映画『笑いのカイブツ』撮影現場で「19人クラスター」発生 背景は

PCR検査を行なったものの……(写真はイメージ)

“伝説のハガキ職人”と呼ばれるツチヤタカユキ氏の青春私小説『笑いのカイブツ』の映画化が発表され、原作ファンを中心に話題になっている。しかし、来年公開予定で8月にクランクインしたものの、スタッフらを含めて19人ものコロナのクラスターが発生し、現在撮影がストップしていることが分かった。

 原作は2015年に電子メディア「cakes」でツチヤ氏が連載をスタートしてすぐに反響を呼び、2017年に文藝春秋社から書籍化された人気作。人間関係が極度に不得手で孤独な日々を過ごす青年が、人生を「お笑い」に捧げることを決意。テレビやラジオ、雑誌にお笑いの投稿を続け、日に2000本のネタを作るほど没頭し、ついに深夜ラジオ界では“伝説のハガキ職人”として知られるようになった。圧倒的な熱量でお笑いに命を懸けたツチヤ氏の半生を描いた物語だ。

 映画で主人公のツチヤ氏を演じるのは独特の存在感で異彩を放つ実力派俳優の岡山天音(27)。NHKの連続テレビ小説『ひよっこ』の漫画家役で広く注目され、最近では映画『新聞記者』や、ドラマ『同期のサクラ』(日本テレビ系)など話題作にも数多く出演する。

 その岡山が映画のクランクイン直後の9月1日に新型コロナに感染。所属事務所の発表によると、8月27日に発熱の症状があり、翌日陽性が確認されたという。

 ところが、「感染したのは岡山さんだけではないんです」と明かすのは、同映画の関係者だ。「クランクイン前から含めるとスタッフ、キャスト含めて全部で19人が感染してしまって……」

 経緯はこうだ。8月中旬に大阪でクランクインする直前に一部スタッフの感染が判明。感染したスタッフは撮影には参加せず、濃厚接触者とされたスタッフは抗原検査、PCR検査で陰性を確認してからのスタートとなった。

 クランクイン後には、100人を超えるエキストラを集めた撮影も行なわれたが、そんな中、8月下旬に発熱などの症状を訴えるスタッフが出始め、数日のうちに岡山も含めて陽性者が相次いだという。

「そこで撮影はいったん中止となりました。症状の出ていないスタッフが感染者の世話などの対応に追われましたが、結局そのスタッフも感染してしまったりして……。最終的に19人の陽性者が出てしまった。撮影中に感染した人はもともと滞在していた大阪のホテルなどで療養していましたが、大阪市の宿泊療養施設に移った人もいます」(同前)

 8月は大阪でも感染が急拡大し、感染者数が過去最多を更新した時期。前出・映画関係者は「東京から行って感染するなんて、コロナの対策や治療にあたる大阪の医療関係機関にどれほど迷惑をかけたかと思うと申し訳ない気持ちです」と話すが、撮影現場は厳しい状況に置かれているようだ。

「各自もちろん気を付けてはいましたが、撮影中や打ち合わせではどうしても身近に接することになるので、防ぎきれない部分もあったのかと思います。スタッフだけでなく、エキストラの方たちにも検温や日々の体調の報告をお願いしていたものの、中には当日の検温のみで参加したエキストラの方もいました」(同前)

 さらに、ある製作会社関係者はこう説明する。

「限られたスケジュール、限られた予算の中で感染対策を徹底しながら撮了するのは本当に至難の業です。映画業界では、配給会社は撮影のための予算は出すけれど、感染対策に関する費用は製作会社持ちというケースもあります。そうなると製作会社の負担は増えるばかりなんです」

 同映画の製作会社に聞くと、「残念ながら本作の撮影において複数の陽性者が出てしまったことは事実です」とした上で、こう話した。

「スタッフ、キャストは撮影日の14日前から毎日の検温、体調の報告。現場では全スタッフに携帯用消毒液を配布し、不織布マスク着用を徹底。さらに場面に応じてフェイスガードやゴーグル、手袋の着用をする。食事は向き合わずに黙食。撮影後の外食禁止など、日本映画製作者連盟のガイドラインや感染症の専門家監修のガイドラインを元に、本作独自のガイドラインを作成して全スタッフ、キャストに配布し、それに沿った行動の徹底をお願いしております。本案件を正しく分析し、改善すべき点を反映した上で、今後も新型コロナウイルス感染予防に力を尽くし、良い作品をお届けできるよう努めてまいります」

 幸いにも19人の感染者は療養期間を終え、撮影再開に向けて動き出しているという。

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