ドラマバラエティに引っ張りだこ!野呂佳代の快進撃 他のAKB出身女優たちにはない“強み”

ドラマやバラエティに引っ張りだこの野呂佳代

 野呂佳代(40才)がドラマやバラエティで一躍、注目の存在となっている。AKB48出身で活躍する女優たちは多いが、野呂にしかない強みとは? 放送作家でコラムニストの山田美保子さんが解説する。

【写真】お茶目な表情でピースをする野呂佳代(全身)。他、愛犬との2ショットなども

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 野呂佳代が売れている。今年は既に大河ドラマ『光る君へ』(NHK)、『舟を編む~私、辞書つくります~』(同)、現在放送中の『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ・フジテレビ系)と3本の連続ドラマに出演。

 7月期も『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)に出演予定だ。

 なかでも『アンメット~』での麻酔科医役はドラマ評論家の間でも大好評。手術室でミヤビ(杉咲花)を見守り、彼女が執刀した手術の成功を最初に祝福するのが野呂の役だ。

 ヒロインを支える麻酔科医といえば、『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)での内田有紀も浮かぶが、野呂の場合、ふくよかな体型が圧倒的な安心感を醸し出し、ミヤビの満面の笑みにも繋がっている。

 そして、ドクターの成長を見守る役といえば、2021年の夏ドラマ『ナイト・ドクター』(フジテレビ系)での看護師役も思い出される。当時も「こういうナース、現実に居そう」「めちゃめちゃハマっている」と大好評だったものだ。

AKBオーディションには写真を加工して応募?

 AKB48の第二期追加オーディションで加入するも、選抜メンバーとして参加したのはメジャー1stシングルの『会いたかった』のみ。応募時には22歳を20歳と2歳サバ読み、写真を加工し、曰く「全部ごまかしていた」とか。最終選考で、あまりにも履歴書の写真と違い過ぎる実物に、「誰だ? 呼んだのは」とスタッフが騒然となったとも聞く。

 だがそんな野呂を推したのは誰あろう秋元康氏。あの指原莉乃よりも先にバラエティの才能があることを氏から見いだされていた上、ぽっちゃりしていた野呂がスリムになって売れて行くプロセスを小出しにしながら売って行くことも氏は考えていたようだ。

 そんなことから調子にのり、“やらかした”過去もあると本人も認めているし、およそアイドルらしからぬエピソードが多々あるうえ、AKB48の人気メンバーが複数所属していた「太田プロ」に野呂も移籍していたことで、“先輩”の有吉弘行から度々公開説教されていた印象をもつ視聴者も多いことだろう。

 AKB時代の同期には大島優子、梅田彩佳、秋元才加ら、くしくも卒業後、すぐに映画やドラマ、舞台などで存在感を表す“女優”が多いなか、野呂はSDN48のキャプテンを経てバラエティタレントとして指原ほどの成功を収めないまま、しかし今、女優として野呂佳代にしかやれない役を次々こなしているところだ。

 とは言え、『志村けんのバカ殿様』(フジテレビ系)や『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)、『ゴッドタン』(テレビ東京系)などで芸人らに囲まれ、強めにイジっても大丈夫そうなアイドルとして鍛えられたことは、彼女にとってかけがえのない経験となったようだ。

 それらは2020年11月、レギュラー出演していた『中居大輔と本田翼と夜な夜なラブ子さん』(TBS系)でテレビディレクターとの婚約を発表し、同月22日の“いい夫婦の日”に婚姻届を提出してからの“キャラ立ちな主婦タレント”というポジションに確実に活かされている。

 そこからは、さらに吹っ切れて、バラエティではなくてはならない存在に。野呂と同じくアイドル出身のイジられ主婦・菊地亜美と共に『ぽかぽか』(フジテレビ系)のVTR企画、「飲みながらランチ!ぽかぽか月曜の会」ではゲストを巧みにまわしている。

キレキレのダンスは衰えていない

 それだけではない、AKB、SDN時代に培ったダンスのスキルは衰えておらず、5月31日の『ハマダ音楽祭★オオカミ少年』(TBS系)ではアイドルの振り付けをノリノリで披露。アンミカら、共演者を喜ばせた。また、『2021FNS歌謡祭 第2夜』(フジテレビ系)ではOGとして、当時のAKB史上、難易度がもっとも高いと言われたロックダンスで知られる『根も葉もRumor』を完コピして大バズリしたこともある。

 現在40歳。ダンスを含め、身体を張ったパフォーマンスのオファーも厭わない野呂佳代。前述の大島や梅田、秋元らに加え、前田敦子や川栄李奈ら、女優として成功したのと同時にバラエティを卒業しているAKBのOGはいるが、テレビ業界では「バラエティでも、いい仕事をして帰る」「主婦キャラとしてもイジリやすい稀有な存在」な野呂に、さらに注目が集まっているところだ。

 前述の『FNS歌謡祭~』では、レッスン時の野呂をカメラが追いかけ、既にアラフォーになり、さらにふくよかなボディになっていた彼女の完璧なパフォーマンスを秋元康氏が「たぶん初めて褒めてくれた」(野呂佳代談)とか。当初、氏が思い描いていたような“スリム化作戦”はうまくいかなかったが、ここまで野呂佳代が売れっ子になるとは、氏にとっても、うれしすぎる誤算であろう。

 さまざまな企画会議で挙がる「野呂佳代」の名前。快進撃は今年後半も続くことは間違いない。

【プロフィール】
山田美保子(やまだ・みほこ)/『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ!+』(メ~テレ)、『1周回って知らない話』(日本テレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)に出演中。CM各賞の審査員も務める。

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