「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録

「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー

 同じ年に同じレコード会社からデビューした宇多田ヒカル(41才)と椎名林檎(45才)。今年デビュー25周年を迎え、満を持してテレビ初共演を果たした。紆余曲折を経て日本を代表するアーティストとなった彼女たちの知られざる交友録。

【写真】ショートカット、半袖姿の宇多田ヒカル。他、片側の肩から背中までの美肌が光る椎名林檎、アザーカット全身、宇多田のタイツ姿全身も

「えー、どこまで言っていいんだろう……あははは」

 デビュー同期である椎名林檎との関係性を尋ねられた宇多田ヒカルは、照れを隠すかのように無邪気な笑顔を見せ、こう続けた。

「本当に、いい友達です」

 4月13日、『with MUSIC』(日本テレビ系)で、宇多田と椎名は記念すべきテレビ初共演を果たした。披露した楽曲は、2016年にコラボした『二時間だけのバカンス』。白色のセットアップを着た椎名と対になるように、宇多田は黒いセットアップを身にまとう。歌い終えた椎名はポーカーフェイスを崩してニヒルな笑みを浮かべ、宇多田を見やった。そして宇多田も、そんな椎名の姿を確認し、微笑んだ──。

 これまで実現していなかった平成を代表する歌姫のテレビ初共演に、視聴者は沸いた。

「宇多田さんは番組内で、椎名さんと聴衆の前で歌ったのは過去に1回しかなく、1999年のイベントだったと明かしていました。今回の共演がいかにレアなものだったかが感じられます」(音楽関係者)

『with MUSIC』は、4月13日からレギュラー放送を開始した新番組で、MCの有働由美子(55才)とアーティストナビゲーターの松下洸平(37才)が、話題のアーティストを深掘りする。初回のメインゲストに選ばれたのが、宇多田だった。

 そもそも宇多田は人気アーティストにもかかわらず、拠点を英ロンドンに置いていることもあり、テレビ出演の機会は極端に少ない。今年は彼女のデビュー25周年で、初のベストアルバムを4月10日に発売したばかりというタイミングでの、目玉企画だった。

「7月からは約6年ぶりとなる全国ツアーも始まります。宇多田さん本人も“こんなに稼働することはなかなかない”と苦笑するほど、今年は精力的に活動。一方の椎名さんも4月17日に新曲発売を控えており、本来なら自身のプロモーションで多忙な時期のはず。それでも番組のメインゲストである宇多田さんの“サポーター”的な立場で出演したのは、ひとえに2人がこれまで築いてきた関係性があったからでしょう」(テレビ局関係者)

 有働から改めて椎名との仲を聞かれた宇多田が明かしたところによると、2人は仕事上だけでなく、お互いの子供を交えて食事に行くなど、プライベートでも深いつきあいがあるという。宇多田と椎名の関係は、同じレコード会社からデビューした1998年に遡る。当時、宇多田は15才、椎名は19才だった。

「この年は“歌姫豊作”で、ほかにaikoさん(48才)や浜崎あゆみさん(45才)、MISIAさん(45才)といったトップアーティストたちも、同期デビューです。そんな中、宇多田さんと椎名さんの距離が縮まったのは、作品に対するかかわり方が似ているからかもしれません。楽曲に対するセルフプロデュースの能力の高さは随一ですから」(音楽ライターの兵庫慎司さん)

 デビューから間もなくスターダムにのし上がった2人は、プライベートもシンクロするようだった。椎名は2000年に結婚し2001年に男児を出産したが、2002年に離婚。宇多田は2002年に結婚するも、2007年に離婚に至った。

「宇多田さんは、結婚前に仕事を休んで卵巣嚢腫の摘出手術を受けていますが、結婚してから『子供はまだ?』と聞かれることが増え、苦痛だったようです。アメリカでの生活も長かった彼女は、日本社会のそういった干渉の仕方が鬱陶しく感じた側面もあったのかもしれません」(前出・音楽関係者)

 ついに宇多田は2010年、「人間活動」への専念を理由に音楽活動の休止を発表し、ロンドンに拠点を移した。「人間活動」とは、彼女いわく、人間として必要な知識や能力を身につける活動だという。そんな宇多田の不在を嘆いたのが、ほかでもない椎名だった。

「椎名さんはのちに宇多田さん不在の期間を振り返り、『ヒカルちゃん、ずりぃよ』『私がどれだけ寂しい思いをしているか』とこぼしています。宇多田さんのように一定期間、仕事から距離をとったり、海外に移住したりする選択肢には憧れもあったようですが、一方で椎名さんには、自分までいなくなったら日本の音楽界が寂しくなってしまうという自負もあったようです」(前出・音楽関係者)

母との別れと出産

 椎名は宇多田不在の間に、NHK連続テレビ小説をはじめとしたドラマ主題歌や、2014年のサッカーブラジルW杯のNHK公式テーマソングを書き下ろすなど、表舞台で活動を続けてきた。

「椎名さんにとって宇多田さんは年下ながら、“オアシス”であり、“ポジティブで頼りになるお姉ちゃん”のような存在だったそうです。だからこそ、日本の音楽シーンからいなくなってしまった宇多田さんに対しては、愛憎のような複雑な思いを抱えることもあったのでしょう」(前出・音楽関係者)

 椎名は宇多田にラブコールを送り続けた。2014年、宇多田の再婚の際には、自身のライブで宇多田の楽曲『traveling』をカバーし祝福した。椎名が宇多田の復帰を一心に待ち望む間、宇多田の人生に、大きな“事件”が起こった。2013年の母・藤圭子さん(享年62)の自死、そして2015年の出産だ。

「宇多田さんは2016年にアーティスト活動を再開させますが、子供の存在が大きな決め手になったそうです。椎名さんとは活動休止中にも音楽の話や私生活の話など、ざっくばらんにやり取りを重ねていて、復帰にあたり、子育てをしながら活動を続けてきた彼女の存在は励みになったようです」(前出・音楽関係者)

 満を持して復帰した2016年、宇多田が手がけた仕事のひとつが、冒頭で披露された『二時間だけのバカンス』の制作だった。椎名を念頭において、宇多田が作詞作曲を行った楽曲だという。

「宇多田さんは、『母であり妻でもある2人だからこそ説得力の増す楽曲になるし面白い』と話していました。2人は平成を代表する歌姫であり、私生活では離婚とシングルマザーを経験しているという共通点もあります。いまなお第一線で輝くアーティストであり、親友でもある2人の現状にも重なるような背景が、この曲にはあるんです」(別の音楽関係者)

 宇多田と椎名の間に、誰も入れやしない。

※女性セブン2024年5月2日号

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