なかやまきんに君が通う“謎の妖怪セミナー”の仰天内容〈悪いことは妖怪のせい〉〈サントリー製品はすべて妖怪〉出演したサントリーのウェブCMは大丈夫か

なかやまきんに君が参加した“謎の妖怪セミナー”とは…

 4月28日の夕刻、東京・港区の貸し会議室から、黒い衣服を身にまとった体格の良い男性が姿を現わした。マスクに黒いサンバイザーという出で立ちで一見すると気づかないが、なかやまきんに君(45)だ。2022年からフリーに転じ、昨年は11社のCMに出演して年間起用社数ランキングで6位に輝いたきんに君は、多忙の合間を縫って、この貸し会議室で開かれる“セミナー”に足繁く通っているという。取材を進めると、そのセミナーの内容は奇っ怪で謎めいたものだった──。

【写真11枚】“謎の妖怪セミナー”の配布資料。セミナー後には、なかやまきんに君に直撃。胸鎖乳突筋も僧帽筋ももりもり、姿勢のいいアザーカットも

 このセミナーは全国各地で開かれているものだといい、過去に参加経験のある女性はこう証言した。

「参加費1回1万円の『本源セミナー』と名乗る催しで、内容がヘンなんです。『世の中には妖怪や、妖怪が取り憑いた物や人がいて、縁を切れば人生が良くなる』などとまくし立てられるんです」

 冒頭の4月28日、きんに君が参加したセミナーは実に3時間に及んで開かれていた。その内容とはどのようなものなのか。本誌・週刊ポストはセミナーで配布される内部資料を入手した。A4用紙9枚におよぶ「セミナーマニュアル」にはこう書かれている。

〈悪い事が起きるのは全て妖怪のせい 妖怪に怒れば怒るほど良い事が起きる〉
〈一番大切なのは、本源セミナーで自分の中の妖怪を定期的に消してもらうこと。絶対に元は取れるので参加を最優先する〉
〈早く効果が出る「妖怪ビリビリ」(中略)この妖怪め!と怒って紙をビリビリに破く〉

ドラゴンボール、ドラクエ、ドラゴン桜も「妖怪」!?

 さらに、〈捨てないと(縁を切らないと)いけないもの10項目〉と題された資料のなかでは、〈妖怪そのもの〉であるため、所持したり見たりしてはならないものとして、次のようなものがリスト化されている。

〈妖怪 ・ゲゲゲの鬼太郎 ・かっぱ(アニメの花かっぱ) ・妖怪ウォッチ ・天狗 ・不思議な生き物〉
〈鬼 ・節分 ・桃太郎 ・鬼滅の刃〉
〈龍・ドラゴン ・ドラゴンボール ・ドラクエ ・ドラゴン桜 ・中日ドラゴンズ ・龍角散 ・烏龍茶 ・竜田揚げ〉
〈サントリー製品はすべて妖怪〉

「妖怪」が登場するアニメや「鬼」「龍」に関係する作品や商品、料理に至るまでを否定し、妖怪に関連すると思えない「サントリーの製品」は清涼飲料水から健康食品、関連会社のハーゲンダッツ製品までリスト化して「すべて妖怪」と名指ししている。にわかには理解しがたい内容だ。参加した前出の女性はこう語る。

「セミナーは紹介がないと参加できず、昨年、私は友人に誘われて参加しました。参加者は150~200人ほどいたと思います。携帯電話の電源を切ったか隣の人同士で確認させ、スタッフが参加者の髪の毛の写真を撮っていました。

 講義を担当するのは女性で、『妖怪だ』と言って特定の商品を買うなと言ったり、該当する商品を持っている人には踏ませたりしていた。『こんなセミナーはおかしい』と怒る参加者もいましたが、その人には参加費を返金して出て行かせていました。私はその一度きりしか参加しませんでしたが、参加者の間では『きんに君が来ている』と噂になっていた」

セミナーには「筋肉仲間から聞いて出ている」

 冒頭のセミナー後、きんに君に直撃した。

――本源セミナーにはどういうきっかけで参加した?
「知り合いから聞いて、なんか面白そうだと思って。筋肉仲間から聞いて出たんです」

――妖怪などの内容はどう思いましたか?
「いや、よく分からないなと」

――少しは関心がある?
「いいやー、まあ、別世界のものだなと思いました」

――妖怪とか、ちょっとおかしな話じゃないですか。
「信じているから行っているというのではなく、興味本位というか」

――何度か通っていると聞いていますが?
「行ける時しか行かないですけど、どうなんだろうなあ」

――興味のない話で3時間、聞き続けるのは大変だと思いますが?
「でも寝てしまうので」

――ええ、大丈夫なんですか?
「寝てて怒られることはないですよ。まあちょっと、中のことを言っていいのか分からないので……はい」

 そう話したきんに君は、記者に一礼して去って行った。

主催者は「もちろん科学的根拠はない」と回答

 参加したきんに君も「別世界のもの」と評した本源セミナーについて、主催者に質問状を送ると、担当者からメール回答があった。きんに君の参加については〈わからないです〉〈把握しておりません〉とするのみだったが、セミナーについては以下のように説明した。

〈特に会員制度というものもなく、生活に役立つ面白い情報提供として、興味がある方が来られているだけです〉
〈もちろんセミナーの内容は科学的根拠もないので、みなさん本気にはされてない方が多いのではないでしょうか?〉

 どう受け止めていいのか、困惑する回答である。

 ちなみに、きんに君はフリーになった直後の2022年3月、サントリーの「デカビタC」のウェブCM「連続パワー劇場『でかびたきんぐ君』」に出演している。セミナーの資料には〈サントリー製品はすべて妖怪〉と書かれていたが……。サントリーに問うと「本件について当社として把握しておりませんので、コメントする立場にございません」(広報部)とやはり困惑した様子だった。

 きんに君はセミナーから、どんな“パワーー!”を得ていたのか。

※週刊ポスト2024年5月17・24日号

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