曲で本当によかったですし、すごく嬉しいなと思います。

灯翠 / Hisui。2003年5月1日生まれ。メンバーカラー:緑

――その『おともだち』をはじめ“狂気”を感じるほどのパフォーマンスが特徴的ですが、振り入れの際はどんなタイミングで狂気の表現を取り入れるんでしょうか。

もな 新しい曲をいただく時には歌詞を含めて噛み砕く時間を取るのですが、 メンバーそれぞれの解釈があるので、「こういう情景だよね」や、「こういう女の人がこういう性格で、こういう感じの」「どういうのを表現したい」などをみんなでぴったり合わせる必要はないと思っています。大体の方向性をみんなで共有したうえで振り入れしていただくのですが、実はフリーの箇所が多くて。例えば暴れている振りのところは自由だったりします。

 表情の指定もあまりなくて、Adoさんからは「Aメロはまだこういう気持ちで、サビにかけてここで本当にクライマックスだよね」といった感じで教えてもらっています。なので表情や振り付けをすり合わせることなく、各自が内側から出たものを大切に表現している感じです。それがグループでいることでお互いに感化されて、相乗効果と言いますか、5人ならではのものが集まってできているのではないかと思います。

――パフォーマンスや表現の上でこだわっているポイントを教えてください。

凛花 集中力を切らしたら終わりだと思っています。踊って歌うことはできるのですが、そこで自分が伝えたいものだったり、その曲の世界観だったりを見ている方に伝えないといけないので、それにはやはり結構な集中力が必要です。自分は楽曲に入り込んで表現することが多いので、曲の世界から一度抜けてしまうともう戻れないんです。だから我に帰らないよう、世界観にずっといられるように気を付けています。

――メンバーカラーが決まった経緯や、各カラーへのこだわりをお聞きしたいです。

※もな:桃色 / 美雨:白 / 凛花:紫 / 灯翠:緑 / 百花:水色

もな イヤモニを作らせていただくことになった時に 「色どうしようか?」という話になって、「好きな色でいいんじゃない?」とそれぞれで決めたらたまたまどの色も被らず、そのままメンバーカラーになりました。

美雨 MVで着る衣装にも少しメンバーカラーを取り入れたりしています。

灯翠 今日のネイルもみんなメンバーカラーになっているんです。

――ファントムシータさんはメイクも素敵ですが、こだわりは何かありますか。

もな 私はメイク研究が好きなんですが、今はありがたいことにヘアメイクさんについていただいているので、メイクの時に「今塗ったのってどこの何ですか」や、「そのブラシってどこの製品ですか」など質問しています。それもあって最近のプライベートのベースメイクはほぼ、ヘアメイクさんがしてくださるのと同じものになりました。今後もちょっとずつアップデートしていきたいですね。

百花 / Moka。2006年10月20日生まれ。メンバーカラー:水色

――今回の1stアルバムには全7曲が入っていますが、それぞれお気に入りの曲を挙げてください。

百花 私は『ゾクゾク』(6thシングル)がお気に入りです。とくに最初の「♪知ってますか? 唇って内臓のはしっこなのよ」という歌詞がすごく印象的なんです。デモ音源を聴いたときにそこがすごくかっこよかったので、歌割りで「私だ!」となった時はすごく嬉しかったです。やはり最初って肝心じゃないですか。初めて聴く人も最初の何秒かによってその後を聴くか聴かないかが決まると思うので、「ここで惹きつけないと」と思って、最初の歌い出しには特にこだわりました。

美雨 『HANAGATAMI』がお気に入りです。この曲はレトロホラーを題材にしていた今までの曲とは違って、どちらかというと等身大の私たちを描いた楽曲です。少女の悲しさもあり、美しさもあり、少し感情移入して泣いてしまうような曲になっています。歌詞がすごく良いので注目して聴いていただきたいです。

灯翠 『花喰み』(4thシングル)という曲がお気に入りです。もちろん曲も良いのですが、やっぱりMVをすごく見て欲しいですね。「ファントムシータと言えば表情だよね」という、本当に怖い顔がたくさん見られる映像になっているので、注目していただければと思います。

もな 個人的には全部の曲を本当にしっかり表現しきったなと思っていますし、全部に感情移入できるほど突き詰めているので、本当に選べないです。それでも強いて言うなら、私は『乙女心中』(5thシングル)が好きです。楽園市街さんに書き下ろしていただいた曲調が好きなのと、百花のセンター曲ということで、百花の歌が上手なところを全部集めた曲になっています。私的にはすごく情景が浮かぶ曲で、少女感もありながら百花の歌も際立って、ちょっとマイブームですね。

凛花 私はやっぱり『キミと××××したいだけ』(2ndシングル)が一番推したい曲です。楽曲のなかでは一番付き合いが長い曲で、この曲に長く向き合ってきたぶん、 伝えたいことが一番出ている曲だと思っていて。オープニングアクトでもそうですし、今までのライブでも歌ってきた曲で、ファントムシータといえば今は『キミ×』が結構印象が強いかもしれません。直接的で暴力的なまでの表現力の歌詞もそうですし、どうしても愛されたい、でも愛されないという葛藤をうまく表現できた、すごく思い入れの深い曲です。

――それでは最後に、今回の1stアルバムでどこに注目してもらいたいたのかをアピールお願いします。

灯翠 デビュー曲から新曲まで全部入っていて、 何回聴いても飽きずに楽しめるアルバムになっていると思いますし、私たち自身の思い出もすごく詰め込まれています。タイトルが『少女の日の思い出』なのですが、聴いてくださる皆様にとってもすごく良い思い出になれば嬉しいので、皆さんたくさん聴いてください。

(取材:漆間虹美、小倉心優/撮影:Issey Nakanishi)

1stアルバム『少女の日の思い出』初回限定:映像&フォトブック盤

【1stアルバム『少女の日の思い出』概要】
■初回限定:映像&フォトブック盤
価格:4950円
・CD+DVD
・三方背ケース+フォトブック(24ページ)
・魔除けトレーディングカード(全5種の内1種をランダム封入)
DVD収録予定内容:
・「おともだち」「キミと××××したいだけ」「魔性少女」MV
(メンバーのオーディオコメンタリーを副音声に収録)
・ファントムシータ ドキュメンタリー
(「キミと××××したいだけ」MV、「魔性少女」MV、
アーティスト写真、ジャケット写真、Ado JAPAN TOUR 2024
『モナ・リザの横顔』大阪城ホールでの初ライブのメイキングを収録)

■通常盤(初回プレス)
価格:2750円
・CD
・魔除けトレーディングカード(全5種の内1種をランダム封入る)

1stアルバム『少女の日の思い出』通常盤

<<トラックリスト>>
1. キミと××××したいだけ
(作詞・作曲・編曲:きくお)
2. おともだち
(作詞・作曲・編曲:小春(チャラン・ポ・ランタン)
3. 魔性少女
(作詞・作曲・編曲:なきそ)
4. 乙女心中
(作詞・作曲・編曲:楽園市街)
5. 花喰み
(作詞・作曲・編曲:ユリイ・カノン)
6. HANAGATAMI
(作曲・編曲:bermei.inazawa / 作詞:interface)
7. ゾクゾク
(作詞・作曲・編曲:てにをは)

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